この人は、理系の人にとっては超有名で、20世紀前半の日本を代表する物理学者で、
世界的な功績を残した人物です。 12月11日が命日ということで、ネットを参考に、
ここに取り上げてみました。
1865年、現在の長崎県大村市で、大村藩藩士の一人息子として生まれますが、長岡
家が1874年に上京したので本郷、湯島小学校に通い、その後現在の開成中学、高校を
経て、東京大学予備門に入ります。父親の転勤で大阪英語学校に一時期通いますが、
上京すると東京大学予備門に再入学します。
1882年には東京帝国大学理学部に進学し、87年には大学院に進み、90年には助教授
に就任します。この頃から「磁気歪み」の研究に取り組み、磁気歪みに関する論文
発表を行い、93年からドイツ留学、3年後に教授に就任し60歳の定年退職まで東京帝国
大学教授を務めています。
退職後は理化学研究所で研究を続けた後、1931年初代大阪帝国大学総長に就任しま
す。その後、日本学術振興会理事長、第13代帝国学士院院長を歴任し、その間1937年
に第1回文化勲章を受章しています。
また、本多光太郎(物理学者、金属工学者)、鈴木梅太郎(農芸化学者、米糠を用い
て抗脚気因子抽出)と並んで理研の三太郎と称されたとあります。
長岡半太郎氏
(ウイキぺディアより)
私の記憶では、氏が提唱された「長岡係数K」を、恐らくは学生の頃の計算で用いた
ことくらいの関わりでしかありませんが、長岡半太郎という人は、根っからの物理学者
の道を進まれた方なんですね。
ちょっと専門すぎますが、長岡係数とは何か? を簡単に紹介しますと・・、
コイル(ソレノイド)に電流を流した場合に起電力が生じます。この時電磁誘導の
大きさをインダクタンスと呼びますが、コイル(ソレノイド)が有限長である時の
インダクタンスを求められるようにした係数のことなんです。
ソレノイド
(天竜丸澤㈱より)
難しいですが、次の式で表されるのです。
ここで、L [単位ヘンリーH] はインダクタンス、KN は長岡係数 、μ は磁性体の透磁率、
r [m] はソレノイドの半径、ℓ [m] はソレノイドの軸方向の長さ、Nはソレノイドの全
巻線数です。KN = 1.0 の場合が無限長ソレノイドに対応します。
たとえば、2r/ℓが、0.1,0.2、0.3・・である時のKN(長岡係数)は、0.959、
0.920、0.884・・と与えられています。
長岡氏の業績は、このような長岡係数の他、地震や地球物理学の分野でも地磁気の
測量や流星による電波の散乱、更には原子構造論など多岐にわたりますが、1904年
発表の、中央に正電荷を帯びた原子核があり、その周りを負電荷を帯びた電子がリン
グ状に回っている「土星型の原子モデル」は有名です。
土星型原子モデル
(ライブドアブログより)
1900年のパリ万国博では、ポアンカレ、キュリー夫妻、アンリ・ベクレルなど当時
の有名な物理学者と共に参加し、それまでにも、レントゲンのX線発見など最新情報を
日本に紹介しています。1922年にアインシュタインが来日した折には、宮中で相対性
理論の講義を行ったとあります。
地道な活動と、弛まぬ研究成果を上げ、1950年12月11日、脳出血のため東京文京区
の自宅で亡くなります。満85歳でした。亡くなる当日も地球物理学の本を広げて研究
を続けていたそうです。
ちょっと足元にも及ばない凄い方なんですね。
Yuja Wang: Philip Glass Piano Etude No. 6 [HD]
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