蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

バイオプラ  (bon)

2017-03-05 | 日々雑感、散策、旅行

 バイオマスプラスチックのことです。

 先(2/27)の読売新聞環境ページに、「次世代自動車に軽量新素材」の見出しで、
今後大いに期待できると紹介されていました。

 記事内容に入る前に、これまでのバイオプラについて俯瞰してみたいと思います。 

 プラスチックといえば、元は石油から作られていますが、ここで言う“バイオプラ”
は、石油ではなく、トウモロコシなどの植物を原料として作るプラスチックです。
この発想は、1900年後半頃から世界で研究されてきていて、2000年になって日本を含む
各地、各会社で製品化が進められています。

 プラスチックは、日常生活のあらゆる場面で便利に使われています。 しかしこの
ほとんどは、化石資源である石油を原料としていますが、石油に代わって植物などの
バイオマス資源を活用して、大気中の二酸化炭素排出量を軽減し地球温暖化防止に貢献
しながら、有用なプラスチックを持続的に供給して行こうというのがそもそもの狙い
なのです。

        (日本バイオプラ協会より)

 日本バイオプラ協会が、1989年に研究会として発足し、2007年に協会と改称し、推進
活動の一環として、バイオマスプラスチック製品であることを示す「バイオマスプラ
マーク」を定め、一定の基準(バイオマスプラスチック度が25%以上)をクリアー
した商品には、その表示を許諾する「バイオマスプラ識別表示制度」を運営していると
いう。 

                      (日本バイオプラ協会より)


 今後も、新しい製品がどんどん出現してくることを願うばかりですが、 このバイオ
プラは、耐熱温度が低く、文房具や日用品などの使い捨て製品として開発されてきて
おり、プラスチック全体の数%とその割合は、まだまだ低い状態のようです。

 前置きが長くなりましたが、新聞で取り上げられたのは、このバイオプラの耐熱を
400度前後の高温にまで耐える「ポリイミド」の生成に成功したというのです。
 北陸先端技術大学院大学が発表したプレスリリース(2016.4.28)によれば、筑波大学
と共同研究で、「遺伝子組換え微生物を用いて生産されるシナモン類を原料としたバイ
オプラスチックの合成に成功し、これを用いた世界最高強度の透明樹脂を開発しました。」
というものです。

         (JAISTより)


 専門的になりますが、プレスリリースから、今回合成に成功した新たなバイオプラの
生成方法を、そのまま概略紹介(内容の理解が出来ないので)しますと、

 “ぶどう糖(原料)→遺伝子組み替えした大腸菌を用いて醗酵生産を経て→アミノ
桂皮酸(天然には存在しない)生産→紫外線を当て、分子を結合する(光二量化)→
化学反応により強直で強固な分子(ポリイミド)を生産”というものであり、極めて
効率よく、“透明度が高く、高強度、高耐熱性”のバイオプラが生産できるというのです。
 今後の展開として、「高強度バイオプラスチックを合成します。今回の微生物由来
芳香族ポリアミドは高屈折率でありレンズやセンサーなどのガラス代替材料としても
有効利用できると考えられます。そして、自動車、航空機、船舶の部品などの様々な
輸送機器のガラス代替する物質として設計する予定です。これによる軽量化はCO
排出量削減、産業廃棄物削減などの展開が期待できます。」とありますが、ガラス代替え
物質のみならず、高耐熱性を活かして金属の代わりに自動車のエンジンシリンダーなどに
使うことも想定されています。

 また、、樹木の成分から抽出された素材「リグノフェノール」は、金属に代わる素材
として開発が進んでおり、これを他の樹脂と混ぜることによって、軽くて丈夫で加工
しやすい素材が作られ、高い断熱性があって燃えにくく車の断熱剤としてボンネット裏
などに利用できるなど熱が生じやすいところに応用できる。重量は、金属に比べて15~
50%減らすことが出来るという。さらに、先行して研究が進んでいる、木や竹が由来の
素材「セルロースナノファイバー(CNF)」と組み合わせれば、車体の重量を10%削減した
次世代の自動車が実現できる・・とあります。 CNFは、鉄と比べて硬さは5倍、重さは
5分の1という軽量素材として注目され、製紙会社などが力を入れているそうです。
これらの素材を、耐熱性の優れるバイオポリイミドやリグノフェノールと組み合わせる
ことで、もっと良い素材の実現が出来ると期待されています。

 生産時に多くのCO₂を出す金属に替えて、バイオマスプラなどはCO₂の削減につながる
ほか、さらに車の軽量化により、それだけCO₂の削減が繋がるというのですね。
地球温暖化に貢献!

 

 “新素材”といえば、炭素繊維(カーンボンファイバー)など、よく知るところですが、
ネットを検索すれば、多くの新素材が目白押しで、それだけ多方面への応用が期待され、
まさしく化学の花ざかり・・といった様相を呈している感じです。

 

 

 

 

 

 

 

 


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