上海万博のPRソングのメロディーが、岡本真夜さんの『そのままの君でいて』と酷似している盗作疑惑の問題は、事実上の盗作を認める万博実行委員会からの申請を受け、所属事務所側が使用権を了承したということで落ち着きそうです。
スポ・ニチ紙の記事によりますと、岡本真夜さんの一連の対応は、中国のネットなどで「素晴らしい」「心が広い」と高評を得ているのに対して、中国側の作曲家には「国家の恥」「死刑に値する」と強い批判が寄せられているようです。結果として『そのままの君でいて』の注目度が急上昇し、着うたフルやiTunesStoreなどの楽曲ダウンロードやCD・ベストアルバムの販売が大きく伸び、上海万博が世界が注目しているビッグイベントでもあり、国際的なメガヒットも狙えそうな勢いと言われています。
さすがに上海万博のPRソングともなると無視して済ますことは出来なかったようですが、デザインや著作権などの価値を正当に認めるまともな国になる良い分岐点に、この問題が象徴となることを願うのは僕だけではないでしょう。
僕もオリジナル曲を作っていますと、魅力のあるメロディーが降りてきても、どこかで聴いたような感覚になる時があります。音階や音の長さは限られた組み合わせなので、どうしても似たものが出来てしまうのは仕方ないかも知れません。個人的楽しみの範囲内では少し似ていても問題は無いと想いますが、CDや楽譜として販売したりライブなどで演奏するのは違反となります。その目安としては4小節が似ていると問題が発生するようです(今回は8小節)。もちろん検証しても完璧ということは難しいので、最低限には故意では無かったと言えますが、やはりプロとしては許される話ではありません。
【追記】その後、疑惑の作曲者が盗作を否定し、岡本真夜の事務所側と「別の曲だという合意も取り付けた」と発表したが、岡本側は事実無根で相手からの接触なども一切無いとしています。また同作曲者の作品には、他にも韓国やメキシコの曲に酷似したものがあるということも分かってきています。既成の曲に触発されて作曲するのは、広い意味では全ての楽曲に言えることだと想いますが、ここまで似たメロディーを気軽にこれまで発表出来てきた環境が、やはりこのような作曲者を国家イベントを象徴する形で生んでしまったと言えるのでしょう。