橋本大阪府知事と番組コメンテーターでもある国際関係・国家戦略評論家の青山繁晴さんとの討論が、一昨日の関西テレビ・ニュース番組「
スーパー・アンカー」の中で行われました。テーマは大きくは2つで、大阪“都”に関する議論と関西の空港問題についてでした。
テレビを通して直接府民に語りかける手法は、高視聴率番組への出演から人気者となった橋本知事ならでは可能なことで、メディアで編集されがちな記事とは違い、生の声が伝わるのでこれからも企画して貰えればと思います。
大阪“都”構想については斬新で僕など想ってもみなかったものですが、大阪府と大阪市との2重行政の不効率と財務の無駄が、当初から知事により指摘されていたことの延長だと想われます。しかしただ2重行政の解消というレベルよりも、東京と関西圏のツイン・エンジン化という国家的なイメージに昇華されているのがとても興味深かったです。
2つの行政組織(両議会も含み)に任せていたら遅々として進まないという予測に業を煮やし、橋本地域新党「大阪維新の会」での統一地方選挙革命を掲げ邁進している感じです。来年の統一地方選挙の結果によっては退陣の決意まで表明しました。強引とも受け止められ兼ねない手法への懸念を示しながらも、これには青山繁晴さんも民主政治に則った正統なプロセスなので、納得せざるを得ない橋本知事の意志を強く感じられたようです。
空港問題も同じように5年先・10年先・20年先、或いは道州制やリニア新幹線など多くの不確定要素や、構想する国家戦略によっても大きく議論が分かれるもので、先ず付託者である橋本知事がテレビなどを通じて、自分の考えを市民に説明することは必要なことだと思いました。それに対して色んな議論が熱く積み上がれば、何とか良い方向に向かうのではないでしょうか。
青山繁晴さんが言っていた中で、暫定的なプロセスとして伊丹空港の利用価値は高いという意見は、橋本知事も現実的には念頭に入れて置いても良いことではないかと思います。しかし、確かに近い将来にリニア新幹線が開通すれば、伊丹空港は経営的に難しい面も出てくると想定され、中長期的に見れば関西空港と神戸空港で行く方向になるのではないでしょうか。
その時に僕が想うのは、関西空港と神戸空港の機能分業として、神戸空港はアジア対応の国際空港そして関西空港はより長距離の欧米対応の国際空港として、ツインハブ化を提案します。大阪“都”を中心に関西州が活性化し、もう一つの日本の中心になっていく国家構想(ツイン・エンジン)の中では、相当多くの国際便の発着が予想されますので、それを捌く意味でも空港のツインハブ化が必要ではないかと想います。もちろんその時リニア・モーターカーは梅田と関西空港を結ぶというだけではなく、神戸空港まで含め一体化させることになります。これで兵庫県知事にも歩み寄って貰えることにもなるのではないでしょうか。関西の2空港間の距離は、東京の羽田と成田の距離より近く、一体的に考えるには条件的にも有利です。
そしてリニア新幹線大阪駅とも繋ぎ、複合的に高速移動ネットワークを一体化させます。できれば今の新大阪ではなく大阪梅田駅までリニア新幹線を引き入れます。現在の新幹線ができた46年前に、大阪政財界の見識の低さで新大阪という中途半端な場所に駅を設け、大阪梅田駅との非効率的なアクセス環境にしてしまったことが、東京駅などと比較してその後の大阪にとって莫大な損失を生んでいることが指摘されています(『
大阪経済大復活』増田悦佐著)。リニア新幹線はその轍を踏まないことが重要ではないでしょうか。
番組の中でもリニア・モーターカーの開発予算が話題になり、前原国交大臣の発表では1兆5000億円という数字で、橋本知事側の予想とは大きな開きがあるようでした。それも国家予算と伊丹空港売却益だけではなく、発展していく地域主体であり恩恵を受ける関西企業連合や、市民による開発債券を募ることも合わせ考えるべきだと想います。
橋本知事は「関西はオーストラリアと同じくらいのGDPがあるんですよ!」と言われていました。そうすると僕の故郷のある四国州は、地勢的に言えばニュージーランドくらいになるのでしょうか。