「やっぱりクラシック・ミニのマフラーは真ん中から出ている方がかっこいいなあ。」
他人のミニを見るたびにそう思っていました。オド・メーターも100000㎞を超えたことだし、買ってから3年を経過したことだし、改造するなら「今」と思ったのが3月のことでした。消費税が5%のうちに換えてしまおうと思い、いつもメンテナンスをお願いしている岡崎の中部オリエン
タル自動車へ行ったのでした。
住宅地に住んでいるので、できるだけ排気音の小さいマフラーがいいのです。そこで、消音器がダブルになっているのを選びました。値段も4万円あまりということで、一応予算内でした。ところが、取り寄せるのに次の船便になってしまい、モノが入るのがGW頃になってしまうだろうとのことでした。消費税が8%になってしまいましたが、輸入品なので仕方がありません。
そして、先月。待望のセンター出しマフラーにしました。もともと低い最低地上高がさらに低くなったことが気になりましたが、今までも底の低さを気にしながら運転していたわけだし、「まあ、いいでしょう。」ということにしました。
一番気になっていたのが暖気中の音です。信頼しているメカニックの人のアドバイスに従っ
て選んだマフラーです。そのアドバイスに間違いはありませんでした。音量はノーマルと変わらないくらい静かで、音質は少し低音が響くいい感じの音になっていました。これには大大満足です。静かな上にいい音がするのですから。そして何よりも、やっぱりかっこいい。隅っこに細い筒が出ているだけのノーマル・マフラーより、ずっとずっと存在感があって、ぐんと引き締まったリア・ビューになったような気がしました。
走らせてみると、これがまた、エンジンの吹き上がりがスムーズになっていました。多少はそう感じるだろうとは思っていましたが、実感できるほど吹き上がりがよくなっているのです。これで50000円でおつりがくる値段ですから、ミニのドレスアップはバイクと比べてとても経済的で
す。
まだ休日のチョイ乗り程度しか走らせていませんが、ミニを停めるとつい後ろに回ってセンター・マフラーをながめてニヤついています。近々、ちょっとしたツーリングに出かけようと思っています。
大変な大雪になりました。雪が降ると心躍る僕ですが、雪に閉ざされて大変な思いをされている方々のことを思うと心が痛みます。
かなり昔のことです。当時、クリスマス寒波として報道された時のことです。土曜日の朝、神戸に向けて名神高速を走っているうちにどんどん雪が激しくなり、お昼前くらいに関ヶ原の手前でクルマは完全にストップする渋滞となり、その後ほとんど動くことはなくなってしまいました。その後、名神は全線通行止めとなり、夜の11時過ぎに大津ICで高速を下ろされ、とりあえずビジネスホテルに泊まりました。翌日、雪に閉ざされた薄暗い朝を迎えました。R1に出るとクルマは列を作ったまま動いていません。神戸には行けなくなり、豊田に帰ることにしましたが、名神も名阪も通行止めで、地図を頼りに琵琶湖畔沿いの道を走り、夕方になって岐阜に向かうR21に入りました。数m動いては何10分も止まり、それが深夜まで続きました。琵琶湖畔の道のコンビニでパンをたくさん買い込み、ガソリンも満タンにしておいたので、ゆっくりでもなんとかなるだろうと思っていましたが、今のニュース映像と同じで雪の中で長いクルマの列そのものが立ち往生です。ハンドルを握ったまま寝てしまい、クラクションの音で目を覚ますと20mほど前が空いている。その繰り返しがしばらく続きましたが、深夜1時を過ぎたくらいからクルマはまったく動くことはなくなりました。真っ暗闇で、森の中ということ以外はそこがどこなのかさえ分からない不安と恐怖。その心細かったこと。しだいに、空が朝日で白くなってきました。標識から、そこが関ヶ原と大垣の間だと分かりました。雪に閉ざされたクルマの中で、明るい夜明けを迎えたのです。職場に欠勤の電話を入れ、外に出るとなんと清々しいこと。木々の枝に積もった雪が凍り、朝日に照らされてキラキラ光っていました。森全体が美しく輝いて見えたのです。一昼夜、雪に埋もれてつらい思いをしたはずなのに、朝が迎えられたことが
うれしくて、不安な夜から解放され、正直、助かった~と思いました。だから、一層雪景色が美しく感じられたのかもしれません。その美しさは、今もなおしっかりと目に焼き付いています。目に焼き付いているからこそ「雪=恐怖」というトラウマにさいなまれることなく、その後も雪大好きでいられるのだと思います。
そこで、14日の金曜日の大雪の日のことです。天気予報どおり朝から雪。道路は真っ白になっていました。雪道に強い4WDのVOXYは妻が出勤に使います。妻に危ない思いをさせるわけにはいきません。そうなると僕は雪道に弱いFRのCクラスということになります。勤務地の岐阜までは約100㎞。スタッドレスタイヤにはしてありますが、ちょっとした坂道でも気を遣います。まちがってぶつけでもしたら分不相応のクルマだけに出費が大変です。
そこで登場するのが趣味で所有しているクラシック・ミニ。FFだし、軽いし、昔のFF車とい
うことでフロント・ヘビーのため駆動輪がしっかりと雪を噛んでくれるという特性もあり、実はとても雪道に強いのです。かつて雪のモンテカルロ・ラリーで優勝したことも十分納得できるくらい、平然と走ってくれるのです。
まずは暖気。その間に、フロントガラスに「レインX」を塗りつけます。ワイパーがショボイので、水はじき剤は必需品です。さらに、ウィンドウの内側には曇り止めスプレーで視界の確保です。そこそこ年配の人なら分かると思いますが、その昔、冬の雨降りの日は、ウィンドウを拭き拭き走ったはずです。1959年発売のミニですから、僕の99年式でもウィンドウの曇りは激しいものです。
準備は完了。ガレージの奥からミニをバックで出します。そして発進。3~4㎝の積雪なら何の不安もなく走り出します。いつもは豊田から三好まで下道を走り、東名三好ICから東
名~名神~東海北陸を通って岐阜に行くのですが、国道に出てすぐにノロノロ走行になっていたので引き返し、東海環状道の豊田松平ICに向かいました。
道路はシャーベット状に見えたので時速70~80㎞くらいで走りました。豪快に追い抜いていく車も結構いました。しかし、雪道では無理は禁物です。チェーン規制が敷かれていましたが、70~80㎞くらいなら何の不安もなく走ることができます。それどころか、周りの山々の美しさに感動しながらの走行に、うれしささえ感じていました。ところどころノロノロ走行になりましたが、岐阜東濃の雪景色を楽しみながらの通勤になりました。
通常1時間半くらいの通勤時間ですが、この日ばかりは2時間半を超えていました。仕事が山のようにたまっているので、「帰りが遅くなるなあ」とは思いましたが、雪の楽しさの方がそれを上回っていました。それも、積雪路を不安なく走ることのできるミニのおかげです。僕の
ミニは10万キロを超えた、古くて、小っちゃくて、非力な、趣味性の高いクルマですが、十分実用性も兼ね備えているのです。
岐阜では、午後2時すぎくらいに雪は雨に変わり、帰りはほとんど融けてしまいました。うれしいやら、寂しいやら、複雑な思いで帰ってきました。
報道では、大雪による被害や交通の乱れなど大変なことになっているニュースばかりでした。雪は迷惑なもの・・・と思えてしまいます。でも、僕にとって雪は、一昼夜雪に閉ざされて大変な思いをしたにもかかわらず、やっぱり「めずらしいもの」「美しいもの」「楽しいもの」なのです。だから、雪が積もると愉快で愉快でたまらなくなるのです。通勤でつらい思いをしているはずなのに、楽しく感じるのです。今回の大雪で大変な思いをされた方、
今もなお雪に閉ざされている地域の方々には、心からお気の毒に感じています。僕の、大津での雪に閉ざされた朝はつらい朝でしたが、必ず明るく美しい朝はやってきます。
雪は美しくて楽しいもの。子どもの頃、めったに積もらない雪を見て、大はしゃぎし、真っ白な雪の上を走り回り、泥だらけの雪だるまを作ったり、友達と雪合戦をしたり、雪を被った木々を見てその美しさに感動したり、そんな思い出をいつまでも大切にしたいと思う僕の戯言(たわごと)・・・です。
先月、ついにミニのオドメーターが一回転し、0㎞に戻りました。3年前の2月末に購入した時が82000㎞だったので、2年10か月で18000㎞を走ったことになります。趣味で乗っているサード・カーとしては、かなり走ったと思います。
実は、自分のクルマが100000㎞を超えたのは初めてのことです。中古車(大古車)とは言え、メーターがまた0から始まるのを見るというのは、思った以上に感動モノでした。仕事帰りの岐阜県坂祝町の国道21号線を東進中、パジェロの工場あたりで100000㎞に到達しました。記念写真を撮ろうと思いましたが、走行中のため断念し、数㎞先で停車した時にメーターを接
写しました。
この2年10か月で、トラブルはほとんどなく、強いて挙げればインジェクションの細いパイプに亀裂が入って交換修理をした程度です。修理費も確か数百円だったと思います。クラシック・ミニは壊れやすいという風評がありますが、決してそうではありません。買った時に言われたことは、3000㎞毎のオイル交換と、エンジン始動時の5分程度の暖気さえすれば、まず壊れるようなことはないということでした。とは言うものの、新規登録から15年を経過したクルマです。それなりにメンテナンスはきちんとやっていかなければなりませんが、経年劣化は旧ミニに限ったことではありません。近いうちに定期点検を受ける予定です。今のところ、走っていて気になる点はまったくないので、点検で劣化部分が見つかれば助かります。
クラシック・ミニはクルマ本来の楽しさを味わうことができる数少ない一台です。数m走っただけで「楽しい」と思えるクルマです。見て楽しい、乗って楽しい、素敵なクルマです。もちろん、ナンバー付きの「クルマ」ですから実用性も備えています。
今、腹立たしく思っているのは、13年以上経過した「古い」クルマは自動車税が1割程度の割り増しになっているということです。エコ・エンジンでないことがその理由らしいです。古い1.3Lエンジンですから、市街地でリッター10㎞、高速(?)で14㎞程度です。燃費だけを比べれ
ば中型ベンツのCクラスとほぼ同じです。しかし、クルマを一台作るのにどれだけのエネルギーを必要とするか考えてほしいと思います。糊とはさみで作ってるわけではないのです。一台のクルマを長く走らせることもすごい「エコ」なはずです。ドイツでは、こうした考えから古いクルマは税金が安くなるため、旧車を大事に大事に乗っている人が多いと聞きます。
数年でどんどん新車に買い換えると「免税」で優遇され、古いクルマに長く乗ろうとすると「増税」で苦しめられるって、なんかヘンじゃないかなあ~とボヤいていますが、とにかく僕のローバーミニは「祝100000㎞」です。
<4月27日>
GWの初日、入院している父を見舞い、その足で木曽へと向かった。当初、2台のバイクで新緑の中をツーリングという計画を立てていたが、高齢の父の病気が心臓機能の低下ということで、いつ病状が急変するか分からない状態なので、万一の時にすぐに病院に駆けつけられるよう、クルマでの1泊旅行に変更した。そこで登場したのが、クラシック・ミニだ。バイク と同じくらいワイルドな乗り味が魅力的なのだ。
11時頃に豊田の病院を出て、東海環状道豊田松平ICから北に向かった。ただ、ミニの魅力は高速道路では発揮できない。そこで、鞍ヶ池PAのコンビニで弁当を買い、瀬戸品野ICで出て、R363で瑞浪方面に向かった。
旧ミニのオーナーは、すれ違う時に手であいさつを交わすことがある。そこで、妻と、2日間に何台のミニと出会うか予想をした。その予想が、二人とも2台。1日1台出会う程度だろう。ところが、瀬戸品野ICからものの10分も走らないうちに、黒っぽいヤンチャそうなミニとすれ違った。愛知県と岐阜県の県境の峠のふもとで1台のミニと出会ってしまったのだから、すぐに予想も修正だ。あと、4、5台は出会うだろう。天気もいいし、GWの行 楽シーズンなので、ミニのオーナーたちもミニを走らせたくてうずうずしていることだろう。
土岐の曽木公園の駐車場にミニを止め、木陰でコンビニで買った弁当を食べた。サンドイッチにおにぎり、おかずにソーセージという簡素な献立だが、ミニを眺めながら外で食べるお昼ご飯はおいしいものだ。
曽木公園を出たあとは、県道66号で恵那に向かった。ミニで走ると、実際の速度は遅くても、体感的な速度はかなり速い。それがクラシック・ミニのドライビング感覚だ。いかにも日本の原風景といった雰囲気の道路は交通量も少なくとても走りやすい。この風景がもっと大陸的だったら、まさに大陸横断道路「ルート66」なのだが、あまりにも風景が違いすぎる。周りを見渡すと、昭和の日本なのだ。速そうなクルマやツーリングを楽しむライダーが追いついてきたら、直線部分で抜かさせる。コーナーが続くところでは、ミニのペースは遅くはない。こうしたローカルな道をミニで走るのは結構楽しいものだ。
恵那でR19に合流した。幹線道路でも、クルマの流れに乗って走ることはできる。ただ、夫婦の会話はどなり合いだ。車内はいろんな走行音や機械音や風切り音でやかましすぎる。FMラジオを聞いていたことなど忘れてしまう。
R19も、中津川を過ぎると、木曽川に沿って走るワインディング・ロードになる。
南木曾町には、僕のお気に入りの三留野大橋がある。R19と木曽川を跨ぐ木製の橋 で、江戸時代の街道の雰囲気が感じられる橋だ。今回初めて気づいたが、橋の下の河原が美しい公園になっていた。国道からは見えないのでいつも通り過ぎたり、橋のたもとで写真を撮ったりしていたが、今回は橋と並行して泳ぐこいのぼりを目当てに河原に降りてみた。こいのぼりと、古い木の橋と、ミニ。なんとも絵になるものだと自己満足。そして、近くで見る三留野大橋はなかなか荘厳な雰囲気さえ感じられた。
次に立ち寄ってみようと思ったのが上松宿だ。寝覚めの床が有名な上松町だが、れっきとした中山道の宿場町だ。妻籠・馬籠、あるいは木曽福島・奈良井の陰に隠れてしまっていて、これまではいつもバイパスを走って通過していた。
バイパスを外れ、坂を下るとJR上松駅に出た。その近くで、「赤沢自然休養林」の案内標識が目に飛び込んできた。森林鉄道が走る森林浴発祥の地ということで、一度行ってみたかった所だ。そこで、宿場町の散策をやめにして、すぐさま赤沢に向かった。狭い山道もあったが、そこは小さな小さなミニ。得意中の得意な道で、木々の間を軽快に走った。
案内標識はとても親切で、それだけを頼りに走ってもまったく迷うことなく赤沢自然休養 林に着くことができた。ミニを駐車場に止め、自然林に向かって歩くと、確かに森林浴発祥の地、空気のおいしざが実感できる。実にいい気持ちだ。
お目当ての森林鉄道に乗ろうと駅に行くと、最終便が15時30分とのこと。時計を見ると、3時を少し過ぎたくらいだったので、檜でできた切符を買い、駅舎に隣接された鉄道資料館をのぞいてみた。そこには、昭和初期の機関車と思われる車両がいくつも展示されていて、しかもまだ動きそうな状態にも見えた。それくらい保存状態がいいのだ。僕は夢中になってしまったが、妻は「寒い」を連発して資料館の屋内に入ってしまった。それもそのはず、この日は4月下旬にしてはめずらしく、朝は雪が降っていたとのことで、春の服装の僕たちにはちょっと寒い。ただ、身にしみるような寒さではなく、僕にとっては心地よい涼しさという感じだった。
15時30分が近づき、僕たちはホームに向かった。森林鉄道のトロッコ列車が入ってく ると、20人くらいの乗客が降りてきた。先頭の小ぶりな機関車両が切り離され、後方に移動し、最終車両の後ろに連結されたが、向きが変だ。僕たちは一番前の車両の一番前の席に陣取ったが、実は最終列車に乗るのは僕たち2人だけだった。7、8人の乗員に対してたった2人の乗客で、なんだか 運行させるのがもったいないような気がした。「運休」という文字が頭をよぎったが、それでも、トロッコ列車はちゃんと出発した。先頭車両の向きはやっぱり変だった。逆向きなのだ。運転士は、クルマをバックさせるような体勢で後ろを向いて列車を前に進めていた。
線路に沿って、よく整備された遊歩道があり、森や沢を楽しみながら歩くことができるようになっていた。いかにも空気のおいしそうな森の小径だ。列車は美しい森をながめながらゆっくりと走る。わずか15分程度の小さな鉄道の旅だが、景色もよく、空気もおいしく、列車の雰囲気もよく、ここに寄ってよかったと心から思った。
時間が早ければ、のんびりと森の小径を歩いて戻るところだが、最終列車で閉園時間 も近い。最後尾となった機関車を先頭に入れ替える作業をしている間、終着地点周辺の森を散策した。オゾンたっぷりが実感できる。
復路も乗客は僕たちだけだった。乗務員の人と話をすると、なんとこの日が今年の森林鉄道運行の最初の日だった。なんと運がいいのだろう。
4時を過ぎ、宿泊を予約している木曽町三岳のホテル木曽温泉に向かった。森とせせらぎの雰囲気のいい道を戻り、県道473で三岳方面へと向かった。日本の原風景を絵に描いたような美しい村を見下ろす山道は時々雄大な御嶽山が見え隠れし、所々ピンクや黄色の花が咲き、空の青さと御嶽山の雪の白さも加わって、運転していてもその美しさに見とれてしまうくらいだった。
5時頃、ホテル木曽温泉に着いた。玄関前の駐車場にミニを止め、御嶽山を仰いだ。中腹に御嶽ロープウェイスキー場がくっきりと見える。そのスキー場も、今回お世話になるホテル木曽温泉も、小学校勤務時代にスキー教室でお世話になり、児童の引率で訪れたことがきっかけで、その魅力にハマッてしまったのだった。
2階の部屋からは真正面に御嶽山が見える。ちょうど山頂の雪の白さと雲の白さが 重なり、稜線こそはっきりしなくなっていたが、青い空とのコントラストがとても素敵だった。
窓から御嶽山を眺めた後は、もちろん温泉だ。木曽温泉のお湯は、うすい茶褐色でなんとなく体の芯まで温まるような気がする。体を洗い、お湯の中に入ると、やや熱めのお湯が心地よい。ぬるめのお湯の好きな僕でも、少しの我慢で浸かることができる熱さだ。しばらく温まったら、次は露天風呂だ。4月下旬にしては気温の低い日だったため、一瞬、
「さぶっ。」
とつぶやいたが、お湯の温度はちょうどよかった。食事まで時間があったので、ゆっくり のんびりと赤い湯を楽しんだ。
お風呂から上がると、妻がロビーで待っていたが、妻もゆっくり入っていたらしく、あまり長くは待っていなかったようだ。
食事は地元で採れた山菜中心の献立に岩魚に信州ソバ、そしてメインの信州ポーク陶板焼きとバラエティに富み、しかもとてもヘルシー。大きな満足感と適度な満腹感に満たされ、気持ちよく部屋に戻った。
寝る前にももう一度、貸し切り状態の温泉に入って、ドライブ初日を終えた。
<4月28日>
食事の時間が7時半だったので、6時半に起き、窓から雄大な御嶽山を眺めた後、朝風呂を楽しんだ。何度でも入りたいと思えるくらい気持ちのいいお湯で、朝から大満足だ。
朝食をすませ、9時頃チェックアウトした。御嶽山は本当に存在感のある山だ。駐車場に 出ても、つい目は御嶽山に向いてしまう。
県道で昨日の続きの御嶽山に抱かれた原風景の続きを楽しみながらミニを開田方面へと走らせた。R361に出て、まずは妻の希望でおいしいコーヒーを飲むことにした。開田高原の賑わいを抜けた木曽福島側にある一軒家の喫茶店に入ると、窓からは白樺の木々や草原が広がる美しい高原の風景が見られる。家を出てから缶コーヒーばかり飲んでいたので、僕も豆から煎れたコーヒーが飲みたかった。高原の風景がおいしさを倍増させているように思えた。
コーヒーを飲んだら、次は僕の希望で「開田高原アイスクリーム」を食べることにし、R36 1を高山方面へと向かった。まだ時間が早かったせいか、いつも混んでいる店もすぐに駐車場にミニを止めることができ、すこし並んだだけでおいしいアイスクリームにありつくことができた。東海地方界隈では有名なアイスクリームで、開田に来たら食べないわけにはいかない。
そして、御嶽山が真正面に見える絶景スポットのひとつ、長峰峠へと向かった。昨日は少し雲がかかっていた御嶽山も、今日は雲一つない快晴で、空の青さがまぶしいくらいだ。峠の狭い駐車帯にミニを止め、何枚も写真を撮った。こういう時はいつも、写真の腕が確かだったらどれだけすばらしいだろうと思う。腕のない僕は、オートにするか「風 景」に合わせるかしか術がなく、なんとも悲しい。
それから少し福島方面に戻り、かわいらしい建物に惹かれちょっとおしゃれな雑貨屋さんに寄った。すてきな写真立てを見つけ、ミニと僕たちと御嶽山と真っ青な空の写真を入れることにした。
次にどこへ行こうかとクルマの中で地図を開いて二人で相談した。地図を見ると、三岳地区から御嶽山に向かう道沿いにいくつかの滝がある。少しばかり森の道を歩くのもいいなあと思い、昨日走った原風景の県道を戻り、三岳から御嶽山方面へとミニを進めた。すると、道の両脇にはお墓やら碑やら、念仏の書かれたのぼりが何㎞も続く上り坂になった。御嶽山の修飾によく「霊験あらたかな」と称されるが、なんだか霊がいっぱい漂っているようなちょっとした不気味さを感じた。「霊山」とも言われる木曽御岳の中腹は、まさに信仰の地だった。二人で「ちょっと怖い」などと口走りながら山道を登っていくと、「百間の滝・不易の滝」の標識があった。角の尖った石がごろごろしている駐車場の、比較的石の少ない場所を選んでミニを止め、遊歩道のような道を歩いた。霊山とは言われていても、森の小径に入ると赤沢自然保養林と同じような清々しい空気に包まれ、爽やかな気持ちで滝に向かって 歩いた。
耳に飛び込んでくる小川のせせらぎが、徐々に滝の音に変わってくる。10分ほど歩くと、不易の滝に着いた。二筋の滝が、下の広い岩に辺り、そこから一本の滝になる迫力のある滝だ。だれもいない森の中にこんなに見応えのある滝があるなんて、なんだか見に来て得をしたような気分になった。
清々しい森の小径を戻り、最後の目的地の牧尾ダム公園に向かった。ち ょうどGW頃が桜の見頃で、去年はバイクで訪れた公園だ。満開の桜を期待し、三岳からダム湖にミニを走らせたが、なんとまだ7分咲き程度だ。ちょっと残念だが、7分咲きでも桜は桜。うすいピンクが優しい雰囲気を醸し出していて、ペットボトルのお茶を飲みながら、プチ花見をした。
午前中だけでも、ずいぶん御嶽山のふもとをうろちょろしたものだ。近くに道の駅「三岳」があるので、お昼ご飯でも食べて、道路が混む前に帰ろうということにした。
道の駅「三岳」にはレストランなどの食事をする施設がなかった。そこで、売店で昔ながらのおにぎりを買って、ベンチで食べた。来た時と同じように外でお昼にしたが、やっぱりおいしい空気と自然の景色は豪華なおかずになる。
お昼を食べてからは、ひたすら来た道と同じR19を南に向かって走った。クルマの流れ は古いミニにとってちょうどいいペースで、荒々しい木曽川上流の流れに沿って岐阜県に入った。あまりの快適さに休憩することさえ忘れ、中津川を過ぎ、恵那市に入った。迷うことなく、往路と同じ県道66、昭和の日本の風景が色濃く残る「ルート66」をひた走り、愛知県の瀬戸品野ICまで走り続けた。これまで一度も同じクラシック・ミニと出会うことはなく、最初で最後のミニとの出会いの県境の峠のふもとを通り過ぎた時は、少し寂しさも感じた。
東海環状道もGWと思えないくらいすいていて、ミニらしく制限速度より低い時速90㎞くらいでのんびり走った。これがミニの快適速度なのだ。
最後のPA、鞍ヶ池PAでトイレ休憩のためにミニを止めると、3月まで同じ職場にいた仲良しの先生が駆け寄ってきた。なんでも、家族で土岐のアウトレットへ行った帰りに、見覚えのあるミニを追い抜き、助手席から運転している人を見たら僕だったとのこと。転職で今まで仲良くしてくれた先生たちとはもう会えないかもしれないと思っていただけに、本当にうれしかった。トイレに行くことも忘れて、なつかしい話をしてしまった。
鞍ヶ池PAから僕の家まではすぐだ。豊田松平ICで降り、その5分後には家に着い た。
ミニと御嶽山と木曽温泉。本当に楽しいひとときを過ごすことができたドライブだった。これでとりあえず、転職による仕事環境の急激な変化で5月病になるようなことはないだろう。
「旧ミニは水に弱い。」よく言われることです。これは単なる風潮ではなく、おそらく旧ミニも含め、50年代~60年代の古いクルマ全般に言えることだと思います。ほとんどの部品が金属 でできているため、どうしても錆が出てしまい、そこから腐食してしまうのです。空気中の酸素に触れるのは仕方がないとして、できれば水を浴びせないようにするのが普段の対処法となります。
僕は、できるだけ雨の日には乗らないようにしていますが、クルマですから走っていて雨に降られることもあります。ただ、ワイパーがショボいということもあり、できれば雨の日は運転しない方が安全ということにはなります。 僕は、水はじき剤の「レインX」をウィンドウに塗って対応しています。また、夜間の雨対策として、ヘッドライトも明るいライトに換えてあります。これで、普通のクルマ同様に何不自由なく走ることはできています。
洗車する時も、泥だらけになった時以外は、水を使わずにクルマをきれ いにしています。すべて「拭き掃除」なのです。そこで使うのが、写真のセットです。
まずは、「拭くピカ」でルーフから順に拭いていきます。ルーフからというのは、屋根だけ白色だからです。「拭くピカ」が汚れる前に白い部分を拭いた方がいいかなと思って屋根から順に拭いています。小さな車体ですから、隅 々まで拭いても30分ほどですし、「拭くピカ」も一枚で十分足ります。次にホイールを拭きます。前タイヤのホイールはかなり汚れますから、後ろのホイールを先に拭きます。純正ホイールはあまり複雑な形状ではないので、案外拭きやすいです。ホイールを拭いたら、タイヤにシュッと吹きかければきれいになるスプレーをかけて、タイヤが泡だらけになっている間にガラスを吹きます。ガラス用のシートは、ミニの全部の窓ガラスを吹いてもあまり汚れないの で、そのままダッシュボードも拭いてしまいます。これで完成ですが、拭きムラが気になります。特に白い屋根は拭いた跡が残ります。そこで、糸モップでから拭きをして仕上げます。水も使わないし、車体も小さいので、1時間もあればミニはすっかりきれいになります。メッキ部分も結構ピカピカになります。
ちなみに、少し前にまたちょっとドレスアップをしました。今回も内装のウ ッド化です。ドアの内側の取っ手をウッドに替えたところ、また少し豪華な感じがアップしたような気がします。
先週の日曜日にバイクに乗ってぶらっと新城作手の道の駅に行った時 、どこかでクラシックカーのイベントがあったらしく、幻の名車トヨタ2000GTと3台のトヨタスポーツ800に加え、7台の旧ミニが駐車場に止まっていました。家族連れの岐阜ナンバーの方とおしゃべりをしているうちに、無性にミニに乗りたくなってきました。
そこで、1時間目の授業のない火曜日に勇気を出して通勤にミニを使い ました。自宅のある豊田から勤務地の岐阜まで片道80㎞のうち4分の3が高速道路です。時速90㎞くらいで走行車線を走り、遅いクルマに追いつくと、タイミングを図って追い越し車線に出て、メーター読みの110㎞くらいで走って追い抜き、速いクルマに追いつかれる前に走行車線に戻ります。おそらくメーター読みの110㎞は、誤差を差し引けば法定速度の100㎞くらいでし ょう。こうした遅すぎない程度ののんびり走行は、案外快適なものです。
今週末は3連休です。木曽御岳山が見たくなっています。木曽温泉の茶褐色のお湯も気持ちがいいものです。バイクで行こうかミニで行こうか迷っています。どっちも楽しいので、どうしようかなあ。