今年も妻と2人で、飛行機とレンタルバイクを使って二泊三日の宗谷岬弾丸ツーリングに行ってきました。僕が大学に赴任して4年目。2人の休日が合わなくなったため、金曜日に有給を取って土日を含めて3日間の連休で北海道をバイクで走ろうと考えて今年で4年目ということなのです。今では、僕たち夫婦の夏の終わりの年中行事になっています。
金曜日のANAで中部空港から旭川空港へ。旭川からはレンタルバイクのNinja400RとVTR250で北を目指し、日曜日の飛行機で帰るというプランです。
同じようなコースで4年連続です。2人とも病み付きになっています。
<8月26日>
中部空港発の旭川直行便は朝8時30発のANA一便だけです。昨年まではお昼頃の便だったのでのんびりと家を出ていましたが、今年は6時前に家を出ることになりました。眠い目をこすって愛車Cクラスで空港に急ぎました。
荷物を預け、空港内の店で朝定食を食べて出発時刻を待ちました。
飛行機は定刻を15分遅れで出発しました。
10時30分頃に旭川空港に着きました。天気予報どおり、外は雨。先週は道東を台風が襲い旭川もその影響で土砂降りだったようです。それを思えば、普通の雨降りくらいどうってことはありません。でも、やっぱり青空の下でツーリングを楽しむことができれば、そんないいことはありません。
バスで旭川駅へ行き、イオンモールの1階で少し早めの昼食をとりました。それから、タクシーでレンタルバイクを予約しておいたハーレーショップ「オートジョンブル」さんに向かいました。店員さんもすっかり顔なじみになっていて、手続きもスムーズなものです。
「オートジョンブル」はハーレーの正規販売店ですが、レンタルバイクは別です。僕はNinja400Rを、妻はVTR250をレンタルしました。
旭川北インターから士別剣淵インターまで雨の道央道を走り、名寄の道の駅「もち米の里なよろ」で一休みしました。カッパを着たまま缶コーヒーを飲みました。雨足は弱まってきましたが、雨は降り続いています。そんな天気でも、北海道を走っているというだけで楽しくてたまらない僕たちです。風景が違います。道が道です。雄大な景色を眺めながら止まることなくペースを落とすこともなく走り続けられるのです。
例年よりスタートが早かったので、いつもの初日は美深温泉泊ですが、今回はもう少し遠くまで足をのばすことにしました。美深市街から道道49に入って枝幸方面を目指しました。道道に入ると、道はさらに道らしい道になります。信号や標識、歩行者などに気を遣うことなく、ただただ走るだけ。道とは本来そういうものなのです。直線と緩やかなコーナーで結ばれた道道49。周りは森、畑、牧場・・・。それ以外には何もないのです。それこそ、北海道を走ることの最高の魅力なのです。ひょっこりキタキツネが顔を出したりもします。インカムで「何か動物が出てきそうだなあ」と妻に伝えた矢先に、子ギツネがひょこひょこと道路を横断していきました。
「わっ、あれ見て。」
「かわいい~。」
山の中にトロッコ王国がありました。地図で気になっていた王国です。
バイクを止め、係の人に尋ねると、片道5㎞、往復10㎞を40分ほどかけてエンジン付きトロッコで走る体験ができるそうです。最終が16時発となっていましたが、今走っているトロッコが戻ってきたらすぐに出発できるとのことでした。単線ですからいつでも出られるわけではありません。時刻は15時40分。行くしかありません。
これがまた愉快で愉快でたまりませんでした。旧国鉄の線路の一部を利用してトロッコ体験ができるようになっているのですが、運転と言ってもレールの上を走るのですからハンドルはなく、アクセルに軽く足を乗せているだけで、常に周りの景色を見ていられるのです。鉄橋などはたまりません。足を緩めれば、川の流れを見ることができます。欄干がないので、すぐ下まで見られるのです。
僕たちが乗ったのは、まったくの新車で、初めてお客さんが乗って走ったトロッコだそうです。色はカワサキカラーのグリーン。でも、エンジンはホンダの汎用エンジンでした。そう言えば、いつの間にかすっかり雨も上がっていました。トロッコ体験の40分間は雨が落ちてくることはありませんでした。
トロッコ王国前の交差点を直進するとそのまま道は道道120になりました。道道120も道道49と同じように自然の中の一本道でした。
あらかじめ予約しておいた枝幸町の歌登温泉までやってきました。
朝が早かったせいか、宿に着くと一気に睡魔が襲ってきました。まずは温泉、そしておいしい北の幸の料理、そこから先は記憶が途絶えてしまいました。部屋でテレビを観ながら夢の世界へと入ってしまったのでした。
気持ちのいい道をいっぱい走って、温泉に入って、おいしい晩御飯を食べて、本当にたまりません。わずか二泊三日の北海道ツーリングですが、初日から大満足です。天気予報では、明日は天気が回復する言っていました。
<8月27日>
これでもかっ!というくらい寝ました。前日まで仕事でしかも昨日の睡眠時間は飛行機の時刻の関係で4時間弱。だからなのか、8時くらいにテレビを観ながら意識がなくなり、12時半に一度目を覚ましたもののまた眠ってしまい、気がついたら朝の6時。10時間も寝ていたことになります。
カーテンを開ければ思いっきり青い空。雨が降らなければいいや、それくらいに思っていただけに、うれしさ100倍。
しゃきっとするために朝風呂、朝シャン。スッキリしたところで朝食を済ませ、9時に歌登温泉を出ました。
道道120、道道12を走って枝幸市街に出ました。初めて走った二つの道道の気持ちのいいこと。真っ青な透き通るような空と鮮やかな緑にさわやかな空気。気持ち良すぎです。
ただの道道を走っただけで十分感動していたところへ深い緑のオホーツク海が見えたものですからテンションはどんどん上がっていきました。
まずはクッチャロ湖。澄んだ空気に抜けるような青い空、そこに静かにたたずむ湖。
トイレに入ると聞こえてくる「白鳥の湖」・・・のはずが、湖の紹介のガイドの声が大きくなっていてちょっと残念でした。
地元のライダーに「これからどちらへ」と尋ねられ、宗谷岬と答えると「今日はたぶんサハリンが見えますよ」と教えてくれました。どうやらサハリンは地元の人でもめったに見られないようなのです。
美しい湖に感動し、次は農道エサヌカ線。国道を右に1本外れると、そこには何㎞も続くまっすぐな道。前方も後方も地平線が見える道なのです。地平線から地平線に向かう道などここでしか見られない風景です。妻も僕もメットの中で「すげぇ」の連発でした。
猿払の道の駅で休憩し、いよいよ宗谷岬です。オホーツク海沿いの国道は宗谷岬の手前から海岸段丘を駈け登ります。そこで見えるのが宗谷丘陵。もこもこした起伏の台地は、この世のものとは思えない不思議な風景です。
宗谷岬に着くと本当にサハリンが見えました。探さなくても、目を凝らさなくても、すぐに「サハリンだ」とわかるくらいはっきりと見えました。初めて宗谷岬に立ったのが26年前のことです。それ以来15,6回は宗谷岬に来ています。それでも、サハリンがはっきりと見えたのは初めてのことでした。快晴でしかも雨上がりで空気が澄んでいからなのでしょう。妻も僕もさらにさらにテンションは上がる一方でした。
最北端の食堂でホタテラーメンを食べ、もう一度岬からサハリンを眺めました。
宗谷岬を出て、最北端のスタンドで燃料を入れると、次は西に進路をとりました。すると目の前にはどーんと利尻富士が。こんな遠くからはっきり見えるなんて、こんなことも初めてです。天気が良すぎなのです。こうなったら、大平原のサロベツ原野越しに利尻富士を見てみようと、稚内からR40を南下し、豊富バイパスを通らずに下道を走って、宮の台展望台に向かいました。
すごい眺めです。サロベツ原野は東京山手線の内側二つ分の広さと言われています。その広大な大平原の向こうにでんと構える利尻富士。その景色のスケールの大きさ、もうたまりません。
最後は豊富温泉です。油田採掘中に涌き出た温泉で、別名油温泉と言われるように油の香りが漂う温泉です。油成分の混じったお湯は、疲れた体を癒すのに最高の温泉かもしれません。
その後、道道84、121で幌延に出て、R40で天塩川に沿って南に向かいました。天塩川は先週までの台風3連発の影響で降水量が多かったせいかかなり増水していました。
R40は中川の道の駅を過ぎると音威子府まで店はおろか自販機さえなくなります。去年も一昨年もここでは睡魔と戦いながら走っていましたが、今回は10時間睡眠ですから北の大地の緑を楽しみながら走ることができました。
さすがに豊富からノンストップで走り続けてお尻が痛くなってきたので、音威子府のセイコーマートでコーヒー・タイムにしました。毎年眠気覚ましに利用しているコンビニです。音威子府から今夜の宿「びふか温泉」までは10㎞足らず。こうして快晴の道北をしっかり楽しんで17時40分にびふか温泉に着きました。
北の幸の晩御飯につるつるのお湯の温泉。天候に恵まれ、感動の連続の一日になりました。明日の飛行機で帰る予定ですが、本当はずっとずっと北海道をバイクで走り続けたい気持ちでいっぱいでした。
<8月28日>
あっという間の北海道ツーリング最終日。3日間だけだから、来て、走って、帰るだけですが、ただ帰るだけではつまらない。
9時に美深温泉を出て、美深市街からR275で朱鞠内湖を目指しました。美深峠から朱鞠内湖へのR275は、人気の信州ヴーナスラインをはるかに超える絶景コース。峠と言っても高速コーナーと直線だけの坂道です。広大な景色と見渡す限りの原生林を眺めながら気持ちよく緩やかに体を右に左に傾けて軽快に走り続けました。
朱鞠内湖の手前の日本最寒気温記録の記念公園のようなところでトイレ休憩を取りました。白樺の木に囲まれた静かな公園でした。そして、国道沿いの朱鞠内湖のパーキングへ。ここ朱鞠内湖は-41.2度の最寒気温を記録した地なのです。人造湖なので入りくんだ形の湖で、緑の木々と白い白樺の木に囲まれたひっそりとたたずむ湖です。ここに来ると、ずっと眺めていたい衝動にかられます。視界の中に人工物がどこにも見えないのです。まあ、湖そのものが人工物と言えば人工物なのですが。
素敵なワインディングR275から添牛内でR239に入り、士別に向かいました。R275もR239も交通量はほとんどなく、常に自分たちの最適なペースで走ることができました。遅いクルマがいれば抜けばいいし、速いクルマが来たら抜かさせればいいのです。北海道の道はそういう道なのです。
士別からはR40、道央道で旭川に向かいました。比布大雪パーキングで最後の休憩です。旅の終わりが近づいていることを実感しました。さすがに寂しくなってきます。
旭川のバイクショップでNinjaとVTRを返却し、タクシーで旭川駅に行き、バスに乗って旭川空港へ。
空港で遅めのお昼御飯をとりました。最後に北海道を味わいたくて、僕はジンギスカン定食を注文しました。妻はホッケ定食です。ちょっとだけホッケをもらって食べました。
あとは、飛行機に乗って帰るだけ。40分遅れのANAで帰ってきました。
たった3日間だけの北海道ツーリングでしたが、本当に中身の濃い3日間になりました。
トロッコ体験にクッチャロ湖、地平線の道に最北端の岬。油の温泉にサロベツ原野。そして、ひっそりとたたずむ最寒の地の湖。中身の濃すぎる3日間でした。
金曜日のANAで中部空港から旭川空港へ。旭川からはレンタルバイクのNinja400RとVTR250で北を目指し、日曜日の飛行機で帰るというプランです。
同じようなコースで4年連続です。2人とも病み付きになっています。
<8月26日>
中部空港発の旭川直行便は朝8時30発のANA一便だけです。昨年まではお昼頃の便だったのでのんびりと家を出ていましたが、今年は6時前に家を出ることになりました。眠い目をこすって愛車Cクラスで空港に急ぎました。
荷物を預け、空港内の店で朝定食を食べて出発時刻を待ちました。
飛行機は定刻を15分遅れで出発しました。
10時30分頃に旭川空港に着きました。天気予報どおり、外は雨。先週は道東を台風が襲い旭川もその影響で土砂降りだったようです。それを思えば、普通の雨降りくらいどうってことはありません。でも、やっぱり青空の下でツーリングを楽しむことができれば、そんないいことはありません。
バスで旭川駅へ行き、イオンモールの1階で少し早めの昼食をとりました。それから、タクシーでレンタルバイクを予約しておいたハーレーショップ「オートジョンブル」さんに向かいました。店員さんもすっかり顔なじみになっていて、手続きもスムーズなものです。
「オートジョンブル」はハーレーの正規販売店ですが、レンタルバイクは別です。僕はNinja400Rを、妻はVTR250をレンタルしました。
旭川北インターから士別剣淵インターまで雨の道央道を走り、名寄の道の駅「もち米の里なよろ」で一休みしました。カッパを着たまま缶コーヒーを飲みました。雨足は弱まってきましたが、雨は降り続いています。そんな天気でも、北海道を走っているというだけで楽しくてたまらない僕たちです。風景が違います。道が道です。雄大な景色を眺めながら止まることなくペースを落とすこともなく走り続けられるのです。
例年よりスタートが早かったので、いつもの初日は美深温泉泊ですが、今回はもう少し遠くまで足をのばすことにしました。美深市街から道道49に入って枝幸方面を目指しました。道道に入ると、道はさらに道らしい道になります。信号や標識、歩行者などに気を遣うことなく、ただただ走るだけ。道とは本来そういうものなのです。直線と緩やかなコーナーで結ばれた道道49。周りは森、畑、牧場・・・。それ以外には何もないのです。それこそ、北海道を走ることの最高の魅力なのです。ひょっこりキタキツネが顔を出したりもします。インカムで「何か動物が出てきそうだなあ」と妻に伝えた矢先に、子ギツネがひょこひょこと道路を横断していきました。
「わっ、あれ見て。」
「かわいい~。」
山の中にトロッコ王国がありました。地図で気になっていた王国です。
バイクを止め、係の人に尋ねると、片道5㎞、往復10㎞を40分ほどかけてエンジン付きトロッコで走る体験ができるそうです。最終が16時発となっていましたが、今走っているトロッコが戻ってきたらすぐに出発できるとのことでした。単線ですからいつでも出られるわけではありません。時刻は15時40分。行くしかありません。
これがまた愉快で愉快でたまりませんでした。旧国鉄の線路の一部を利用してトロッコ体験ができるようになっているのですが、運転と言ってもレールの上を走るのですからハンドルはなく、アクセルに軽く足を乗せているだけで、常に周りの景色を見ていられるのです。鉄橋などはたまりません。足を緩めれば、川の流れを見ることができます。欄干がないので、すぐ下まで見られるのです。
僕たちが乗ったのは、まったくの新車で、初めてお客さんが乗って走ったトロッコだそうです。色はカワサキカラーのグリーン。でも、エンジンはホンダの汎用エンジンでした。そう言えば、いつの間にかすっかり雨も上がっていました。トロッコ体験の40分間は雨が落ちてくることはありませんでした。
トロッコ王国前の交差点を直進するとそのまま道は道道120になりました。道道120も道道49と同じように自然の中の一本道でした。
あらかじめ予約しておいた枝幸町の歌登温泉までやってきました。
朝が早かったせいか、宿に着くと一気に睡魔が襲ってきました。まずは温泉、そしておいしい北の幸の料理、そこから先は記憶が途絶えてしまいました。部屋でテレビを観ながら夢の世界へと入ってしまったのでした。
気持ちのいい道をいっぱい走って、温泉に入って、おいしい晩御飯を食べて、本当にたまりません。わずか二泊三日の北海道ツーリングですが、初日から大満足です。天気予報では、明日は天気が回復する言っていました。
<8月27日>
これでもかっ!というくらい寝ました。前日まで仕事でしかも昨日の睡眠時間は飛行機の時刻の関係で4時間弱。だからなのか、8時くらいにテレビを観ながら意識がなくなり、12時半に一度目を覚ましたもののまた眠ってしまい、気がついたら朝の6時。10時間も寝ていたことになります。
カーテンを開ければ思いっきり青い空。雨が降らなければいいや、それくらいに思っていただけに、うれしさ100倍。
しゃきっとするために朝風呂、朝シャン。スッキリしたところで朝食を済ませ、9時に歌登温泉を出ました。
道道120、道道12を走って枝幸市街に出ました。初めて走った二つの道道の気持ちのいいこと。真っ青な透き通るような空と鮮やかな緑にさわやかな空気。気持ち良すぎです。
ただの道道を走っただけで十分感動していたところへ深い緑のオホーツク海が見えたものですからテンションはどんどん上がっていきました。
まずはクッチャロ湖。澄んだ空気に抜けるような青い空、そこに静かにたたずむ湖。
トイレに入ると聞こえてくる「白鳥の湖」・・・のはずが、湖の紹介のガイドの声が大きくなっていてちょっと残念でした。
地元のライダーに「これからどちらへ」と尋ねられ、宗谷岬と答えると「今日はたぶんサハリンが見えますよ」と教えてくれました。どうやらサハリンは地元の人でもめったに見られないようなのです。
美しい湖に感動し、次は農道エサヌカ線。国道を右に1本外れると、そこには何㎞も続くまっすぐな道。前方も後方も地平線が見える道なのです。地平線から地平線に向かう道などここでしか見られない風景です。妻も僕もメットの中で「すげぇ」の連発でした。
猿払の道の駅で休憩し、いよいよ宗谷岬です。オホーツク海沿いの国道は宗谷岬の手前から海岸段丘を駈け登ります。そこで見えるのが宗谷丘陵。もこもこした起伏の台地は、この世のものとは思えない不思議な風景です。
宗谷岬に着くと本当にサハリンが見えました。探さなくても、目を凝らさなくても、すぐに「サハリンだ」とわかるくらいはっきりと見えました。初めて宗谷岬に立ったのが26年前のことです。それ以来15,6回は宗谷岬に来ています。それでも、サハリンがはっきりと見えたのは初めてのことでした。快晴でしかも雨上がりで空気が澄んでいからなのでしょう。妻も僕もさらにさらにテンションは上がる一方でした。
最北端の食堂でホタテラーメンを食べ、もう一度岬からサハリンを眺めました。
宗谷岬を出て、最北端のスタンドで燃料を入れると、次は西に進路をとりました。すると目の前にはどーんと利尻富士が。こんな遠くからはっきり見えるなんて、こんなことも初めてです。天気が良すぎなのです。こうなったら、大平原のサロベツ原野越しに利尻富士を見てみようと、稚内からR40を南下し、豊富バイパスを通らずに下道を走って、宮の台展望台に向かいました。
すごい眺めです。サロベツ原野は東京山手線の内側二つ分の広さと言われています。その広大な大平原の向こうにでんと構える利尻富士。その景色のスケールの大きさ、もうたまりません。
最後は豊富温泉です。油田採掘中に涌き出た温泉で、別名油温泉と言われるように油の香りが漂う温泉です。油成分の混じったお湯は、疲れた体を癒すのに最高の温泉かもしれません。
その後、道道84、121で幌延に出て、R40で天塩川に沿って南に向かいました。天塩川は先週までの台風3連発の影響で降水量が多かったせいかかなり増水していました。
R40は中川の道の駅を過ぎると音威子府まで店はおろか自販機さえなくなります。去年も一昨年もここでは睡魔と戦いながら走っていましたが、今回は10時間睡眠ですから北の大地の緑を楽しみながら走ることができました。
さすがに豊富からノンストップで走り続けてお尻が痛くなってきたので、音威子府のセイコーマートでコーヒー・タイムにしました。毎年眠気覚ましに利用しているコンビニです。音威子府から今夜の宿「びふか温泉」までは10㎞足らず。こうして快晴の道北をしっかり楽しんで17時40分にびふか温泉に着きました。
北の幸の晩御飯につるつるのお湯の温泉。天候に恵まれ、感動の連続の一日になりました。明日の飛行機で帰る予定ですが、本当はずっとずっと北海道をバイクで走り続けたい気持ちでいっぱいでした。
<8月28日>
あっという間の北海道ツーリング最終日。3日間だけだから、来て、走って、帰るだけですが、ただ帰るだけではつまらない。
9時に美深温泉を出て、美深市街からR275で朱鞠内湖を目指しました。美深峠から朱鞠内湖へのR275は、人気の信州ヴーナスラインをはるかに超える絶景コース。峠と言っても高速コーナーと直線だけの坂道です。広大な景色と見渡す限りの原生林を眺めながら気持ちよく緩やかに体を右に左に傾けて軽快に走り続けました。
朱鞠内湖の手前の日本最寒気温記録の記念公園のようなところでトイレ休憩を取りました。白樺の木に囲まれた静かな公園でした。そして、国道沿いの朱鞠内湖のパーキングへ。ここ朱鞠内湖は-41.2度の最寒気温を記録した地なのです。人造湖なので入りくんだ形の湖で、緑の木々と白い白樺の木に囲まれたひっそりとたたずむ湖です。ここに来ると、ずっと眺めていたい衝動にかられます。視界の中に人工物がどこにも見えないのです。まあ、湖そのものが人工物と言えば人工物なのですが。
素敵なワインディングR275から添牛内でR239に入り、士別に向かいました。R275もR239も交通量はほとんどなく、常に自分たちの最適なペースで走ることができました。遅いクルマがいれば抜けばいいし、速いクルマが来たら抜かさせればいいのです。北海道の道はそういう道なのです。
士別からはR40、道央道で旭川に向かいました。比布大雪パーキングで最後の休憩です。旅の終わりが近づいていることを実感しました。さすがに寂しくなってきます。
旭川のバイクショップでNinjaとVTRを返却し、タクシーで旭川駅に行き、バスに乗って旭川空港へ。
空港で遅めのお昼御飯をとりました。最後に北海道を味わいたくて、僕はジンギスカン定食を注文しました。妻はホッケ定食です。ちょっとだけホッケをもらって食べました。
あとは、飛行機に乗って帰るだけ。40分遅れのANAで帰ってきました。
たった3日間だけの北海道ツーリングでしたが、本当に中身の濃い3日間になりました。
トロッコ体験にクッチャロ湖、地平線の道に最北端の岬。油の温泉にサロベツ原野。そして、ひっそりとたたずむ最寒の地の湖。中身の濃すぎる3日間でした。