ELEVEN HOUSE

北海道だ~い好き❤バイクはカワサキ☆クルマはレクサスCTとタウンエース(キャンカー)とジムニー☆キャンプと鉄道も好き

ビーナスライン全線(蓼科~美ヶ原)走破ツーリング

2009-09-27 12:16:14 | ZRX1100・1200ダエグの部屋

 秋の5連休。どうやら次は2015年だそうだ。これは、ちょっと長めのツーリングに出ないとDscf9212 もったいない。しかし、意地悪なことに市のクリーン活動が連休2日目の午前中に行われるとのこと。それで、1日目の19日はやり残した仕事を片づけ、2日目の20日はクリーン活動に参加し、お昼ころからツーリングに出かけることにした。相棒は、11年目に突入した古いZRX1100と、妻と、妻のCB400SBだ。行き先は秋の信州。温泉と、爽やかな高原を楽しむことにした。

<9月20日>
 市のクリーン活動で、朝から近くの公園の草取りをした。去年は役員だったけれど、今年は一住民としての参加だったから、気楽に参加できた。思ったより早く終わったので、お昼を待たずに10時半ころには豊田の自宅を出た。
 妻は、弁当を用意していた。5連休ともなれば、どこへ行っても混むことは確かだ。だったら、景色のいい所でお弁当というのも一つの手だ。午後からしか出かけられないはずだったので、半日で行ける木曽福島宿の古い旅館を予約しておいた。それが、早めに家を出られることになったので、最短距離のR19を使わずにR153で伊那まで行き、大回りをして福島宿に行くことにした。
 いつも渋滞ぎみの豊田足助をパスする豊田藤岡回りのコースで足助市街地の北側に出て、ひたすら飯田方面に向かった。天気もよく、案外道もすいていて、気持ちよく走り続けた。途中の土手には彼岸花が咲き、秋の訪れを感じさせてくれる。
 広い豊田市は、市の中心部から市境(長野県との県境)まで60㎞くらいあり、普通に走っても豊田を抜けるのに1時間以上かかる。これが日本の代表的な工業都市かと疑いたくなるくらいの山また山の高原道路を軽快に走り、そのまま長野県に入る。
 根羽村、平谷村を過ぎ、旧浪合村(現阿智村)の小さなパーキングでお昼ご飯を食べた。キャンプツーリングで使う小型のテーブルと椅子も持って行ったので、ちょっとしたピクニック気分だ。自然の中で食べると、ただのおにぎりも特別おいしく感じる。
 飯田市内は少し混んでいたが、R153は休日の市の中心部の商店街を通り抜けるのだから、渋滞ぎみになるのはしかたがない。
 飯田市街地を抜けると、左右に連なる山々に圧倒される。右手に見える南アルプス連山、そして、左手には前方に駒ヶ岳がせまってくる。道は単調なローカル国道だが、その風景にツーリング気分も盛り上がってくる。
 松川で国道を外れ、西側の高台を走ることにした。見渡す限りリンゴ園が広がっている。松川IC付近は、リンゴ狩りの農園が立ち並ぶ。長野はリンゴの名産地なのだ。
 国道を外れたのは、道の駅「花の里いいじま」に寄り道をするためだ。道の駅スタンプを集Dscf9194 めるのにハマッている僕は、2度ほど「花の里いいじま」に来てみたが、2回とも休業中でスタンプを押せずに帰った。ただ、そこから眺める南アルプスの眺望がすばらしく、訪れるたびにその姿をカメラに収めてきた。
 3度目の正直でやっと道の駅スタンプをゲットし、さらにバイクを北に進めた。
 駒ヶ根を過ぎてしばらく走ると、R153は天竜川の堤防道路になる。右下に天竜川、左下に伊那市の商店街という不思議な景色だ。大型の商店は、国道に沿って駐車場に入ると、そこが店舗の2階になっているのだ。
 伊那の町の真ん中でR361と交差する。右の橋を渡れば高遠方面、左の商店街に入れば権兵衛峠に向かい、木曽路に出る。
 権兵衛トンネルができたおかげで、わずか30分ほどで木祖村に抜けられる。中山道R19を南に向かい、木曽福島宿に着いたのが午後4時を少し回ったくらいだった。福島宿から10分ほど奥に「二本木の湯」という温泉がある。チェックイン前に温泉に入る時間を確保できるよう行程を考えたが、ほぼ予定どおりに着くことができたので、そのまま温泉に向かった。
 木曽の温泉はどこも泥のような色をしている。二本木温泉も例外ではなく、いい言い方で言えばオレンジ色、実際のところはなんだか汚い色をしていた。ここのお湯には小さな炭酸の泡が無数に含まれ、そのせいか疲れが癒される気分になる。ただ、脱衣場も湯船も狭く、洗い場は5人でいっぱいになる。
 気持ちのよいお湯から上がり、腰に手をあててコーヒー牛乳を一気に飲むと、妻も湯から上Dscf9198 がってきた。外に出ると、夕方の涼しい空気が火照った体を冷まさせてくれて、流れ出る汗を止めてくれる。
 再び福島宿に戻り、予約しておいた鍵旅館に入った。
 鍵旅館は、旧街道沿いの古い昔ながらの旅館で、中山道の宿場町のイメージにぴったり合っている。部屋の真下に木曽川が流れている。愛知県を流れる木曽川とは全く異なり、分水嶺に近い木曽川は、狭くて曲がりくねっている。小さな川で、そのせせらぎの音が心地いい。素朴な料理に舌鼓を打ち、川の音をBGMに眠りに就いたDscf9205
*本日の走行     209㎞
*本日のピースサイン   3発

<9月21日>
 今日の予定は、ビーナスラインの全線走破だ。毎年のように信州ツーリングをしているが、ビーナスラインを走るのは蓼科から和田峠までの区間が多く、美ヶ原まで走ったことがない。逆コースで松本から美ヶ原に入ってビーナスラインを走ったことはあるが、10年以上も前のことで、しかも霧が濃くて景色は見えなかった。妻もそのことを覚えていた。
 9時過ぎに福島宿を出て、権兵衛峠を木曽路から伊那路へと昨日の逆コースで走った。トンネルを抜けて下り坂に差し掛かると、眼下に伊那の町が広がり、その向こう側に南アルプスの山々が見え、雲一つない真っ青な空と見事に調和して、思わず声を上げてしまう。
「わあー、こりゃ、すげえ。」
 伊那の街を抜け、桜で有名な高遠に向かった。途中のコンビニでおにぎりを買い、湖の見えるどこかでお昼を食べることにした。昨日のお昼を外で食べたのがものすごくいい気持ちだったから、旅館で妻とそう決めたのだ。
 高遠からR152で北に向かった。高遠の畑の至る所に美しい花が咲いていた。道は徐々に上り坂になる。その登り切った所が杖突峠だ。
 僕は、杖突峠から見る諏訪湖が好きで、信州ツーリングでは行きか帰りのどちらかでこのDscf9206 峠を通ることにしている。今日は、透き通ったような秋晴れで、蓼科の山々に包まれた諏訪湖の景色に見とれてしまった。
 ヘアピンカーブの続く下り坂で一気に峠を下りると、茅野の街に入る。さすがにクルマが多く、R20を横切るまでは渋滞の中をローとセカンドギアだけののろのろ走行になった。普段の休日でも混み合う街なので、5連休の中日となれば渋滞は覚悟の上だったから、隣にいる妻としゃべりながら蓼科に向かった。
 それでも、蓼科湖の手前でビーナスラインに入ると、クルマの流れも少しはよくなり、蓼科湖にたどり着いた時には、渋滞はなくなっていた。
 いよいよビーナスライン全線走破のスタート位置まで来た。蓼科湖の湖畔にバイクを止め、Dscf9209 ブルーベリー・ソフトクリームを食べた。妻はモンブラン・ソフトクリーム。途中で交換したら、ブルーベリーの味が濃くて、モンブランは味がないような気がした。もともと栗なのだから味は薄いが、ほんのりとした栗の香りもいいものだと思った。
 高原の林の中を前のクルマについて登っていく。先頭のクルマのペースが遅く、気持ちよくコーナーを駆け抜けるということはできなかったが、その分、景色を楽しむことはできた。スズラン峠の手前では、左下にうっそうとした森の中にひっそりと蓼科湖が見え隠れし、高原気分も盛り上がってきた。
 白樺湖に着いた。北側はレジャー施設や近代的なホテル、土産物屋が連なり、全く風情のないただの観光地だが、南側は白樺の林に包まれた高原の湖の雰囲気が残っている。僕は迷わず南側のルートを選んだ。
 湖畔の駐車場にバイクを止め、水辺の白樺林に椅子とテーブルを出した。秋の涼しいそよ風。高原の澄んだ空気。透き通るような青い空。白樺林の中の湖。そんなシチュエーションのDscf9211 中で、コンビニで買ったおにぎりを食べた。昨日のお昼の妻の手作りのおにぎりほどではないが、それでも十分過ぎるくらいおいしかった。なんて気持ちがいいのだろう。すぐ脇には白樺の木があり、手を伸ばせば白樺湖の湖水に手が届きそう。
 昼食を終え、再びビーナスラインに入り、車山~霧ヶ峰と草原の中をゆるやかなコーナーを気持ちよくクリアーしながら走る。行き交うライダー達とピースサインを交わしながら、右に左にバイクを傾けながら秋の高原道路を走り続けた。駐車場はどこもいっぱいで、どこも寄らずにただただ景色と走りを楽しんだ。八島湿原を通りすぎ、和田峠を越えた。ここから先は10数年ぶりのコースだ。和田峠から北は、ややきつめのカーブが増えてくる。先頭のクルマは運転に自信がないのかカーブをおそろしいほどスピードを落として走るので、バイクではかなり走りにくくなる。遠心力を利用してカーブを回るので、駆動力がほとんどかけられないスピードでバイクを倒して回るのは少し怖いくらいだ。そして、のろのろ走行のまま美ヶ原に着いた。
 美術館の駐車場にバイクを止めた。駐車場にはいろいろなナンバーのバイクが止まっていた。僕たちの左右は、なぜか両方とも大宮ナンバーだった。多いのは、やはり関東のナンバーだ。うらやましかったのは富士山ナンバー。僕の「三河」ナンバーよりも、妻の「豊田」ナンバーよりも、はるかにかっこよく見えた。
 駐車場を横切り、展望テラスに向かった。看板には2000mの標示と美ヶ原の文字。そこDscf9221 から眺める美しい北アルプスの山々。そして、なによりもビーナスライン全線走破の満足感。バイクに乗っててよかったとつくづく思った。そして、妻もライダーになったこともうれしく思えた。
 美しい景色を目に焼き付け、駐車場に戻ると、カップルライダーの多いこと。僕たちのように2台で走るライダーだけでなく、タンデムでツーリングを楽しんでいる人もたくさんいた。しかも、みんなうれしそうな顔をしている。
 美ヶ原から先は、狭い峠道を下る。ほとんどUターンに近いくらいの狭いヘアピンカーブが連続し、アップダウンを繰り返しながら下り続ける。途中から県道は林道となり、ますます狭く、ますますカーブはきつくなっていく。時折、林の間から見える景色はほとんど樹海だ。遠く北アルプスが見え隠れするが、景色を眺める時間などないのだ。カーブを曲がったらすぐまたカーブで、きっと腕も腰も数日後には筋肉痛に悩まされることになるだろう。1時間以上も右に左にバイクを倒し、ハンドルを切り、左手でクラッチを左足で数秒ごとにギアチェンジ、右手と右足でブレーキと、ほとんどこれは過酷なスポーツだと思えた。
 腕も腰も、手首足首も痛くなり始めた頃、ひっそりとした湖にたどり着いた。美鈴湖だ。周りDscf9224 はうっそうとした森と、休業中のホテル。美鈴湖はほんとうにただただひっそりとたたずむ湖だった。
 湖畔で少し休憩をとって、今夜の宿、浅間温泉「椿の湯」に向かった。しばらくは森の中の狭いくねくねした下り坂だったが、標識に従って浅間温泉の方向へとバイクを進めると、突然のように古い温泉街に入った。道幅は狭く、小さな温泉旅館が建ち並び、その中にいくつか大きなホテルが建っている。目印になりそうな交差点で地図を確かめようと思って、バイクを止めたら、偶然にもその交差点の目の前が旅館「椿の湯」だった。
 少し離れた駐車場にバイクを置き、旅館に入った。昨日に引き続き昭和中期の趣のある木造二階建ての小さな旅館で、古い温泉街の雰囲気にとけ込んでいた。
 食事の前に温泉に入ることにした。熱い。とにかく熱かった。髪を洗ってシャワーでシャンプーを洗い流そうとしたら、頭が焼けて毛が全部無くなるのではないかと思えるほど熱く、しかも古いシャワーなので温度調整もできない。入っていたのが僕一人だったので、湯船から洗面器でお湯を汲み、直接頭にかけたが、シャワーのお湯ほどではないにしてもやっぱり熱かった。排気ガスで汚れた体を洗ったあと、石鹸を落とすのもシャワーを使わずに湯船のお湯をDscf9228 体にかけた。それで熱さに慣れたのか、湯船に浸かるときには熱いと思いながらもなんとか首まで浸かることができた。無職透明で無臭のお湯だが、肌をこするとキュッキュッと滑り、そっと撫でてみると皮膚はつるつる。しかし、あまりの熱さに耐えかね、長くは入っていられなかった。
 夕食は決して豪華ではないが、量はちょうどよく、味はおいしく、十分満足できる食事だった。しかも、部屋食。その後、心地よい軽い筋肉痛を感じながら、「ブザー・ビート」の最終回を観た。そして、「せっかくだから」と、寝る前にもう一度温泉に入った。信州の夜は肌寒い。熱いお湯に浸かり、体をしっかりと温めて眠った。
*本日の走行     191㎞
*本日のピースサイン  36発

<9月22日>
 外を見ると、空はどんよりと曇っていた。天気予報では、天気は下り坂。そして、昨日は気づかなかったが、交差点の向こう側に道祖神が見えた。穂高や安曇野が有名だが、信濃には道祖神が至る所にあるという。出発前に、写真を撮っておこう。
 食事を終え、9時頃に旅館を出た。交差点の角で道祖神を見ていると、なんだかすごく遠くに来たような気がした。優しい表情の神様といっしょに写真を撮り、バイクのある駐車場へと歩いた。昔ながらの歴史ある温泉街を歩くのもいいものだ。旅番組で見る風景だ。Dscf9230
 バイクにリアシートバッグを取り付けて前に回ると、フロント・フェンダーの向きがおかしいことに気づいた。フロント・フォークに取り付けてあるネジが外れていた。高速走行ではバタつきそうで気になったが、普通に走るには問題はなさそうだ。
 一旦松本市内に入り、燃料を補給し、ガムテープでフェンダーを仮固定した。そして、コンビニでまたまたおにぎりを買い、ついでにカフェラテでモーニングコーヒー・タイムとした。
 R19で帰ると渋滞だらけのように思えたので、まずは扉峠まで県道で登り、ビーナスラインを少し走って和田峠から岡谷に出るコースを走ることにした。
 県道は市街地の商店街を過ぎるとのどかな畑を通り、やがて森の中の上り坂になった。その上り坂に差し掛かったあたりで事件は発生した。僕が「扉温泉」の標示を見て、扉峠とは別の道に入ってしまったのだ。僕はすぐに「違う」と気づき、バイクを止め、向きを変えて元の道に戻ろうとした。そして後に続く妻もバイクの向きを変えようとしたその時、足を滑らせて転倒。すぐに駆けつけて2人で倒れたCBを起こした。妻は、
「なんだか、ここでは向きを変えたくないと思った。」
と言う。いやな予感がしていたらしい。CBは、フロント右側ウィンカー・ステーが緩み、ブレーキーレバーが大きく曲がってしまった。ただ、ウィンカーは作動するし、ステーも指をかける根本は大丈夫だったので、走るには支障はなさそうだった。
 いつもならバイクを倒してしまっても「あーあ、やっちゃった」と平気を装う妻だが、今回は妙に凹んでいる。僕が道を間違えなければこんな事にはならなかったと思うと、ちょっとつらかった。
 気を取り直して、再び扉峠に向けてワィンディングを走った。たまたま前にも後ろにもクルマがいなかったので、いつもより少しペースを落として走った。妻が自信をなくさないように。
 扉峠でビーナスラインに合流し、すぐに峠のパーキングに入った。
「新鮮な牛乳、いかがですか。」
の声が聞こえた。元気を出させようと、
「そうだ、牛乳でも飲むか。」
と、僕。
「私、いらない。」
と、妻。
「いいじゃん、新鮮な牛乳だよ。濃いぞ、きっと。」
 売店に行き、冷たい牛乳を注文すると、妻は、Dscf9232
「じゃあ、私、ホット。」
 バイクの所に戻って、2人で新鮮な牛乳を飲んだ。本当に濃い味がしたような気がした。
 少し元気そうな表情が見えたので、
「よし、行くか。」
と言って、バイクにまたがった。なんとなく妻がまた転倒するのではないかという不安がよぎった。このところいつもバイクにまたがったままバックさせていた妻が、ここではまたがらずに重いバイクを引いてバックさせていた。妻もやっぱり少し不安を感じてたのかもしれない。
 峠のパーキングを出ると、霧がかかっていた。霧ではなく、雲だ。麓から山を見上げたとき、山には雲がかかっているのが見えた。今、僕たちは雲の中を走っている。だんだん視界は悪くなってきたが、走るのに困るほどにはならなかった。雲の中のビーナスラインを気持ちよく右に左にバイクを倒しながらコーナーを駆け抜けると、あっという間に和田峠に差しかかった。ここでビーナスラインと別れ、狭い峠道を下った。昨日の林道ほどではないが、くねくねした下り坂だ。ミラーに映る妻の走りが気になり、コーナーを立ち上がるとき、ついミラーに目が行く。そこに映る妻のライディングは、いつものスムーズなコーナリングだ。「もう大丈夫だな」を心の中でつぶやき、少しペースを上げた。
 峠を下り、片側2車線のR142に入った。どのクルマもかなりのハイペースで走っている。信号もほとんどなく、クルマの流れに合わせて走っていると、岡谷ICがすごく近く感じた。
 インター入口が混んでなければ中央道に入ろうと決めていた。そして、渋滞の標示があったら、その手前のICで下り、R153で帰ることにしていた。
 予想とは裏腹にあまりにもスムーズなクルマの流れだったので、迷わずインターに入った。高速道路の流れもよかった。しばらくして岡谷JCで名古屋方面に入るとますます交通量は減り、いつもの休日と同じくらいに感じられた。情報表示もETCの期限切れの警告だけで、渋滞情報は見られなかった。予想に反して、ずっと快適なペースで走り続けられる。時々、ハイペースで走るライダーが追い越して行く。そんな時はピースサインで見送る。彼らはみな、左手でピースサインを返しながら追い越し車線をすっ飛んでいく。
 右手に中央アルプス、左手にはずっと南アルプスの山々が続く。伊那路の中央道は、東海道一帯の味気ない殺伐としたただ移動するだけの高速道路とは異なり、美しい景色を眺めながら走りそのものを楽しむことのできるすてきな道だ。
 「どこで渋滞にハマるんだろう。」
 5連休の4日目ということで、しかも1000円で走り放題ということもあり、このことだけは、どうしても頭から離れなかった。きっと駒ヶ根辺りで渋滞していて、手前の伊那で下りることになるだろう。そうしたら、どこか景色のいい所で南アルプス連山を眺めながらおにぎりを食べよう。そんなことも思いながら気持ちよく走った。
 松本に近い扉峠からノンストップで走り続けているので、そろそろ休憩にしようと思った。SAはきっと混んでいるから、PAで休憩しよう。いくらすいていても、どうしても頭の中には「渋滞」の二文字が残る。
 伊那ICを少し過ぎた小黒川PAに入った。まだ、12時前だ。トイレをすませ、マルボロで一服。バイク用Pの近くの芝地に東屋風のベンチがあった。ちょっと早いがお昼にすることにした。天気は下り坂という予報だったが、今のところ薄雲が出ているくらいで、日差しが雲で遮られている分、涼しくていい気持ちだ。パーキングに出入りするクルマを眺めながら、おにぎりDscf9235 を食べた。
「このまま飯田山本まで行けちゃうのかなあ。」
「行けるといいね。」
「でも、きっと飯田で渋滞するよ。」
「そうだよね。」
「そうなれば、松川で下りて、のんびり下を走ればいいし。」
「でも、きっと足助で渋滞するよ。」
 時間的にはかなり早い。このままのペースで走れたら、3時半くらいには家に着いてしまう。お昼に駒ヶ根の手前まで来られるなんて思ってもいなかった。
 中央道の快適さと渋滞の心配の両方を感じながら、さらに南へと走った。交通量は一向に増えてこない。結局、快適な走りを楽しんだまま、飯田山本ICまでたどり着いてしまった。本当にうれしい誤算だ。
 R153は飯田を過ぎれば豊田足助まで大きな町はなく、軽快に走ることのできる高原道路だ。愛知県との県境付近の標高1000m前後のいくつかの峠を、ワィンディングロードが結んでいる。木々に囲まれて、空気もおいしい。薄曇りからどんよりとした厚い雲に覆われてきた。天気予報どおりだ。
 道の駅「信州平谷」でコーヒータイムをとり、再びバイクを走らせた。根羽村を越えれば愛知県旧稲武町に入る。平成の大合併でその県境の市が豊田市となったが、景色は信州そのもので、市街地まではまだ60㎞ほどある。
 厚い雲から少し雨粒が落ちてきた。今日の天気は下り坂ということなので、このまま天気がよくなることはないだろう。しばらく走って、路肩にバイクを止め、レインウェアを着た。少し先に「豊田48㎞」の標識がある。
 渋滞を心配していた足助の町が近づいてもそれほど交通量は増えてこない。足助市街地の手前から旧藤岡町に迂回するコースを考えていたが、そのままR153を走り続けた。雨も少しパラついた程度でウェット路面になるほどではなく、走り慣れたコースを走り慣れたペースで家路についた。
 午後3時半、予定より1時間半も早く家に着いた。こうして、僕たちのシルバーウィークは終わった。ちょっとしたトラブルはあったものの、ワィンディング、温泉、宿場町、林道、高速道路、ローカル国道、森と湖、峠道とバラエティに富んだすてきな体験を重ねた3日間になった。
*本日の走行     232㎞
*本日のピースサイン   5発

☆総走行距離       632㎞
☆3日間のピースサインの数 44発Dscf9216
☆使用車種
 ①カワサキZRX1100
 ②ホンダCB400SB

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スーパーカブ号のドレスアップ

2009-09-13 18:13:47 | スーパー・カブの部屋

 今年21年の3月に購入した98年式スーパーカブが当然のようにあまりにも実用車っぽいDscf9185_5 ので、僕なりにドレスアップをして、少しでもオシャレなバイクにしてみようと思い立ちました。11年前のモデルとは言え、大きなモデルチェンジがあるわけでもなく、しかも耐久性は超優れ物で、古くても何一つ不満のないまさに名車中の名車です。
 乗ってみると、これがまた楽しくて楽しくてたまらなくなるほどで、主に買い物かちょっとした用事で乗るだけですが、なんとなく顔がほころんでしまいそうになります。自転Dscf9186 車のおもしろさとバイクのおもしろさを兼ね備えた素敵な乗り物です。もう1台のバイクのZRX1100にまたがるとちょっとした緊張感を感じますが、スーパーカブ号なら漕がなくても走る自転車という気楽な気持ちでまたがることができます。
 走ってみると、以外にコーナリング性能もよく、3速のチェンジも1速でも2速でもなんと3速からでもスタートできるトルクの大きさと幅広いギア比で、マニュアル操作といっDscf9187_2 てもクラッチ操作もなく、ほとんどオートマ感覚で走ることができます。
 ドレスアップは、まずシートをロングシートに交換しました。これで、印象はずいぶん変わりま したが、なんとなく東南アジアのどこかの国の多くの人が一家4人が1台のカブに乗っている映像を想像してしまいそうな感じもします。そして、元々はリアシート部は荷台になっていたので、やっぱり荷物が積めDscf9190 るようにと、リアキャリアを装着しました。
 荷物も、気軽に積みたいということで、フロントカウルの前に大型のキャリア(籠)を、そしてカウルの内側には小型のキャリア(籠)を着けました。これで、Dscf9188 免許証などの入ったセカンドバッグは安全のために内側に入れ、買い物などの袋はフロントの籠に放り込むようにしています。
 次に、ウィンカーレンズをクリアーレンズに交換し、球をオレンジ球にして作動時だけオレンジの光で、通常はクリアーレンズになっていて、これで完Dscf9189 全に実用車っぽさは抜けたような気がしています。
 オシャレな雰囲気になると、ますます乗るのが楽しくなってきます。一度、スーパーカブ号でツーリングに出かけたいと思っていますが、今ひとつ勇気が出Dscf9191 なくて、先週も決行しようと思いながらZRX1100で出かけてしまいました。実は、実用域での最高速度は時速50㎞強という程度で、大型車に抜かれる時は怖くてたまらないのです。今では、原付バイクで走っている人はすごい!と思うようになりました。きっと、カブ号でのツーリングはすごく楽しいだろうなあと思っています。

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