2011年3月5日に納車だったミニですが、購入時に早くもドレスアップをしました。
前オーナーが施したドレスアップは、ベースの99年式ミニ・メイフィアにクーパー用本革シ ートと内張り、木目パネル、クーパー用純正アルミホイール、HI-LOコイルスプリング、TEXフェンダーミラー、MK-1トランクハンドル、ルーカス・サイ ドマーカー、ボディ同色オーバーフェンダー・フェンダーモールと、なかなかセンスのいいおしゃれな改造が施されていました。
特 に改造部分として、サスがコイル・スプリングに替えてあったのがうれしかったです。車検証には「改」の文字が入っていました。これで、乗り心地は格段によくなっているのです。元々は固いゴムの固まりが バネの代わりになっているのですから。そして、本革シート。やっぱり気持ちがいいです。僕のファースト・カーのメルセデスCLKは、背伸びに背伸びをして買ったため、買うだけで精一杯 でとてもオプションの本革シートを選ぶことができませんでした。だから、ミニの本革シートに大大大満足です。6年前、清水の舞台から飛び降りるようにして買ったベンツよりも、お小遣いをちまちまと貯めて買った軽トラより安い中古のミニの方が座り心地がいいような気がしてしまうか ら不思議です。
ここから先は、僕の意志によるドレスアップです。前オーナーによる品のあるドレスアップに加え、もう少しクーパーらしさを前面に出すこと にしました。そこで購入時に、屋根をホワート・ルーフにし、ボンネットにもクーパーにオプションだったホワイト・ラインを入れました。さらに、家から5分ほどの所に東海環状道の豊田松平インターがあるので、よく高速を使うということでETCも付けました。パワーウィンドゥさえもついてないので必需品かもしれません。
購入後すぐに付けたのが、雨樋に挟むようにして取り付ける小型のドア・ミラーです。フェンダー・ミラーはおしゃれでいいのですが、後方視界はあまりよくありません。見えるには見えるのですが、見えているクルマがどのあたりにいるのか掴みにくいのです。 まだフェンダー・ミラーだった頃の学生時代にラリーをやっている時、運転席側だけをドアミラーにして参戦していました。お世辞にもかっこいいとは言えませんが、悪くはないと思っています。なによりも、安全性は格段に向上しました。小さいながらも、すごく見やすいのです。
あ とは、ミニとグランパスのコラボ・マグネットステッカーを自作し、僕だけで乗るときにだけ貼っています。うまくできたと思っていますが、妻はステッカーが嫌いなのです。
こうして、少しずつ少しずつ僕だけのミニに仕上げていくつもりです。
納車後1週間は毎日ミニで通勤しました。職場での評判もなかなかいいです。特に、希望のカラーではなかったはずの超レアなハワイアンブルーのカラーが好評です。「かわいい」に加え、みんなが「きれいな色だ」と言ってくれます。僕自身、ブリティッシュ・グリーンなど緑系のクーパーにばかり目が行っていたのですが、岡崎の専門店に展示してあった数々のミニの中で妙に気になって気になって、とうとう緑でもクーパーでもないミニを買ってしまったのです。買ってからわずか1週間あまりしか経っていませんが、今ではお気に入りのカラーになっています。
運転していても、何もかも力を入れて操作することが楽しくてたまらないのです。だから、「今日も仕事か~」とややブルーな気持ちだった出勤も、ミニを走らせる楽しさや喜びの方が大きく、通勤さえも楽しくてたまりません。
納車の時、ミニはバイクと同じでエンジンオイルとミッションオイルが共用のため、ミッショ ンにオイルが回るまで、5分間ほど暖気が必要だという説明を受けました。そう言えば、確かに昔は暖気が必要でした。なんと言っても、ミニが世に出たのは、空冷のパブリカが発売させるより前だったのです。基本設計は発売当時から変わっていないのですから、当然暖気は必要だと納得しました。今は、出勤前にエンジンをかけてから車外で一服しながらミニを眺める時間さえも至福の時間になっているのです。
2011年3月5日の土曜日、長年の夢だったローバーミニのーナーになる日がついにや ってきました。
午後4時すぎに父のクルマに乗せてもらって岡崎のミニの専門店に行きました。そこには、注文しておいた水色メタリック(ハワイアンブルー)に白いルーフの99年式ミニに真新しい豊田ナンバーがついて置かれていました。
お金を払い、担当のIさんから、クルマについての説明を受けました。今のクルマと違い、1959年に発売されたクルマです。改良に改良を重ねて40年余りにわたって生産されてきたクルマです。空調などの操作方法では、免許を取って初めて運転した初代カローラに通じるものがあり、なつかしさを感じました。また、バイクと同じでエンジンオイルとミッションオイルが共通のため、ミッション(AT)にオイルが回るまでの暖気も必要です。暖気という言葉も、久しぶりに聞きました。Iさんの丁寧な説明で、旧車独特の操作もよく分かりまし た。
いよいよ初乗りです。駐車場を出るときは、パワステのないハンドルになつかしさを感じました。走り出してしまえば、重ステも気になりません。フェンダーミラーは、見えることは見えるのですが、見えているクルマがどの辺りにいるのかがつかみにくく、車線変更では少し気を遣いました。走っていると気分がよくなり、豊田市水源町の水源公園に寄り道をし、写真を撮ったり、しみじみと眺めたりし ました。
夜には、用もないのにちょっと離れた所にあるコンビニまで行きました。ただ、乗りたかっただけです。あらかじめ取り寄せておいた簡易式のミニ用ドアミラーを取り付け、後方視界もばっちりになりました。不人気カラーのハワイアン・ブルー(水色メタリック)も、すごく素敵な色に見えました。大きな無駄遣い、実物大のミニカー、そんな感じのローバーミニですが、見ているだけで幸せな気分にし てくれるクルマです。
翌日の日曜日、いよいよ初ドライブです。
契約した日から、ローバーミニでの初ドライブは、愛知長久手のトヨタ博物館と決めていました。ミニが発売された1959年、昭和34年当時のクルマを見てみようと思ったからです。
午前中は家の掃除などをして過ごしましたが、掃除をしていても乗りたくて乗りたくてたまりませんでした。
午後になって、いよいよ出発です。まずは暖気です。最終モデルはキャブではなくインジェクションなので、エンジン・キーをひねれば一発でエンジンがかかります。それから、クルマから出てマルボロを一本。いつものたばこですが、ミニの古くさい昔なつかしいエンジン音を聴きながらの一服はなんだか特別の一服のような気がしました。大袈裟に言えば、走り出す前のセレモニーのように思いました。
重いハンドルを回しながらミニをガレージから出しました。そして、トヨタ博物館のある長久手町に向かいました。豊田市郊外の国道は制限速度が50㎞/hです。ミニの運転感覚はなんとなくゴーカートに似ていて、50㎞/h~60㎞/hも出せばそこそこスピード感が感じられました。古めかしいエンジン音と灰皿のビビリ音さえもいい気持ちになってくるから不思議です。それがミニにとっては快適なのです。ところが、それくらいの速度で走っていると、僕の後ろには常に数台のクルマが連なるのです。ただ、ミニが小さいせいか、よくすぐ後ろにぴったり つけられ、ちょっとイヤな気持ちになることもありました。
1時間ほどでトヨタ博物館に着き、駐車場にミニを置きました。そして、博物館の建物をバックに初ドライブの記念写真を撮り、中に入りました。ベンツのルーツの三輪自転車のようなクルマから次世代の燃料電池車まで、幅広く展示してありますが、僕の好きなコーナーは70年代の国産のクルマたちです。トヨタ2000GT、コスモ・スポーツ、117クーペ、GTOをはじめ、コロナHTやカローラ・スプ リンター、セリカLBなど、普通にかっこいいクルマが展示場にあふれているのです。子どもの頃のあこがれのクルマに目を奪われてしまうのです。
ミニが発売された1959年は、まだ日野ルノー、観音開きでブラジャー・ グリルの初代クラウン、角角の初代トヨエースなど、日本ではクルマがめずらしかった時代だったのです。なんと言っても、空冷のバタバタ音のパブリカさえも、まだ発売されてなかったのですから。僕は、59年から東京オリンピックが開催された5年間に発売されたクルマを中心に写真を撮りました。フェアレディ、マツダ・クーペ、ホンダS500などが そうです。もちろん今では見ることもないような古~いクルマばかりですが、ミニの発売はそれよりももっと前だったのです。
一通り見た後、僕が世界一の名車と勝手に思っている大好きなトヨタ2 000GTのTシャツを買って、駐車場に戻りました。
次は、高速道路やワィンディング・ロードも走ってみようと、岐阜県南部の東濃地方へとミニを走らせました。猿投グリーン・ロードで豊田藤岡へ、藤岡から東海環状道で瀬戸品野に向かいました。グリーン・ロードは「○○高原スカイライン」風の道で、緑の中をゆるやかなカーブが心地よく、いい気持ちで走ることができました。高速道路では制限速度の100㎞/hは余裕で出ますが、室内音はかなりやかましくなります。気持ちよく走ることができるのは80㎞/h~90㎞/hくらいでした。普段の足のCLKはスポーツ・モデルということもあり、知らず知らずのうちにとんでもない速度になっていることがあります。高速道路での80㎞/h~90㎞/hは徐行運転に近い感覚です。そんな速度でも、ミニなら楽しいのです。そもそも、1959年には100㎞/h走行など想定されてなかったと思われるのですから。
瀬戸品野からのR363は、愛知と岐阜の県境にかなりタイトなヘアピンの続く峠があります。重ステのため、腕には力がいりますが、路面とのダイレクト感がたまりませんでした。ペースは決して速くはないのですが、固い足回りでがっちりと路面を掴んでいる感じがなつかしかったです。
峠を登り切ると、高原道路になります。所々狭い山村を通り、いかにも日本の原風景といった景色の中を走ります。のどかな山村にレトロなデザインの旧ミニは、とてもよく似合ってい るように思いました。柿野温泉、曾木温泉を過ぎて土岐市から恵那市に入って北に折れると、はるか上空を走る高い橋を見上げます。小里川大橋です。天空の橋とも言えるくらい壮観なものです。橋の下(あまりにも高すぎて橋の下という気がしないけど)を通り過ぎて次の交差点を左折すると、急坂を上って天空の橋・小里川大橋を渡ります。下から見上げるととんでもないくらいの橋でも、通っているとただの橋。それでも、少し前に下から見上げているので、すごい所を走ってるという気持ちにはなります。
橋を渡ると、山だけの風景の中に観覧車のような丸いものがひときわ目立って見えてきます。小里川ダムの脇にある道の駅「おばあちゃん市・山岡」にある日本一の水車です。
道の駅「おばあちゃん市・山岡」の駐車場にクルマを止めました。そして、日本一の水車をバックにミニをカメラでパチリ。いい感じに撮れました。
巨大水車を間近で見た後、少し道の駅をぶらぶらして、小里川ダムに行ってみました 。駐車場の隅にミニを止め、小さなトランクから折りたたみ椅子を出してダム湖とミニを眺めながら缶コーヒーを飲みました。木々はまだ冬の色で、ダムの水も少なく、気分爽快ということにはなりませんでしたが、なんとも幸せな気分に浸ることができました。新緑の季節にまた来ようと思いながらマルボロを吸い、小里川ダムをあとにしました。
帰りはR419で旧小原村から豊田に戻りました。
走っているときも、クルマを止めてながめているときも、心から幸せな気分になれたところにも、ミニの魅力が隠されているように思いました。古いクルマだけに、これから手がかかると思いますが、いっぱいいっぱい楽しんでみようと思っています。初ドライブの手応えは、もちろん大きな大きな花丸です。
写真の1/43スケールのミニカーの43倍の本物を買うことにしました。20年以上前から の夢だったのです。そして、いよいよ長い間秘かに探していた安くて程度の良いローバーミニが見つかったのです。
岡崎のミニ専門店に並んでいた旧ミニの中に、高年次(と言っても、10年以上前に生産が終わってるので、超古いです)のミニで、ひときわ気になるミニがありました。グレードはメイフィアという一番下のグレードです。理想は人気の「ミニ・クーパー」ですが、どれも100万円以上の値段がついていました。気になったミニ・メイフィアは、ハワイアンブルーというやや濃いめの水色のメタリックのきれいな色でした。探していたのは、人気のブリティッシュ・グリーンなどの緑系か赤のミニだったのですが、なぜか妙に水色メタリックのミニに惹かれました。ハワイアンブルーのカラーは、97年と98年の2年間だけカタログに載っていて、ほとんど売れなかったので最終の99年には設定がなくなったというレアなカラーだそうです。ずっとミニが気になっていましたが、今までに一度も見たことのない色でした。僕の理想の色ではなかったのですが、見ているうちに「きれいな色だなあ」と思えてきたのです。それに、みんなといっしょというのもつまらないような気がしてきました。しかも、人気グレード・人気カラーのミニよりずいぶん安く、妻の中型バイクよりも安かったのです。年式も、98年モデルの99年式(つまり、新車の時も売れ残りだった・・・)です。値段が安かったのでメンテナンス状況が気になりましたが、どうやらばっちりのようでした。店の人の話では、登録後に走行テストを何度も行い、「これで大丈夫」という状態になったことを 確認した上で引き渡しということにしているとのことでした。さらに、内装は上級モデルのクーパーの本革シートに替えられていて、ダッシュボードも木目のものになっていました。装備はほぼクーパーと同じになっていて、もともとエンジン等はクーパーもメイフィアも共通なので、ほとんど「ミニ・クーパー」と同じです。
決めるときは、妻と一緒に行きました。「私も乗りたい」ということで、登録諸費用分は出してくれると言うので、思い切って買うことにしました。心のどこかに「すごい無駄遣い」という思いもありました。契約してからも、その思いは残っていましたが、長年の夢が現実のものになる喜びの方が大きくなっています。妻の資金援助が得られたので、屋根を白に塗装し、ボンネットにホワイト・ラインを入れて、さらにETCも着けることにしました。これで、完全にミニ・クーパーです。
僕の趣味の一つが、ミニカー集めです。43分の1モデルも既に200数十台集めました。 ミニのオーナーになるのは、20年来の夢でした。ミニだけは、ミニカーだけでなく、本物も手に入れたかったのです。それに、20世紀を代表するバイクとクルマに乗りたいという思いもありました。2年前には98年式スーパーカブを手に入れました。コレクションというより、休日の買い物や通院、サッカー観戦の便利な足になっています。また一つ、夢が実現します。ミニに乗っている人を見ると、みんな幸せそうな顔をしているように見えます。よほど楽しいクルマなのでしょう。パワステもパワーウィンドゥも何も着いてない昔のクルマですが、愛らしいデザインは今でも十分魅力的です。無駄遣いの後ろめたさを感じつつ、納車を楽しみにしています。
後日、購入したショップのショーケースで、なんととってもレアなハワイアンブルーのミニ・クーパーのミニカーを見つけました。屋根は白く、ボンネットには白いラインと、僕が注文したミニと全く同じでした。店員さんの話では、本国のイギリスでは人気色だったそうです。また 一つ、ミニカー・コレクションも台数が増えてしまいました。「いいじゃん。中型バイクと同じくらいの値段だもん。11年も同じバイクに乗ってたじゃん。来年の家庭訪問はミニで行こうかなあ、道せまいから。」と笑う理解のある妻に感謝です。