< 4月24日>
4月に入って、ハードな毎日が続いていました。26日の月曜日が妻も僕も同じように代休になったので、GW前に温泉にでも行ってのんびり体を癒したいと思いました。
インターネットで、長野県南部の売木村に間欠泉の出る温泉があることを知りました。すぐ隣の平谷村までならバイクでぶらっと散歩に出かけています。だから、売木村はそれほど遠くには感じません。それから、少し前のテレビの旅番組で日本の秘境として飯田市遠山郷を紹介していました。地図で確かめると、そこも売木村からそれほど遠くではありませんでした。せっかくの臨時の休日ですから、のんびりと家で体を休めてGWに備えるという選択肢もあったのですが、「迷った。やる!」を信条としている僕ですから、先週の水曜日に間欠泉の出る温泉宿を予約してしまいました。
金曜日は、10時過ぎまで仕事をしました。土曜日は、家でじっとしていました。
そして日曜日、9時半頃に古いローバーミニのエンジンとミッションを十分に暖機し、豊田の自宅を出ました。R301に入ると、絶好の行楽日和だったせいか、かなり交通量が多かったのです。これでは足助の街で渋滞ぎみになるだろうと思い、東海環状道で豊田松平ICから豊田藤岡ICまで走り、足助の山越えコースで足助市街地の北でR153に出ました。藤岡御作地区では、自然の山桜の淡いピンクがすごく美しく、新緑に映えていました。スタートしてすぐに、今の季節のすばらしさが感じられたのです。ローバーミニは車体が小さく、それでいて固い足回りですからくねくねした狭い山道は得意です。足助の山越えも、美しい景色の中を気持ちよく走ることができました。
長野県平谷村まで新緑の景色に包まれたR153のワインディング・ロードを一気に走ります。長野県に入り、根羽村を過ぎ、平谷からR418を南に下りました。宿泊する売木村を 抜けて、阿南町の千石平の道の駅で最初の休憩です。
R418の交通量は少なかったのですが、なぜか道の駅はとても混んでいました。そこで、道の駅スタンプをゲットするだけにして、さらにR418を南に向かって走りました。ところが、とても国道とは思えない狭い山道になり、石は転がっているわ、湧水は流れているわ、秘境と呼ばれている地に向かっていることを実感しました。途中の空き地で妻の手作りのおにぎりを頬張り、し ばらく2人で山また山の景色を眺めました。
「えらい所に来たもんだなあ。」
家からそれほど遠くない所なのに、まさに秘境の景色が眼下に広がっているのです。
お腹もいっぱいになり、再びMINIを走らせました。サスペンションなど無いに等しいクルマです。ゴツゴツヒョコヒョコとくねくね山道を走り続けましたが、なんと、その状況で助手席の妻は居眠りを始めたのです。ゴーカートのような乗り心地と評されることの多いMINIですが、一応コイル・スプリングに替えてあるせいか、これでも案外乗り心地はいいのかもしれません。
20㎞以上も重ステを右に左に回し続けましたが、それもだんだん楽しくなってきました。山また山の天龍村を抜け、R152に入ると、濃いピンクと淡いピンクの花が咲き乱れるユートピアのような世界が広がっていました。家も、看板も、すべてが子どもの頃の風景と重なり、 まるで子どもの頃にタイムスリップしたような感じがしました。「千と千尋」の最初のトンネルの雰囲気とも重なりました。
遠山川に沿った小径には赤やピンクの花が咲き乱れていました。思わずハンドルを切り、川縁へとMINIを進めました。
道の駅「遠山郷」で2つ目のスタンプをゲットし、どこかでガソリンを入れ て遠山郷を散策しようということにしました。案内所でパンフレットをいただき、そこに記された地図に従ってGSに行きました。すると、なんと地図上では村に一つのスタンドが休みだったのです。売木村まで戻るには、また険しい山道を走らなければなりません。それを考えると、ガソリンが足らないのです。仕方なく、秘境の雰囲気、、いや、むしろユートピアの雰囲気だけを味わって、R418の狭い山道を戻りました。
千石平でガソリンを補給し、売木村の間欠泉の出る温泉「塩吹館」に向かいました。
間欠泉は、宿の駐車場に近い山の斜面にありました。チェックインを終え、宿の人に 間欠泉について話を聞きました。間欠泉は、毎時00分になると決まって40秒ほど温泉が吹出すそうです。部屋の入って時計を見ると、4時55分。急いで 駐車場に走り、カメラを構えました。本当に5時ちょうどに、山の斜面からお湯が吹き上げたのです。それも、かなり勢いよく。写真を取りまくりましたが、しばらくするとピタッ止まりました。見ていて、なんだかとても愉快な気がしました。
その後、気持ちのいい温泉でのんびりし、肉と野菜の蒸籠蒸しや串にさしたイワナの塩焼き、それに五平餅などの囲炉裏料理を楽しみました。うとうとしながらテレビを観て、寝る前にもう一度温泉に浸かって、いい気持ちで眠りに就きまし た。
<4月25日>
早起きして朝風呂に入るつもりでしたが、ついつい二度寝をしてしまい、8時の朝食の時間が近づいてしまいました。7時55分に部屋を出て、8時の間欠泉の吹き出しを眺めて大広間に行きました。
朝食を終え、9時過ぎにチェックアウトしましたが、もう一度だけ間欠泉を見たくて、10 時を待ちました。間欠泉とは、それくらい楽しみになるものなのです。いきなり地面からピューッとお湯が吹き上がるのですからそれはそれは愉快なのです。
10時の間欠泉の吹き出しをしっかりと眺めて、宿を出ました。のどかな県道を通ると、右手の山並には山桜などが満開で、豊田の住宅地に住む僕にはまるで違う世界をMINIで走っているような気がしました。なんだかMINIが似合う風景にも思えました。
県道からR151に入ると、道は突然険しくなり、、例によって狭いくねくね山道になりました。R151の国道番号からは想像できないような道でしたが、愛知県境を越えたとたん、広くて走りやすいワインディング・ロードになりました。豊根村の道の駅に入り、今回4つ目のスタンプをゲットしました。
豊根村の道の駅は小さな駅でしたが、ここでも周りの木々は美しい花を咲かせていて、いい雰囲気の道の駅でした。地元産の「飲むヨーグルト」は粘度が高く、2人で顔を見合わせて、
「バリウムを思い出しちゃった。」
同時に言ったので、ヨーグルトを吹出しそうになってしまいました。胃検診のバリウムも、これくらいおいしかったらいいのに。
ヨーグルトを飲んでいると、天気予報では晴れの予報でしたが、雨が降り出したのです。一時的な雨だろうと思い、またまた山道を通って茶臼山に行きました。豊根側から登る道もなかなか険しい道でした。コースは日光いろは坂の極狭版。右、左と10数mごとに交互にヘアピン・カーブが続きながら急坂を登ります。エアコンのないMINIは窓ガラスがどんどん曇ってきます。しだいに雨はみぞれになり、霧も出てきました。タオルでウィンドゥを拭き拭き、重ス テを左右に切って登ります。大変な操作のようですが、体とガラスはかなり近いので、簡単に曇りを拭うことができます。そうこうしながら登り続けると、山頂付近でみぞれは雪に変わりました。すでに道路以外は真っ白で、山頂の駐車場さえ、どこにあるのか分からないほどでした。まさか、4月下旬に愛知 県で真っ白な景色を見るとは思いませんでした。
結局、茶臼山は雪と霧で何も見えず、窓を拭き拭きそのまま茶臼山高原道路を走って長野県津具村の道の駅に行きました。この辺りは、長野と愛知の県境が複雑に入り組み、愛知だったり長野だったりします。津具村の 道の駅は、平日だからかひっそりとしていました。キャンプ場などが併設された広々とした道の駅で、夏になったらぜひ来てみたい道の駅です。僕たちは、霧にむせぶ高原の景色を眺めながら温かいコーヒーを飲みました。
津具村の道の駅を出ると、再び茶臼山高原道路をを走り、愛知県設楽町に出て、R257で豊田市稲武まで走りました。名倉川に沿って植えられている桜が満開になり、美しく列をなしているのが見えます。雨は一向にやむ気配はありませんでした。
稲武の道の駅でみそ味の五平餅とミニうどんのセットでお昼ご飯にしました。時間は早いので、豊田界隈では有名な瑞龍寺のしだれ桜を見に行くことにしました。瑞龍寺の近くのR153の少し広めになった路肩にMINIを止め、雨の中を歩きました。樹齢360年とも言われ るしだれ桜は満開を過ぎ、葉桜になっていましたが、雨に光るしだれ桜は美しいものでした。雨の平日だからこそ、こうして有名な瑞龍寺のしだれ桜を見ることができたのだと思います。
稲武からはR153の快走路で家路に就きました、R153は僕のツーリング散歩道です。バイクで走っても、クラシックMINIで走っても、FRスポーツのCLKで走っても、気持ちのいい道です。
GWを目前に、温泉ドライブでMINIを走らせましたが、今回ほど「MINIでよかった」と思 ったことはありません。狭い山道はMINIだからこそとっても楽しく走ることができたように思います。ただ、エアコンがないので、雪道でウィンドウが雲って雲って大変だったことだけは欠点と言えば欠点です。それでも、狭いクルマですから、車内のどこでも手が届くので、簡単に窓を拭きながら走れますから、大きな欠点ではありません。
欠点さえ楽しく感じてしまうのがMINIなのかもしれません。