今年は自治区の役員を仰せつかってしまったため、なかなか自由に使える休日がなかった。この22日から24日の3連休は、めずらしく何一つ予定が入ってなかったため、絶対にツーリングかドライブに出かけようと心に決めていた。
22日は、きっと仕事が残っているだろうと思っていたので、やるべき仕事をすべて片づける日とした。そして、23日~24日が暖かくていい天気になれば妻と2人、2台のバイクで走り、寒くなりそうだったり、雨の予報だったりしたらクルマで行こうと計画した。行き先も、季節に合わせて紅葉を見ながら、比較的温暖な浜名湖から渥美半島へ行くことにした。
<11月23日>
23日の朝、翌日の降水確率が80%とのことで、愛車VOXYでドライブすることにした。9時半に、妻の作ったお弁当を持って豊田の自宅を出て、R301で東に向かった。豊田市松平から下山にかけて、周辺の山々は赤や黄色に色づき、秋の模様が広がっていた。新城市作手はまさに感動の連続と言っていいほど、山々が秋の装いに包まれ、三河高原の秋を十分に満喫しながらのんびりとクルマを走らせた。調子に乗って、予定していなかった本宮山スカイラインを通るルートを選んだが、枯れ葉となって葉が落ちてしまっている木も多く、もう少し早い時期に来ればよかったと思った。
山を下り、R151で北に向かって新城市街に入ると、行楽日和なのかやや渋滞ぎみになっていた。長篠古戦場あたりはかなりの混み方だったが、それでものろのろと動いていたので、それほどいらいらすることなくR257に入った。そのままR301を走らなかったのは、道の 駅「鳳来三河三石」に寄りたかったからだ。昨年、道の駅スタンプブックを手にしてから、道の駅に寄ってはスタンプを押すということがたまらなくうれしく感じるようになってしまった。
道の駅「鳳来三河三石」には、ツーリングのライダーたちがたくさんいた。僕たちも日帰りの予定だったらバイクで走っていただろう。気温も15℃くらいで青空が広がっている。秋の空気を直に吸いながら、紅葉の中の道を走るなんて、最高の気分だろうと思う。
R257を更に東に進むと、奥浜名の金指に出る。R362通称姫街道で三ヶ日に向かった。しばらくすると浜名湖が見えてくる。湖岸の道はなんとも気持ちがいい。寸座を通り過ぎた辺りで南に折れ、都筑の水泳場近くにクルマを止め、湖岸の駐車場脇の松林の下でお弁当を食べることにした。
VOXYに積み込んだ折りたたみのディレクター・チェアを2脚と小さなテーブルを出して、昼 食の準備完了。のんびりと奥浜名湖の風光明媚な景色を見ながらの食事は特別においしい。遠くに見える東名高速の浜名湖大橋は太陽の光を受けて光っている。湖面のキラキラし た光と、青い空と、緑の中に黄色や赤が混じった秋の山が見事に調和していて美しい。
食事を終え、湖岸の狭い道を通ると、三ヶ日の奥浜名大橋のたもとに出た。奥浜名湖のポスターに必ず登場する赤い橋は、奥浜名湖を象徴する建造物のような気がしている。だから、渡るのにちょっと緊張する。
橋を渡ると、姫街道R362から、浜名湖の西側を走るR301に入る。家のすぐ近くを走るR301が東の方では観光道路になっていることが不思議だ。
しばらくの間、浜名湖を左手に見ながら走ったが、次の目的地を道の駅「潮見坂」としたため、新居の関所の手前で県道173でR1に向かった。右手に大きな工場が見えた。そして、少ししたら工場の屋根に大きな「スズキ」の看板があった。安いクルマを作らせたら右に出る 者はいないと思えるクルマづくりをするイメージだったが、今は、安いだけでなく、「安くていいクルマ」を作っているようなイメージに変わっている。
R1に出るとすぐに道の駅「潮見坂」はあった。遠州灘がずっと先まで見渡せるすてきな場所だ。これで、今回2つ目のスタンプをゲットした。
R1からR42に入り、渥美半島の先端伊良湖岬を目指す。ただし、ここでも、途中でR42を外れ、田原市街地に入って道の駅「田原めっくんはうす」に立ち寄らなければならない。R42は渥美半島の太平洋側を通るルートだが、海はまったく見えない。ビニールハウスと林とキャベツ畑が続く単調な道だが、僕はこういうローカル国道が好きだ。いい気分でクルマを走らせ、途中から県道413で田原市街に入った。
「田原めっくんはうす」で、今回3つ目のスタンプをゲットした。道の駅の中は、渥美地方の農産物が所狭しと並べられていた。渥美と言えばハウス・メロン。1玉1200円のメロンを一つと、田原みかん1袋、さらにミカンゼリーなるものを2袋と、ついついいくつも買ってしまった。ここまで土産らしい土産を買ってないので、多少の無駄遣いもOKだ。
県道414で再び太平洋側のR42に入った。旧赤羽根町の海岸は、太平洋ロングビーチと呼ばれ、サーファーたちのメッカだ。国道もヤシ並木となり、どことなく南国気分も感じられるが、気温は15℃。ヒーターで車内をがんがん暖めている今は、完全には南国気分にはなれない。
赤羽根を過ぎると、R42はますます単調な道になる。好きな道だが、睡魔との戦いの道にもなる。缶コーヒーを飲みながら、睡魔と戦う。その戦いも10㎞以上に及ぶからたまらない。助手席の妻もふわふわしているから、状況は同じみたいだ。日出の石門のパーキングが見えた時は、本当にほっとした。
クルマを止め、海を眺めた。太平洋の荒々しさはなく、穏やかな海だった。浜辺に下り、砂 浜を歩くと、夕日がとてもきれいだった。岩岩の間に目が覚めるほど大きな夕日が西の海に浮かんでいる。思わずカメラのシャッターを押す。
日出の石門のパーキングから今日の最終目的地の伊良湖岬まではわずか2㎞ほどだ。岬のフェリー乗り場にある道の駅「伊良湖クリスタルポルト」で、今回予定していた4つのすべてのスタンプを押すことができた。そして、外に出ると、美しい夕日がまさに沈もうとする瞬間だった。港の向こうでわずかに海にかかっている真っ赤な太陽を、電柱などの邪魔物のない場所で撮りたいと思ったが、いい撮影場所を探しているうちに日が沈んでしまう。あまりいい構図にはならなかったが、沈みかかっている夕日をばっちりとカメラに収めた。
今夜の宿は、フェリー乗り場入り口の交差点の角にある旅館「恋路ケ浜・黒潮」だ。1時間ほど和洋室の部屋でごろごろしながら、これまでに集めた道の駅スタンプを眺めていた。夕食も、ずわい蟹1匹と鯛の煮物をはじめありとあらゆる海の幸いっぱいの食事に大満足。お風呂も温泉ではないが、なんとなく温泉のようなすべすべした感じのお湯で、とてもいい気持ちだった。
<11月24日>
予報どおり、空はどんよりと雲っていた。お昼頃から雨という予報だが、今日は帰るだけだからあまり天気は気にならなかった。と言うより、天気が悪いのは覚悟の上のことで、もしいい天気だったら「バイクで来ればよかった」と後悔することになるだろう。
チェックアウトを終え、すぐ近くのフェリー乗り場に行って、11時15分発の師崎行きのフェリ ーの乗船手続きをした。出航まで小1時間ほどあるので、恋路ケ浜で行ってみた。曇り空の砂浜は寒々とした感じがした。昨日と同じように波はとても穏やかで、沖には大型の貨物船と小さな漁船が何隻も行き来していた。遠くには日出の石門が見え、そこまで白い砂浜が続いている。足下にはつるつるした薄っぺらい小石が点々と散りばめられ、自然が作り出した模様の美しさにも感動してしまった。
あっという間に時間は過ぎ、フェリー乗り場に戻った。しばらくすると、これから乗るフェリーが港に入ってきた。短いけれど、これから船の旅が始まるかと思うと、なんとなくわくわくしてくる。
定刻どおり師崎行きのフェリーは出航した。ソファーのようなシートに腰を下ろし、窓から外を眺めると、思ったより速い速度で船は進んでいる。すぐ近くの席の家族連れの子どもが思いっきりはしゃいでいる。なぜか子どもは海を見ると興奮するものだ。そんなことを思っているうちに眠ってしまったようだ。
「もうすぐ着くよ。」
の、妻の声に目を覚ました。外を見ると、知多半島が目の前にあった。2人で甲板に出て、目覚ましに海の空気を吸いに出た。今にも雨が降り出しそうな空だが、漁村にはこういう空も似合うような気もした。
ちょうど正午頃にフェリーを降り、師崎港から豊浜に向かった。今晩のおかずを豊浜の「魚 ひろば」で調達することにした。
「魚ひろば」は、獲れたての魚を買い求める多くの人で賑わっていた。その中に混じって並べられている魚類を見るのだが、何を買えばいいのか分からない。妻も、
「何を買えばいいの。」
と言いながら、あれこれ見ているが、なかなか決まらないようだ。結局、金目鯛4匹とイカを一盛り、そしてテレビを見ながら食べるエビせんべいを買い、外に出た。予報どおり、雨が降り出していた。
「魚ひろば」を出て、お昼ご飯を食べようと思ったが、半島の西側のR247沿いの魚料理の店はどこも駐車場がいっぱいで、入る気になれなかった。結局、美浜町の「麺どころ三平」で僕は味噌煮込みうどんを、妻はカレーうどんを食べ、お腹を満たした。雨は本降りになっていた。
食事を終え、知多自動車道・美浜ICから高速を乗り継いで帰ってきた。伊勢湾岸では、湘南や伊豆ナンバーのバイクが走っていたが、僕のクルマの外気温計は11℃を示していて、ライダーが歯をくいしばって走っている様子が伝わってきた。
今回のドライブでは、三河高原の紅葉、浜名湖の美しい景色、太平洋の雄大な雰囲気を十分に味わうことができた。久しぶりのクルマの旅だったが、春になったら、今度は同じコースをバイクで走ってみたいと思った。