金曜日と月曜日に休暇を取れば4連休。先週21日(金)から24日(月)の3泊4日で、母と妻と僕の3人で青森下北半島に行ってきました。
4年前に他界した父が最後の入院中「もう一度恐山に行きたいなあ」と言っていたので、いつか母を連れて行ってみようと思っていました。恐山は、父と母が二人で旅行した最後の旅行先でした。その母ももう91歳です。コロナの前の2月に、飛行機や旅館、レンタカーなどの予約をしました。レンタカーも、家族3人では無駄に大きい3列シートのミニバンにしました。いざというときにはシートをフルフラットにして母が横になれるようにということで選びました。また、往復のFDAには優先搭乗をお願いしました。元気な母ですが、91歳という高齢です。普段はほとんど使うことのない杖も用意しました。
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FBの投稿では「訳あって」とか「思うところあって」などと書きましたが、実は「母を思い出の地に連れていってあげる旅」「他界した父の願いを叶えてあげる旅」だったのです。実は僕、恐山にはあまり興味はありません。それよりも4日間も休みが取れたら北海道へ行きた~い(コレ、母にはナイショ。母は僕のブログを知らないから大丈夫)。
<8月21日>
初めてのFDAです。2月に早割予約をしておいた11時発の青森行きが、なんとコロナで減便になったため7時20分発に乗ることになってしまいました。4時起きですよ~。眠てぇ~と思いながらも、その分青森での時間はたっぷりになりました。
カラフルなエンブラエルの機体にわくわくしました。目の前にはオレンジ色の飛行機。なんだかすごくうれしくなりましたが、その飛行機は花巻行き。青森行きは地味なシルバーでした。
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9時にオリックスレンタカーのステップワゴンに乗り、むつ市を目指しました。FDAが初めてならステップワゴンも初めてです。別になんてことはないと思っていたリアの半分横開きのドア、これがまたとても便利でした。バックドアをガバ~と開けなくても荷物の出し入れができるって、想像以上に便利でした。
野辺地北インターまではほぼ高速道路、野辺地からは長~い下北半島です。野辺地北で高速を降りたのは、ただ単につまらなかったから。これがバイクだったら単調な道でも風を感じ、においを感じ、どこまでも走り続けられるのですが、クルマではねえ。ずっと箱の中だもんなあ。こういうの、バイクの魅力を知ってしまった正統派ライダーなら分かると思います。
横浜町の道の駅よこはまで一休み。小腹が減ってたので名物らしい菜の花ドーナツとコーヒーでまったり。
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11時にはむつに着いてしまいました。そこで、大マグロの大間まで足を伸ばしました。近いと思って大間に向かいましたが、これが結構遠くて大間崎に着いたのが1時頃。目の前は津軽海峡。その向こうには大好きな北海道が見えます。函館山が目立っていました。ずいぶん遠くまで来たことを実感しました。
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お昼はもちろんツーリングマップルに載っている「かもめ食堂」のマグロです。マグロだけではと思ってマグロホタテ丼を食べましたが、やっぱりメチャうま。
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まだ時間があったので、仏が浦にも行ってみました。ここは手前の展望パーキングからの眺めが素敵なんです。柱状節理が湾曲したり、横向きになったり、波で侵食されたり、それが何度も繰り返されたのでしょう。なんとも神秘的な岩が連なっていました。
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そろそろむつ市街のホテルにと思ったら、なんと100kmくらいもあるよ~。下北半島をナメていました。くねくね山道をひたすら河内方面へ。のんびり旅なので、河内で見つけた温泉に入ったりしてたらさらに遅くなり、通勤ラッシュのむつ市街へ。
晩ごはんは、ホテルの方お薦めの「楠こう」へ行き、むつ湾御膳なんかを食べちゃったりして、美味しいものづくしです。
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天気はでしたが、、涼しくて涼しくてい~い気持ちです。豊田は35℃以上の酷暑。こっちは18℃、19℃でとても爽やかでした。
<8月22日>
青森県むつ市の2日目。
まずは今回の一番の目的地の恐山霊場です。25年くらい前に妻と2台のバイクで訪れましたが、その時の不気味さが甦ってきました。むつから恐山に近づくにしたがって薄暗い深い森に入り、道の両脇には不気味な風車が。ん?どういうわけか風車はありませんでした。それでも、なんとなく霊気が漂っているような・・・。
外輪山を下り、宇曽利山湖が見えるとすぐに三途の川があります。赤い太鼓橋から杭が湖の中程に向かって並んでいます。これがまた不気味なんです。渡ったらあの世なんです。そして、強い硫黄臭が漂っていますから不気味さが増幅しているように思えてくるのです。ただ、湖岸がきれいに整備されていて、なんとなく観光地化されてたのはちょっとマイナスかなあ。怖がりの僕には、まあいいけどね。
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ステップワゴンを恐山霊場の駐車場に停め、入山料500円を払って霊場の中に入りました。なんだか母がおかしい。今来たばかりなのに「疲れた」「えらい」「足がしびれる」などと言っているのです。亡き夫との思い出の地なのに「なんか変わった」と口走ったり。
母の様子を心配しながら深々とお辞儀をして山門を通り、本堂に向かいました。両側の古い建物がたぶんお清めのためと思われる温泉でしょう。あとで入るつもりで3人分の温泉セットも持参しています。
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本堂でいつもの10倍のお賽銭でお参りをしました。10倍と言っても100円ですが。様子のおかしい母はというと、なんと数珠を取り出して丁寧にお辞儀をしながら拝んでいました。母は父のことが大好きでした。体の調子がおかしくなっても、父のことを思う気持ちはおかしくなっていません。
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本堂でお参りをしたあとは、まるで浅間山の鬼押し出しのような溶岩がごろごろした霊場を歩きました。足の力がなくなっているように見えた母が、「あそこ(少し高い所にある祠)に行く。」と言うのです。ゆっくりゆっくり歩いて登りました。通路状になっている両脇には不気味に積まれた石の塔。なんだか本当に霊気が漂っているような感じがしました。母がおかしくなったのは霊気のせいかと思いましたが、それもなんだか非科学的です。
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母が行くと言った祠でも、母は数珠を取り出して本堂と同じように丁寧にお辞儀をして拝んでいました。「ここはお父さんといっしょに行ったところだ」と言っていました。母にとってピンポイントの思い出の場所だったのです。
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霊場から戻る途中、「硫化水素ガスが発生しています」の看板がありました。母が普通に歩けなくなったのは硫化水素ガスが原因だと思いました。入るつもりだったお清めの温泉を覗いてみると、誰も入っていませんでした。小屋はボロボロだし、なんだか怖い感じがして、とても入る勇気はありませんでした。
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恐山霊場を出て、来た道とは別の県道出て北に向かって走りました。山を下りてきれいな空気の所に出れば、母は元通りになるはず。そう信じてクルマを走らせました。薬研温泉方面に向かう県道4号線は舗装はしてあるものの狭くてアップダウンの激しい、学生時代に少しかじったラリーコースのようなヘアピンだらけの道でした。さすがに血が騒いだね。でも、マシンはステップワゴン。さすがはホンダ、足回りはしっかりしていましたから、ペースは遅いもののいい感じで走ってくれました。
津軽海峡側に出たあとは、東の端の尻屋崎を目指しました。母は・・・元の明るい母に戻っていました。硫化水素ガスの発生で酸素濃度が低くなっていたのが母の調子をくるわせたのでしょう。クルマの中で「あの世へ行っちゃうのかと思った」とか「死ぬ時はあんなに苦しくなるのかなあ」とか冗談交じりで話す母。僕たちも、一時はどうなることかと思いました。
尻屋崎への道は、たしか北海道を彷彿させる素敵な道だったはず。海岸の通りに出ると、まさにそのとおり。天気も回復してきて、母も復活して、メチャ気持ちよく走ることができました。
尻屋崎のゲートをくぐったらすぐ馬たちの集団。すかさずクルマを停め、馬たちに近づきスマホで写真。近くで見ると馬の目って本当にかわいい。母もクルマから降り、馬に近づいて見ていました。母は馬を見ながら「お父さん、馬が好きだったなあ。」そうつぶやいていました。
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そして尻屋崎灯台へ。ちょうどいい具合に「おみやげ」「豚丼」の幟が目に入りました。お昼をかなり過ぎていたので、まずは豚丼で腹ごしらえ。母はおでん定食、妻はラーメンでお腹を満たしました。母の食欲も復活していて、恐山での母の苦しそうな姿がうそのように消えていました。
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灯台や、灯台周辺の美しい景色を楽しみ、それをしっかりと目に焼き付けてホテルに戻りました。まるで絵のような尻屋崎の絶景をバックにスッゴくのんびりとした時間を過ごしましたが、ホテルに戻ったのはまだ4時を回ったばかりでした。部屋でごろごろして疲れを癒し、7時頃ぶらぶらと昨日と同じ「楠こう」まで歩き、晩ごはんです。昨日はむつ湾御膳、今日は陸奥湾名産のホタテのホタテ釜飯にしました。
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やっぱり産地の食材の料理はうまい。
<8月23日>
青森の旅の3日目。青森に来たら奥入瀬に十和田湖でしょうということで、むつパークホテルを出て十和田を目指しました。
R279を南下し、とりあえず道の駅よこはまでトイレ休憩。バイクがいっぱいでなんかうらやましい。かなりのじいさんまで大型バイクでツーリング。俺もまだ20年くらいはバイクツーリングを楽しめそうなんて思ったりして。
野辺地北からはひたすら高速を走り、終点でR4に入って七戸へ。R4は国1のような超幹線国道なのに流れがスムーズで走りやす~い。
七戸からは十和田へ一直線のR102。途中の大平原は北海道を思い出させてくれます。
道の駅奥入瀬でちょうどお昼になりました。たくさん食べると旅館のごちそうが食べられなくなると思い、お昼は普通の天ぷらそばにしました。ほとんどマルちゃんの緑のたぬきみたいなそばでした。もちろんそれで十分です。400円だし。それからちょっと美味しそうに見えたドーナツを一つ。
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道の駅奥入瀬を出てしばらくすると、森の中へと入っていきます。木漏れ日とせせらぎ・・・奥入瀬渓流です。メチャいい感じ。途中の路肩でクルマを停めて外に出ると、狭い川のくびれの岩場でそこだけ豪快な流れになっていました。それがまた気持ちのいい涼しさを呼び、最高の癒しポイントになっていました。
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さらに奥入瀬の渓流沿いにクルマを進めると、今度は滝を発見。やっぱりいいわあ、渓流と滝と深い森。
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奥入瀬渓谷を登りきると「わあ~」。
美しい十和田湖が目に飛び込んできました。360度緑色の山に囲まれた十和田湖はまさしくカルデラ湖を絵に描いたような湖です。湖畔の国道をペースを落として走り、広い駐車場にクルマを停めました。湖岸の店でアイスコーヒーを買い、外のテラスで湖を眺めながら飲みました。暑くもなく寒くもなく、もちろん湿気もないから気持ちよすぎ~。芝生に寝転んで寝ちゃいたいくらいでした。
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ほんのちょっとだけ、駐車料金500円分だけその辺を散策してクルマに戻りました。
そうだ、発荷峠から十和田湖を眺めてみよう。36歳の時、妻と2台のバイクで本土最南端鹿児島県佐多岬から最北端北海道宗谷岬まで日本縦断ツーリングで発荷峠から眺めた十和田湖が強烈に印象に残っています。30年ぶりにもう一度見てみたくなったのです。
やっぱり感動モノです、発荷峠からの大パノラマは。
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まだ4時前でしたが、今回の旅は疲れを残してはいけない旅ですから、さっさと予約しておいた旅館「賑山亭」にチェックインしました。
4時前にチェックインしてごろごろ、気持ちのいい温泉に入ってごろごろ、美味しい炉ばたの料理に大満足してごろごろ、もう一度温泉に入ってごろごろ。
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こうして青森の旅が終わろうとしていました。いいね、青森。
<8月24日>
いよいよ最終日。僕にしては珍しく朝から温泉に入ってさっぱりした気分で美味しい朝ごはんです。
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お世話になった旅館「賑山亭」を出て向かった先は八甲田山ロープウェイです。十和田湖を眺め、奥入瀬を下り、R103で青森市方面にクルマを進めました。主要国道とは思えないくねくねの峠道でした。旅番組でよく見る蔦温泉に酸ヶ湯温泉がありました。死ぬまでに一度は入ってみたい温泉です。母は「温泉は滑りそうで怖い。転んだらあの世」なんて言ってましたから今回はパス。なんだかちょっともったいない気もしましたが、僕もそれほど温泉にこだわりはないから「ここが有名な酸ヶ湯温泉かあ」なんて言いながら八甲田山に向かいました。
かれこれ1時間半近くタイトコーナーの続く道を走り続けて、ようやく八甲田山ロープウェイのりばの山麓駅に着きました。
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ロープウェイは20分間隔で動いていました。11:00のロープウェイに乗って山の中腹まで上ると、おおお~陸奥湾まで見える~。
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十和田から峠までは曇っていましたが、峠を越えたら快晴です。青い空と濃い緑の山々、そして遠くに見える海。十和田湖方面に目を向けると、外輪山と内輪山がはっきりわかり、十和田湖がカルデラ湖だということがよく分かります。
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ロープウェイで山を下ると・・・あっつい!!!。外気温を見ると25℃もある!!!。35℃じゃなくて25℃。冷たいお茶を買って3人でがぶがぶ。熱中症対策の水分補給かなあ、25℃だけど。
お昼を過ぎていたので「長寿のお茶」の看板のドライブインのような店でピットイン。今回の旅にぴったりの店じゃん!!!。
なになに、1杯飲めば寿命が3年延びて2杯飲めば6年延びて3杯飲んだら死ぬまで生きるって。いいじゃん、いいじゃん、死ぬまで生きられるんだって。熱いお茶を1杯いただきました。これで3人とも寿命が3年延びたね。控えめな性格なので欲張りは言いません・・・暑いし。
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そして、僕はラーメン、母は天ぷらそば、妻はおでんで昼食をすませました。
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このまま山を降りるともっと暑いし、飛行機の時間にはまだ余裕があるので日陰のベンチでちょっとのんびりしました。ラーメンを食べた僕はまだまだ暑くて、一人だけソフトクリームなんかを食べちゃったりしました。
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それでも、いつまでも日陰でのんびりしているわけにはいきません。飛行機の時間に合わせて、青森空港へとクルマを進めました。青森市街に入ると外気温計は32℃を示していました。クルマからは出られません。
空港に着き、レンタカーを返し、アイスコーヒーを飲んだり母がお土産の店をぶらぶらするのに付き合ったりして、名古屋行きの飛行機を待ちました。外を見てみるとすぐ目の前に鮮やかな緑色のFDA。僕の大好きな色の飛行機です。
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名古屋行きのFDAは定刻の15時45分に出発し、到着予定時刻は17時10分。母は雲海を見ては「雲の上はふわふわになってるんだなあ」「雲の上は真っ青ないい天気だなあ」「こんなの初めて見た」などとと呟いていました。何度も見てるはずです。
県営名古屋空港に到着したのは定刻より早い16時50分。ちょっと早すぎじゃない???メッチャ飛ばしてきた???。
おかげで6時過ぎくらいに家に着くことができました。
帰ってからも母は「大間のマグロ丼がうまかった」「尻屋崎のお馬さんがかわいかった」「十和田湖がきれいだったなあ」「奥入瀬は気持ちよかったなあ」など、同じことを何度も何度も口にしていました。
僕たちにとってもすごくいい旅になりましたが、母がすごく喜んでくれたのが一番です。
「次」があるのかなあ。あるといいのになあ。
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4年前に他界した父が最後の入院中「もう一度恐山に行きたいなあ」と言っていたので、いつか母を連れて行ってみようと思っていました。恐山は、父と母が二人で旅行した最後の旅行先でした。その母ももう91歳です。コロナの前の2月に、飛行機や旅館、レンタカーなどの予約をしました。レンタカーも、家族3人では無駄に大きい3列シートのミニバンにしました。いざというときにはシートをフルフラットにして母が横になれるようにということで選びました。また、往復のFDAには優先搭乗をお願いしました。元気な母ですが、91歳という高齢です。普段はほとんど使うことのない杖も用意しました。
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FBの投稿では「訳あって」とか「思うところあって」などと書きましたが、実は「母を思い出の地に連れていってあげる旅」「他界した父の願いを叶えてあげる旅」だったのです。実は僕、恐山にはあまり興味はありません。それよりも4日間も休みが取れたら北海道へ行きた~い(コレ、母にはナイショ。母は僕のブログを知らないから大丈夫)。
<8月21日>
初めてのFDAです。2月に早割予約をしておいた11時発の青森行きが、なんとコロナで減便になったため7時20分発に乗ることになってしまいました。4時起きですよ~。眠てぇ~と思いながらも、その分青森での時間はたっぷりになりました。
カラフルなエンブラエルの機体にわくわくしました。目の前にはオレンジ色の飛行機。なんだかすごくうれしくなりましたが、その飛行機は花巻行き。青森行きは地味なシルバーでした。
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9時にオリックスレンタカーのステップワゴンに乗り、むつ市を目指しました。FDAが初めてならステップワゴンも初めてです。別になんてことはないと思っていたリアの半分横開きのドア、これがまたとても便利でした。バックドアをガバ~と開けなくても荷物の出し入れができるって、想像以上に便利でした。
野辺地北インターまではほぼ高速道路、野辺地からは長~い下北半島です。野辺地北で高速を降りたのは、ただ単につまらなかったから。これがバイクだったら単調な道でも風を感じ、においを感じ、どこまでも走り続けられるのですが、クルマではねえ。ずっと箱の中だもんなあ。こういうの、バイクの魅力を知ってしまった正統派ライダーなら分かると思います。
横浜町の道の駅よこはまで一休み。小腹が減ってたので名物らしい菜の花ドーナツとコーヒーでまったり。
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11時にはむつに着いてしまいました。そこで、大マグロの大間まで足を伸ばしました。近いと思って大間に向かいましたが、これが結構遠くて大間崎に着いたのが1時頃。目の前は津軽海峡。その向こうには大好きな北海道が見えます。函館山が目立っていました。ずいぶん遠くまで来たことを実感しました。
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お昼はもちろんツーリングマップルに載っている「かもめ食堂」のマグロです。マグロだけではと思ってマグロホタテ丼を食べましたが、やっぱりメチャうま。
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まだ時間があったので、仏が浦にも行ってみました。ここは手前の展望パーキングからの眺めが素敵なんです。柱状節理が湾曲したり、横向きになったり、波で侵食されたり、それが何度も繰り返されたのでしょう。なんとも神秘的な岩が連なっていました。
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そろそろむつ市街のホテルにと思ったら、なんと100kmくらいもあるよ~。下北半島をナメていました。くねくね山道をひたすら河内方面へ。のんびり旅なので、河内で見つけた温泉に入ったりしてたらさらに遅くなり、通勤ラッシュのむつ市街へ。
晩ごはんは、ホテルの方お薦めの「楠こう」へ行き、むつ湾御膳なんかを食べちゃったりして、美味しいものづくしです。
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天気はでしたが、、涼しくて涼しくてい~い気持ちです。豊田は35℃以上の酷暑。こっちは18℃、19℃でとても爽やかでした。
<8月22日>
青森県むつ市の2日目。
まずは今回の一番の目的地の恐山霊場です。25年くらい前に妻と2台のバイクで訪れましたが、その時の不気味さが甦ってきました。むつから恐山に近づくにしたがって薄暗い深い森に入り、道の両脇には不気味な風車が。ん?どういうわけか風車はありませんでした。それでも、なんとなく霊気が漂っているような・・・。
外輪山を下り、宇曽利山湖が見えるとすぐに三途の川があります。赤い太鼓橋から杭が湖の中程に向かって並んでいます。これがまた不気味なんです。渡ったらあの世なんです。そして、強い硫黄臭が漂っていますから不気味さが増幅しているように思えてくるのです。ただ、湖岸がきれいに整備されていて、なんとなく観光地化されてたのはちょっとマイナスかなあ。怖がりの僕には、まあいいけどね。
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ステップワゴンを恐山霊場の駐車場に停め、入山料500円を払って霊場の中に入りました。なんだか母がおかしい。今来たばかりなのに「疲れた」「えらい」「足がしびれる」などと言っているのです。亡き夫との思い出の地なのに「なんか変わった」と口走ったり。
母の様子を心配しながら深々とお辞儀をして山門を通り、本堂に向かいました。両側の古い建物がたぶんお清めのためと思われる温泉でしょう。あとで入るつもりで3人分の温泉セットも持参しています。
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本堂でいつもの10倍のお賽銭でお参りをしました。10倍と言っても100円ですが。様子のおかしい母はというと、なんと数珠を取り出して丁寧にお辞儀をしながら拝んでいました。母は父のことが大好きでした。体の調子がおかしくなっても、父のことを思う気持ちはおかしくなっていません。
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本堂でお参りをしたあとは、まるで浅間山の鬼押し出しのような溶岩がごろごろした霊場を歩きました。足の力がなくなっているように見えた母が、「あそこ(少し高い所にある祠)に行く。」と言うのです。ゆっくりゆっくり歩いて登りました。通路状になっている両脇には不気味に積まれた石の塔。なんだか本当に霊気が漂っているような感じがしました。母がおかしくなったのは霊気のせいかと思いましたが、それもなんだか非科学的です。
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母が行くと言った祠でも、母は数珠を取り出して本堂と同じように丁寧にお辞儀をして拝んでいました。「ここはお父さんといっしょに行ったところだ」と言っていました。母にとってピンポイントの思い出の場所だったのです。
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霊場から戻る途中、「硫化水素ガスが発生しています」の看板がありました。母が普通に歩けなくなったのは硫化水素ガスが原因だと思いました。入るつもりだったお清めの温泉を覗いてみると、誰も入っていませんでした。小屋はボロボロだし、なんだか怖い感じがして、とても入る勇気はありませんでした。
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恐山霊場を出て、来た道とは別の県道出て北に向かって走りました。山を下りてきれいな空気の所に出れば、母は元通りになるはず。そう信じてクルマを走らせました。薬研温泉方面に向かう県道4号線は舗装はしてあるものの狭くてアップダウンの激しい、学生時代に少しかじったラリーコースのようなヘアピンだらけの道でした。さすがに血が騒いだね。でも、マシンはステップワゴン。さすがはホンダ、足回りはしっかりしていましたから、ペースは遅いもののいい感じで走ってくれました。
津軽海峡側に出たあとは、東の端の尻屋崎を目指しました。母は・・・元の明るい母に戻っていました。硫化水素ガスの発生で酸素濃度が低くなっていたのが母の調子をくるわせたのでしょう。クルマの中で「あの世へ行っちゃうのかと思った」とか「死ぬ時はあんなに苦しくなるのかなあ」とか冗談交じりで話す母。僕たちも、一時はどうなることかと思いました。
尻屋崎への道は、たしか北海道を彷彿させる素敵な道だったはず。海岸の通りに出ると、まさにそのとおり。天気も回復してきて、母も復活して、メチャ気持ちよく走ることができました。
尻屋崎のゲートをくぐったらすぐ馬たちの集団。すかさずクルマを停め、馬たちに近づきスマホで写真。近くで見ると馬の目って本当にかわいい。母もクルマから降り、馬に近づいて見ていました。母は馬を見ながら「お父さん、馬が好きだったなあ。」そうつぶやいていました。
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そして尻屋崎灯台へ。ちょうどいい具合に「おみやげ」「豚丼」の幟が目に入りました。お昼をかなり過ぎていたので、まずは豚丼で腹ごしらえ。母はおでん定食、妻はラーメンでお腹を満たしました。母の食欲も復活していて、恐山での母の苦しそうな姿がうそのように消えていました。
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灯台や、灯台周辺の美しい景色を楽しみ、それをしっかりと目に焼き付けてホテルに戻りました。まるで絵のような尻屋崎の絶景をバックにスッゴくのんびりとした時間を過ごしましたが、ホテルに戻ったのはまだ4時を回ったばかりでした。部屋でごろごろして疲れを癒し、7時頃ぶらぶらと昨日と同じ「楠こう」まで歩き、晩ごはんです。昨日はむつ湾御膳、今日は陸奥湾名産のホタテのホタテ釜飯にしました。
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やっぱり産地の食材の料理はうまい。
<8月23日>
青森の旅の3日目。青森に来たら奥入瀬に十和田湖でしょうということで、むつパークホテルを出て十和田を目指しました。
R279を南下し、とりあえず道の駅よこはまでトイレ休憩。バイクがいっぱいでなんかうらやましい。かなりのじいさんまで大型バイクでツーリング。俺もまだ20年くらいはバイクツーリングを楽しめそうなんて思ったりして。
野辺地北からはひたすら高速を走り、終点でR4に入って七戸へ。R4は国1のような超幹線国道なのに流れがスムーズで走りやす~い。
七戸からは十和田へ一直線のR102。途中の大平原は北海道を思い出させてくれます。
道の駅奥入瀬でちょうどお昼になりました。たくさん食べると旅館のごちそうが食べられなくなると思い、お昼は普通の天ぷらそばにしました。ほとんどマルちゃんの緑のたぬきみたいなそばでした。もちろんそれで十分です。400円だし。それからちょっと美味しそうに見えたドーナツを一つ。
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道の駅奥入瀬を出てしばらくすると、森の中へと入っていきます。木漏れ日とせせらぎ・・・奥入瀬渓流です。メチャいい感じ。途中の路肩でクルマを停めて外に出ると、狭い川のくびれの岩場でそこだけ豪快な流れになっていました。それがまた気持ちのいい涼しさを呼び、最高の癒しポイントになっていました。
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さらに奥入瀬の渓流沿いにクルマを進めると、今度は滝を発見。やっぱりいいわあ、渓流と滝と深い森。
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奥入瀬渓谷を登りきると「わあ~」。
美しい十和田湖が目に飛び込んできました。360度緑色の山に囲まれた十和田湖はまさしくカルデラ湖を絵に描いたような湖です。湖畔の国道をペースを落として走り、広い駐車場にクルマを停めました。湖岸の店でアイスコーヒーを買い、外のテラスで湖を眺めながら飲みました。暑くもなく寒くもなく、もちろん湿気もないから気持ちよすぎ~。芝生に寝転んで寝ちゃいたいくらいでした。
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ほんのちょっとだけ、駐車料金500円分だけその辺を散策してクルマに戻りました。
そうだ、発荷峠から十和田湖を眺めてみよう。36歳の時、妻と2台のバイクで本土最南端鹿児島県佐多岬から最北端北海道宗谷岬まで日本縦断ツーリングで発荷峠から眺めた十和田湖が強烈に印象に残っています。30年ぶりにもう一度見てみたくなったのです。
やっぱり感動モノです、発荷峠からの大パノラマは。
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まだ4時前でしたが、今回の旅は疲れを残してはいけない旅ですから、さっさと予約しておいた旅館「賑山亭」にチェックインしました。
4時前にチェックインしてごろごろ、気持ちのいい温泉に入ってごろごろ、美味しい炉ばたの料理に大満足してごろごろ、もう一度温泉に入ってごろごろ。
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こうして青森の旅が終わろうとしていました。いいね、青森。
<8月24日>
いよいよ最終日。僕にしては珍しく朝から温泉に入ってさっぱりした気分で美味しい朝ごはんです。
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お世話になった旅館「賑山亭」を出て向かった先は八甲田山ロープウェイです。十和田湖を眺め、奥入瀬を下り、R103で青森市方面にクルマを進めました。主要国道とは思えないくねくねの峠道でした。旅番組でよく見る蔦温泉に酸ヶ湯温泉がありました。死ぬまでに一度は入ってみたい温泉です。母は「温泉は滑りそうで怖い。転んだらあの世」なんて言ってましたから今回はパス。なんだかちょっともったいない気もしましたが、僕もそれほど温泉にこだわりはないから「ここが有名な酸ヶ湯温泉かあ」なんて言いながら八甲田山に向かいました。
かれこれ1時間半近くタイトコーナーの続く道を走り続けて、ようやく八甲田山ロープウェイのりばの山麓駅に着きました。
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ロープウェイは20分間隔で動いていました。11:00のロープウェイに乗って山の中腹まで上ると、おおお~陸奥湾まで見える~。
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十和田から峠までは曇っていましたが、峠を越えたら快晴です。青い空と濃い緑の山々、そして遠くに見える海。十和田湖方面に目を向けると、外輪山と内輪山がはっきりわかり、十和田湖がカルデラ湖だということがよく分かります。
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ロープウェイで山を下ると・・・あっつい!!!。外気温を見ると25℃もある!!!。35℃じゃなくて25℃。冷たいお茶を買って3人でがぶがぶ。熱中症対策の水分補給かなあ、25℃だけど。
お昼を過ぎていたので「長寿のお茶」の看板のドライブインのような店でピットイン。今回の旅にぴったりの店じゃん!!!。
なになに、1杯飲めば寿命が3年延びて2杯飲めば6年延びて3杯飲んだら死ぬまで生きるって。いいじゃん、いいじゃん、死ぬまで生きられるんだって。熱いお茶を1杯いただきました。これで3人とも寿命が3年延びたね。控えめな性格なので欲張りは言いません・・・暑いし。
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そして、僕はラーメン、母は天ぷらそば、妻はおでんで昼食をすませました。
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このまま山を降りるともっと暑いし、飛行機の時間にはまだ余裕があるので日陰のベンチでちょっとのんびりしました。ラーメンを食べた僕はまだまだ暑くて、一人だけソフトクリームなんかを食べちゃったりしました。
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それでも、いつまでも日陰でのんびりしているわけにはいきません。飛行機の時間に合わせて、青森空港へとクルマを進めました。青森市街に入ると外気温計は32℃を示していました。クルマからは出られません。
空港に着き、レンタカーを返し、アイスコーヒーを飲んだり母がお土産の店をぶらぶらするのに付き合ったりして、名古屋行きの飛行機を待ちました。外を見てみるとすぐ目の前に鮮やかな緑色のFDA。僕の大好きな色の飛行機です。
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名古屋行きのFDAは定刻の15時45分に出発し、到着予定時刻は17時10分。母は雲海を見ては「雲の上はふわふわになってるんだなあ」「雲の上は真っ青ないい天気だなあ」「こんなの初めて見た」などとと呟いていました。何度も見てるはずです。
県営名古屋空港に到着したのは定刻より早い16時50分。ちょっと早すぎじゃない???メッチャ飛ばしてきた???。
おかげで6時過ぎくらいに家に着くことができました。
帰ってからも母は「大間のマグロ丼がうまかった」「尻屋崎のお馬さんがかわいかった」「十和田湖がきれいだったなあ」「奥入瀬は気持ちよかったなあ」など、同じことを何度も何度も口にしていました。
僕たちにとってもすごくいい旅になりましたが、母がすごく喜んでくれたのが一番です。
「次」があるのかなあ。あるといいのになあ。
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