<3月24日>
学年末ということで、僕も妻もこのところ夜遅くまで仕事をすることが多かったため、その疲れを癒すためのドライブを計画しました。
豊田の自宅を出たのがお昼少し前。疲れを癒すためのドライブですから、早朝からがんがん走るようなドライブにはしません。雨上がりのR301で下山に向かい、まずは三河名物 の五平餅でお昼ご飯と思ったのですが、いつも行く店が改装中だったため喫茶店で軽めの昼食にしました。そして、僕たちがちょい乗りツーリングでよく行く新城市作手の道の駅「つくで手作り村」でジューシーな手作りフランクを 食べ、さらに東に向かいました。R301旧額田町辺りからは北海道を彷彿させるようなのどかな道が続きます。そののどかな道をミニで走る気分は、なんとも言えない穏やか気持ちになってきます。山の緑も徐々に春らしくなり、曇り空とは言え、ドライブ気分は上々です。
急カーブの続く下り坂を下りると、新城市街に入ります。そこからR151で北に向かいます。人気のローカル鉄道JR飯田線に沿って走る道は、田園風景から山村の風景へと変わって行きます。
まだ2時頃だったので、鳳来寺山に登ることにしました。武田軍と織田軍が戦った古 戦場のある長篠から県道32号伊那街道に折れ、鳳来寺山パークウェイで山頂駐車場に行きました。クイックなハンドリングのミニは、適度なコーナーが続く道は得意です。右へ左へとくいっくいっと向きを変えながら登って行きます。
駐車場から東照宮までは徒歩15分。遠く三河湾まで見渡せる美しい景 色が見え隠れする整備された山道を歩くと、葵の紋の神社に着きます。少し霞んでいたものの、三河高原の山々から三河湾そして渥美半島まで見渡す素敵な景色とおいしい空気を満喫することができます。
鳳来寺山パークウェイを下ってすぐの所に、この日の目的地の湯谷温泉があります。まずはJR湯谷温泉駅に行ってみました。その古い駅舎はとても趣のある建物で、JR飯田線の人気の秘密の一部を見つけたような気がしまし た。
駅の看板で旅館の場所を確認し、すぐに予約しておいた旅館に向かいました。お世話になった旅館は、翠明というこじんまりとした温泉旅館です。
4時少し過ぎに宿の着き、まずは部屋でまったりと。この、畳の上でごろーんとする瞬間がたまりません。ゴーという強めの川の音が耳に入ってきます。窓を開けると、部屋の真下に宇蓮川が流れ、しかも小さな滝がありました。部屋の名前は「滝見の間」でした。観光案内の地図を見ると、小さな滝ですが湯谷大滝と なっていました。
食事の前に、まず温泉です。茶濁色のお湯はやや熱めでしたが、ぬる湯好きな僕でも大丈夫な程度の熱さでした。濁ったお湯というのは、なんとなく疲れた体によく効くような気がしてきます。長く入らないようにという注意書きをどこかで見たような気がしましたが、あまりの気持ちよさにのんびりと浸 かってしまいました。
晩ご飯は、「仙人焼」ということで、いったいどんな料理なのだろうと期待していました。普通のてんぷらやおさしみなどに続き、いよいよメインディッシュの仙人焼なるものが大皿で出てきました。中身は・・・山菜の蒸し焼きでした。見たことのないような小粒の芋や、大きめの豆がわらびやたけのこなどの山菜に混じって目立っていました。わずかな鶏肉以外はすべて山菜で、蒸し焼きなので油も使ってなければほとんど調味料も使われてなく、山菜の味そのものの味を楽しむことができまし た。いかにもヘルシーな料理で体にはよさそうな献立でした。僕は、もう少しこってりした料理があってもいいかなと思いましたが、豆系の好きな妻は十分満足できたようでした。これが、奥三河の味と言えばそうなのですが。
あっさり味の料理もてんこ盛り食べればお腹はいっぱいになります。食後にまたお風呂に入りに行きましたが、料理にくどさがなかったせいか、濃いお湯という感じの温泉にもかかわらず、さっぱりしてすごくいい気持ちでした。
*本日の走行 81㎞
*旧ミニとの遭遇 1台
<3月25日>
天気予報ではいい天気になるはずでしたが、カーテンを開けると空はどんよりと曇っていました。「晴れ時々曇り」の「時々曇り」が今なのかなあと思いながら朝食をいただきました。朝食の後は、もちろん朝風呂です。さすがに強めのお湯に3回目となると、体が重い感じもしてきましたが、それも温泉効果です。体によく効いている証拠と思えてきました。
曇り空の中、10時少し前に旅館を出ました。午前中の目的地は阿寺の七滝です。愛知県でただ一つ日本の滝百選に選ばれた滝です。愛知県で生まれ育った僕ですが、そんなに立派な滝があるなんて知りませんでした。今回のドライブを計画した時に、新城市のホームページで見つけ、どうしても見てみたくなったのです。
阿寺の七滝は旧鳳来町にあるので、湯谷温泉からはわずか20分ほどの距離でした。R151から標識に従って南に折れ、すぐに右に入ったらあとはただただ道なりに8㎞ほど進み ます。小川のせせらぎと木々のトンネルと、自然を満喫する1.5車線路です。狭い道も、ミニなら苦になりません。2車線路と同じ感覚で走ることができます。こうした道も、ミニの得意な道の一つです。
「阿寺の七滝」の看板が見えたら、そこには広い駐車場がありました。季 節外れのせいか、数台のクルマしかありませんでした。そこからは、岩場の川に沿って遊歩道を900mほど歩きます。いかにもオゾンたっぷりの空気をいっぱいに吸い込みながら歩くのは本当に久しぶりです。遊歩道はよく整備されていて、快適に歩くことができます。
途中の地図看板で近くに「母子滝」があることを知り、遊歩道から離れて渓流沿いに狭い道を歩いてみました。100mほど登った所に小さな滝がありました。落差数mの2段になった滝で、迫力はありませんが森の風景によく溶け込んでいて、なかなか雰囲 気のいい滝でした。
再び遊歩道に戻り、七滝を目指しました。
カーブの手前から豪快な滝の音が響き、七滝がすぐそこにあることが分かりました。
「すごいよ、この滝。」
数十mの高さから何段にも岩にぶつかりながら、水が至る所でしぶきを上げて流れ落ち てきます。確かに日本の滝百選に選ばれた滝です。いつまでも見上げていたくなるような素敵で豪快な滝でした。
僕たちは、滝壺の近くに折り畳み椅子を出し、旅館でいただいたお湯でインスタント・コーヒーを飲みました。豪快な滝の音、飛び散る水しぶき、深い森の緑、澄んだおいしい空気。モーニング・コーヒーをここまで我慢した甲斐がありました。
コーヒーを飲み終えると、階段で滝の中腹まで登ってみました。上の4段くらいの滝がよ く見えましたが、やはり滝壺から見上げる全体の風景の方が魅力的でした。
そろそろ引き上げようかとしたところで、雪がぱらつきはじめました。
「うそっ。」
もう3月も終わりです。温暖なはずの愛知県とは思えません。しかも降水確率も低かったはずです。まさか雪が降るとは。
帰りの遊歩道で、雪が本格的に降ってきました。いかにも奥三河鳳来らしい天気です。
駐車場に戻り、雪の降る山道を百間滝を目指して走りました。雪道に強いミニですから、いくら降っても、多少積もっても大丈夫とばかりに狭い山道を進みました。雪の舞う山道をミニで走るなんて、なんとも愉快でたまりません。
ミニのドライブを楽しんでいるうちに、百間滝などどうでもよくなってきてしまい、しばらく県 道505号の狭い道をどこに行きつくかも分からないまま走ってしまいました。
「そろそろ、豊川に行こうよ。」
と言う妻の声に、お昼が近いことに気づき、山里の神社にミニを停め、カーナビを豊川稲荷に設定しました。本当に「山里」という言葉がぴったりの風景でした。
雪は相変わらず降り続いていました。雪にけむる里の神社に里の風景。そこにたたずむローバーミニ。絵になるなあと思いました。
県道505号で山里を抜け、439号でR151に入りました。休日で混み合う新城市街を過ぎ、豊川市に入りました。次の目的地を豊川にしたのは、お昼ご飯にB級グルメで有名になった豊川の「豊川いなり寿司」を食べようということにしたからです。
お正月からずいぶん経っているのに、豊川さん周辺はすごく混んでいて、駐車場まで はやや渋滞気味でした。豊川稲荷の大駐車場に着いたのですが、ミニを停めるのに、ちょっとした障害がありました。駐車券を取るのに、ミニの着座位置が低すぎて手が届かないのです。しかたがないので、ドアを開けて、クルマから降りて取りました。
豊川稲荷の前まで行くと、参道沿いの店のなかには行列のできている「豊川いなり寿司」の店さえありました。僕たちは、たくさんの店のなかから、創業100年以上と思える古い建物の店に入りました。通された2階席は天井が低く、梁に頭をぶつけそうになるくらいでした。その古さが、また魅力的でした。
五色いなりとうどんを注文して待っていると、10分くらいで若いバイト君が持ってきました。見るからにおいしそうです。山菜のいなり寿司を口に含むと、
「なんだ、これ。」
妻も、
「まずっ。」
と、つぶやきました。ご飯がぱさぱさのがりがりです。乾ききっていて、ぜんぜんおいしくないのです。周りの人は平気そうな顔で食べていましたが、どう思っているのだろうと思いまし た。お客さんが多いため、きっとたくさん作り置きしてたのでしょう。せめて、ラップして保存してあれば、もう少しマシとは思うのですが、これでは二度とこの店には来ようと思えません。建物の雰囲気はいいのですが。
B級どころかC級、D級以下グルメの「豊川いなり寿司」を食べた後は、せ っかくだから豊川稲荷にお参りすることにしました。二重の大鳥居に二組の狛犬。犬ではなくキツネなので狛狐。その先の本殿は、それはそれはりっぱな本殿です。大駐車場の僕の周りのクルマは足立や練馬などの関東ナンバーだらけでした。有名な神社だけに、御利益もありそうです。ミニと2台のバイク用に交通安全のお守りを買い、豊川稲荷を後にしまし た。
駐車場までの商店街にあった豊橋名物「ヤマサのちくわ」の店で、口直しとお土産用に数種類のちくわを買い、いなり寿司を作っている店にをのぞいてみました。神社までの往路で気になった店です。晩ご飯には春らしいいなり寿司を食べたいと思い、作りたてでご飯が固いということもなさそうなので、晩ご飯用に2パックと、家で留守番をしている両親用に2パックの合計4パックを買って大駐車場に戻りました。
帰りは豊川ICから東名高速、東海環状道を一気に走って帰りました。
さて、ミニの高速走行ですが、まだ高速道路がなかった50年以上も前に産声を上げたクルマ(誕生は1959年)ですから、高速道路を走るには不向きなクルマのように思われます。しかし、最終モデルの僕の99年式ローバーミニはそこそこ流れに乗って走ることができま す。加速性能はあまりよくないので、進入時と車線変更だけは心配になります。しかし、実際には大型バスやトラックよりは加速性能はいいので、想像するよりはずっとスムーズにできます。そして、快適とまでは言えないですが、制限速度の時速100㎞での走行は難なくできます。メーター誤差もあるので、追い越し車線でメーター読みで110㎞まで速度を上げてみましたが、まだアクセル全開にはなっていません。もっともっとスピードは出ますが、仕事柄スピード違反はできません。型は古くても、ローバー最終モデルですから、まだまだクラシックカーではありません。時速100㎞での走行は十分いけます。
ただ、騒音と振動は閉口モノです。空力などまるで考慮されてない車体は、時速100㎞ではエンジン音に走行音、風切り音に灰皿などのびびり音がどんどん共鳴し、ステレオの音はまったく聞こえなくなります。妻との会話も大声になります。だから、ほとんど時速80㎞くらいで走りました。
結論として、最終モデルに限っては、飛ばし屋の人以外なら高速走行はまったく大丈夫ということです。騒音と振動だけは相当なものですが、ミニに乗っていると、それも個性と思えてしまいます。どんな道を走っても、旧ミニは楽しいのです。
そんなふうに高速走行までも楽しんでいるうちに豊田松平ICに着きました。まずかったE級グルメのいなり寿司の味が今もなお口に残っていたため、家の近くのミニ・ストップでソフトクリームを食べ、3時半頃に帰りました。
今回のドライブは、ミニでは高原道路や山道、ローカル国道にドライブウェイといろんな 道を楽しみました。徒歩でも、景色のいい山道の散策、滝に続く森の中の散策、そして歴史と観光を感じる門前町の散策と、いろんな道を楽しみました。
気持ちのいい温泉にも浸かり、疲れた体と心を癒すのに十分すぎるくらい楽しいドライブになりました。もう少し暖かくなったら、今度はバイクで走ってみたいと思います。
ただし、豊川いなり寿司はもうこりごりです。
*本日の走行 103㎞(トータルたったの184㎞)
*旧ミニとの遭遇 1台 (トータルわずか2台)