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北海道だ~い好き❤バイクはカワサキ☆クルマはレクサスCTとタウンエース(キャンカー)とジムニー☆キャンプと鉄道も好き

2016.9 鉄旅8 山梨甲府から静岡富士へ ~JR身延線一人旅

2016-09-24 23:35:19 | ローカル鉄道の部屋
まずは、これまでのバック・ナンバーです。
⑦静岡・伊豆急行線
⑥千葉・小湊鐵道
⑤福井・えちぜん鉄道三国芦原線
④東京・JR青梅線
③神奈川~静岡・JR御殿場線
②神奈川・箱根登山鉄道
①千葉・銚子電鉄

 以前から次の鉄旅の候補に挙げていたのが小田急線とJR身延線でした。新宿発の小田急線は用事で上京したついでにということもできそうなので、今回は甲府または富士出発のJR身延線に決めました。

<9月14日>
 まずは新幹線で東京へ。豊田にはない古書店などをぶらぶらしてから新宿に向かいました。
 新宿から中央線で甲府に向かいますが、中央線には乗ってみたい電車がありました。「8時ちょうどの~あずさ2号で~」の特急あずさです。朝ではないので2号ではありませんが、新宿発のスーパーあずさに乗って甲府まで行きました。乗ってみたら普通の特急でした。それでも、僕は普通の特急にほとんど乗ったことがないので、「あずさに乗った」というだけで満足しました。

 翌日は、JR身延線の途中下車の旅です。時刻表を見ると本数が少なすぎです。ホテルに入ってから、下車する駅を絞って計画を見直しました。身延線でしっかり鉄分補給をして翌週からの仕事再開に備えます。
 先週の土日はバイクで1000㎞走破に挑戦。今回は自分の足で歩いて楽しみます。

<9月15日>

 19400歩。これがJR身延線を途中下車しながら歩いた歩数です。普段あまり歩かない仕事なので、たまにはこういうことをしないと体力がどんどん落ちてしまわないか心配なのです。元々体力ないし…。
 と言うことで、甲府で前泊した僕は身延線の出発点の甲府駅へ。もちろん駅前ロータリー脇にでんと構える武田信玄像を眺めてから駅舎に入りました。甲府は中央線の主要駅です。通勤通学客で賑わっていました。それでも、一番端のホームの身延線の2両編成の車両はがらがらでした。


    やっちまった(善光寺駅下車)
 まずは甲斐善光寺でしょうということで三つ先の善光寺駅で下車しました。

 いきなりやってしまいました。
 駅から1200mほどのはずが、歩いても歩いても甲斐善光寺が見えてきません。そのうちに僕の勤める大学のホッケー日本リーグのライバル校、山梨学院大学にたどり着いてしまいました。地図で 確認すると、まったくの方向ちがいだったのです。ローカル線は、1本乗り遅れると1時間2時間待ちになってしまいます。そうだ、目的地は甲斐善光寺でなくライバル山梨学院大学だったことにしよう。敵を知ることも大切なのです。
 仕方なしに、またまたひたすら善光寺駅を目指して元きた道を歩きました。朝から40分以上歩きづめです。プラットホームから遠くに見える甲斐善光寺の屋根を見つめて、目的地はあそこではなかったと自分に言い聞かせていました。

    ハダカ島?(善光寺駅~身延駅)
 次は一気に身延駅まで行きます。ちょっとトイレにと思って車両中央のトイレに入ったら、これが結構立派なトイレでびっくりしました。
 僕が乗ったの車両には、10人ほどの乗客が乗っていました。しだいに減り、途中からは登山の若者、ディバックの中年男性、中学生か高校生か大学生か分からない小柄な女の子、そしてディバックの僕の4人だけになりました。
 善光寺駅から身延駅まで約1時間半。途中停車駅で15分も止まっていることもありました。景色にも飽きてきたので人間観察です。
 中年男性はやたらと写真を撮っているので、僕と同じ鉄旅だろう。女の子は中学や高校は学校が始まっているから大学生で、軽装だからちょっと用事で電車に乗っているのだろう。
 身延駅に近づいたところで、「次はハダカジマ~」のアナウンスがありました。
 「裸島?」。
 聞き間違えかと思いましたが、次のアナウンスでは「ハダカジマでお降りの方は~」と、確かにハダカジマと言っていました。なんとパラダイスのような駅名。
 実は、漢字で書くと「波高島」だったのでした。あらかじめ地図でチェックはしていましたが、文字そのものには刺激性がないので、音声で聞いてビックリしたということでした。

    もちろん身延山(身延駅下車)
身延駅に着き、4人とも電車を降りました。そして、4人とも身延山行きのバスに乗ったのでした。


 バスに揺られること約15分。身延山バスターミナルで降りると、登山の若者はさっさと待っていた仲間とどこかに行ってしまいました。どこに向かえばいいのか分からずうろうろする3人。
 バスはまだターミナルにいたので、運転手さんに聞きに行きました。
 本堂への道を教えていただいてバスを離れると、中年男性が英語で女の子に何か話しかけていました。女の子の英語は僕にも分かりました。道順を2人に知らせると、女の子はそれを英語に訳して中年男性に伝えていました。男性はマレーシアから仕事で東京に来ているようでした。僕、マレーシアとトーキョーだけは聞き取れました。情けない。
 英語の苦手な僕はさっさと門前町を歩いて総門に行きました。そして、目の前の急勾配の長い階段にひるんでしまいました。

「これは、オレには無理。」
 それで、訳して登る方法はないか一応案内所で本堂への行き方を尋ねてみました。すると、階段の他に、急坂の男坂、緩やかな女坂があるとのことでした。案内所を出るとマレーシア人と女の子も躊躇している様子だったので、3つのコースがあることを伝えて、一人で女坂を登り始めました。
「なにが緩やかな坂道だ!」急坂のヘアピンカーブだらけの大変なコースでした。何度も立ち止まっては歩き、しだいに後悔の気持ちさえ感じてきました。急勾配を緩やかにすれば長い長い坂道になるってことになぜ気づかなかったんだろう・・・。しかも、緩やかではない。
 へろへろになって本堂の前に着くと、マレーシア人が手を振っていました。
 何かしゃべっているけど分からないし、へろへろで聞く気もない。
「アイム、ベリーベリータイアド。」
「ザットコース、ベリーベリーロングコース。」
 片仮名で答えてあげました。
 お参りをして、奥の院に登るロープウェイ乗り場に行き、切符を買ってベンチに腰を下ろしていると、今度はさっきの女の子がやってきました。

 ロープウェイで登った奥の院は霧に包まれていました。ここで景色を楽しむことはできないので、お昼を食べることにしました。
身延町はゆばが有名とのことで、ゆばうどんを食べていると、下りのロープウェイの時間が迫っていることに気づいたのです。大急ぎでうどんを食べ、ロープウェイに乗ると、またさっきの女の子が乗っていました。ロープウェイも、身延駅行きのバスも、身延線の列車も、すべて本数が少ないので同じになって当たり前なのです。それでも、やっぱり気にはなりました。当然かもしれませんが電車もバスも上りロープウェイも同じだったのですから。
ロープウェイを降りて本堂に向かう途中で変な乗り物を発見。「斜行エレベーター」と書いてありました。係員っぽい人に聞いてみると、駐車場への昇り降りのエレベーターだそうで、誰でも利用できるとのことでした。そして、駐車場からバスターミナルまではクルマが通る下り坂を15分ほど歩けば行けるとのことだったので、「斜行エレベーター」なるものに乗ることにしました。乗った感じは、エレベーターとケーブルカーのチャンポン。わずか30秒の乗り物でしたが、おもしろい経験でした。
 バスの時間まで13分。駐車場を横切り、早歩きで下り坂を歩きました。あと3分というところで、かなり焦ってきました。一人競歩みたいにして大急ぎで歩き、あと1分を切った時間になんとかバスに乗ることができました。
 バスに乗るとまた何度も出会っている女の子がいました。さすがにバスの中では話をしながらJR身延駅に向かいました。
 彼女は、沖縄から甲府の大学に来ているそうで、せっかく山梨にいるのだから身延山に登ってみようと思って訪れたとのことでした。
 身延駅で彼女は甲府方面に、僕は富士方面へと別れました。別れ際に、電車の扉のところから大きく手を振ってくれたのが印象的でした。
 で、あのマレーシア人はどこへ行ったのだろう。

    富士山本宮(富士駅下車)
 次は、富士宮駅で下車しました。
 目的地は富士山本宮です。富士の麓の各地にある浅間神社の総元締めのような神社です。もう善光寺駅と同じ失敗は許されません。電車の中でしっかりと地図でチェックして駅を出ました。距離は1㎞あまりです。
 歩くこと10分。
「おおっ、でかい鳥居だ。」
 境内も何か威厳があって、しっかりとお参りをしなければいけない雰囲気が漂っているような気がしました。その威厳に圧倒された僕は、お賽銭はいつもの10円玉ではなく100円玉にしてしまいました。おまけに、妻と母に御守りまで買ったりして。
 富士宮駅まで戻ると、あとは終点の富士駅です。
 今回の途中下車の旅は、列車の本数が少ないため少しの駅しか下車できませんでしたが、中身の濃い途中下車の旅になりました。富士宮駅で最後の途中下車を終え、終着駅のJR富士駅に着きました。


    贅沢に一人タクシー(終着富士駅からの帰り)
 さて、新幹線の新富士駅と在来線の富士駅は鉄道でつながっていないのです。バスもコミュニティバスで、公共施設や商業施設を回るため、コースによって到着時間が異なるとのことでした。駅員の方に尋ねても、普通はタクシーを利用することが多いということでしたので、鉄旅で初めてタクシーを使うことになりました。一人で乗るタクシーは、なんか贅沢な気がして、もったいないなあと思いながら新幹線の駅に向かいました。
 新幹線も各駅停車のこだましかありません。掛川や豊橋、新安城など、なんだか鉄旅が続いているような気分を味わいました。新富士駅で買った駅弁もびっくりで、パッケージの絵はとても古くさく、御飯はなんと富士山の絵になっていました。
久しぶりの鉄分補給の旅。おもしろいJR身延線の旅でした。
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2016.2 鉄旅7 河津桜祭り~伊豆急行線一人旅

2016-03-02 23:15:37 | ローカル鉄道の部屋
まずは、これまでのバック・ナンバーです。
⑥千葉・小湊鐵道
⑤福井・えちぜん鉄道三国芦原線
④東京・JR青梅線
③神奈川~静岡・JR御殿場線
②神奈川・箱根登山鉄道
①千葉・銚子電鉄


 そして今回は、河津桜満開の伊豆急行線途中下車の旅をしました。
 2月26日(金)、休日出勤の振替休日で久しぶりの平日休みでした。そこで、満開の河津桜を見て、いくつかの駅で途中下車して駅周辺の散策、そして温泉を楽しもうと、今回は伊豆急行線に乗ることにしました。
 伊豆急行線は伊東から下田ですが、伊豆急の電車はJR伊東線始発駅の熱海駅から出ています。それで前泊の26日はJR熱海駅の近くのビジネスホテルに泊まりました。
 関東方面に行ったらどうしても乗ってみたいと思っていた電車がありました。それは、おそらく首都圏にしかない普通列車のグリーン車です。そこで、名古屋から新幹線のぞみで新横浜へ行き、横浜線で横浜へ、ちょっとぶらぶらして、横浜から熱海までグリーン車に乗ってみました。16両編成の通勤快速列車の4号車と5号車の二階建ての車両です。上部のウィンドゥが湾曲したかっこいい車両です。横浜から平塚まで下の階の座席に座りました。、駅に停まると真横がホームの床です。平塚で7分後の熱海行きに乗り換えて上の階の座席で熱海駅まで行きました。ゆったりシートでまるで特急気分です。でも、普通列車なので各駅停車。
 よく考えたら、僕にとってグリーン車初体験でした。生まれて初めて乗ったグリーン車が通勤快速と普通列車・・・。それでも980円のおもしろい体験でした。
 熱海駅からホテルに行く途中に「天国葬祭場」というおもしろい名前の葬儀屋さんがありました。ここで葬式をあげれば、地獄に落ちることはないでしょう。

 2月27日(土)8時前にJR熱海駅に行き、伊豆急行線途中下車の旅の始まりです。
 8時24分発が伊豆急行普通列車リゾート21の最初の列車です。ホームで待っていると、テレビで見た「にゃらん号」が入線してきました。30分前から並んで乗った僕は海側の席に座り、すっかりリゾート気分です。ところが、河津桜満開の天気のいい土曜日とあって、次から次へと乗り込んできて発車する時には超満員になっていました。30分前に並んだのは、超満員を予想していたからです。
 大きな窓から東伊豆のオーシャンビューと、所々に見られる早咲きの桜を楽しんで河津駅で途中下車。超満員の乗客のほとんどが河津駅で降りたため、改札出口は長い行列になりました。2月中旬に咲く河津桜が満開で駅を出ると「桜まつり」で大賑わいでした。
 約1㎞にわたる濃いピンクの桜並木の下には鮮やかな黄色の菜の花が咲き、黄色とピンクのコラボがとても素敵でした。
 次に向かったのが終点の下田駅です。駅を出ると黒船の模型が置いてありました。
 開国の下田港で一休みしていると、遊覧船の黒船がやってきました。観光客が乗り込むのを見た後、話題の金目鯛の下田バーガーの店に行きました。メニューを見てびっくり。ハンバーガー1個で1000円。パンから大きくはみ出すくらいの金目鯛のフライを挟んだハンバーガーです。ここでしか食べることはできないと思い、思いきって注文しました。厚すぎて食べにくいけどとてもおいしいハンバーガーでした。
 下田駅に戻り、上り普通列車に乗りました。
 伊豆稲取で途中下車しました。
 駅を出て少し歩いたらめずらしいゆで卵の自販機がありました。ゆで卵のまんじゅうもあります。迷いに迷った末、買うのをやめました。一人旅で卵を5つも6つも買ってもとても食べられません(1個ずつではなくパック入りでの販売でした)。後ろ髪を引かれる思いで稲取漁港に向かいました。美しい吊し雛の店を覗いたりして歩いていると、港近くに江戸城に運んだと言われる大きな石が2つ置いてありました。稲取駅にもありましたが、ここの港からたくさんの大きな石が江戸に運ばれたとのことでした。
 街をぶらぶらしていると、吊し雛が展示してある館がありました。雛飾りの周りに所狭しと吊された吊し雛は圧巻でした。しばらくその場から離れられないくらい強烈な美しさでした。
 再び狭い道を歩き始めたらすぐに小さな和菓子店に「金目鯛最中」と書かれたのれんがありました。気になったので入ってみると、それはうすいピンク色の皮で包まれた鯛の形をした最中でした。1つ買って食べていたら、店の人がお茶を入れてくださいました。
 駅に戻り、再び上り普通列車に乗りました。河津桜の河津駅から乗った人たちで満員でした。
 伊豆高原駅で途中下車しました
 リゾート地伊豆高原の玄関口ですが、僕の目的は伊豆「高原のゆ」で温泉に入ることです。渋滞気味の国道に出て少し歩いた所にありました。けばけばしいほどの看板で、すぐに分かりました。
 「高原のゆ」は、ぬるぬる感もつるつる感も弱めでしたが、露天風呂に浸かっていると、なぜか体から疲れが抜けていくような感じがしました。しかし、あまりのんびりとはしていられません。1時間に1本の列車を逃したら大変なことになります。大急ぎで伊豆高原駅に戻りました。
 「大変混雑していて10分ほどの遅れです」のアナウンスに「ゆっくり歩けばよかった・・・」と思いました。
 列車は「にゃらん号」でした。満員なので、にゃらん号でもなんでもいいのです。次の下車予定の駅はすぐとなりの城ヶ崎海岸駅なのです。
 駅を出て階段を下りると「灯台・吊り橋まで1.5㎞」の看板が出ていました。往復3㎞です。ひたすら下り坂のように見えました。と言うことは駅に戻るにはひたすら登り坂・・・。不整脈で通院中の僕は少し躊躇しました。スマホの歩数表示によれば、これまでに10㎞くらい歩いています。普段歩くことのない仕事をしている僕にとってはかなりの距離です。が、普段の授業などで「迷ったらやれ」と学生たちに伝えているので、ここは「行く」を選びました。
高級別荘地内のおしゃれな豪邸を横目で見ながら案内表示に従ってまっすぐまっすぐ歩き続けます。「灯台・吊り橋まで1.2㎞」「0.9㎞」と標識が、復路の分も入れて「2.7㎞」「2.4㎞」と思えてしまい、自分の体力に不安を感じながら歩きました。
 灯台の駐車場を横切ると、真っ白な立派な灯台が見えました。さらに、そこから50mほどの所にはつり橋が。嫌いなはずのつり橋を渡るのも、今まで歩いたご褒美のようなもの。つり橋からの絶景をしっかり目に焼き付けて、すぐに城ヶ崎海岸駅に引き返しました。次の電車まで40分ほどしか時間がないのです。
 帰りはずっとゆるやかな登り坂。登山者がよくやっているように腕を前に組んでひたすら歩きました。すると30分もかからずに駅にたどりつきました。余裕で、この旅最後の伊豆急電車に乗りました。
 電車はJR伊東線乗り入れの熱海行きでしたが、僕は伊東で降りました。伊豆急行線途中下車の旅最後の下車駅は、伊豆急行線の起点の伊東駅にしたかったのです。
 駅を出ると、ちゃんと「ハトヤ」の送迎バスが待っていました。昔から、「伊東へ行くならハ・ト・ヤ!」なのです。駅前ロータリーの小田原かまぼこの店でお土産を買い、JR伊東線・宇都宮行きに乗って熱海駅に戻りました。「伊東発宇都宮行き・・・」そんな普通列車があることを初めて知りました。
 熱海から新幹線ひかりで帰ってきましたが、スマホの歩数計は22500歩。1歩を60㎝として計算するとおおよその距離13.5㎞ほど歩いたことになります。思ったより疲れてないので不整脈持ちの半世紀以上動き続けているアイドリング高めの僕の心臓も鍛えればまだまだいけると、自分なりに感心しています。足の衰えもまだ大丈夫そうです。クルマやバイクもおもしろいけど、たまには鉄道を使って自分の足で旅するのもいいものです。
①観光普通列車「にゃらん号」
②2月に満開になる河津桜(河津)
③開国の下田港(伊豆急下田)
④金目の下田バーガー(伊豆急下田)
⑤江戸城築城の御用石(伊豆稲取)
⑥温泉卵の自動販売機(伊豆稲取)
⑦美しい吊し雛(伊豆稲取)
⑧ピンクの皮の金目鯛最中(伊豆稲取)
⑨疲れが抜ける感じの伊豆高原の湯(伊豆高原)
⑩絶景のつり橋(城ヶ崎海岸)
 10の名所や名物に触れる旅でした。
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2016.2 小湊鉄道途中下車の旅(2015年5月)

2016-02-20 15:59:22 | ローカル鉄道の部屋
 鉄旅の計画を立てていて、「シリーズ6:小湊鐵道」をアップすることを忘れていたことに気づきました。
 昨年(2015年)5月にぶらっと出かけたときの記録です。9か月もまえのことなので、多少不自然な記述もあるかもしれません。歳のせいか、記憶もあやしくなってきていますから。

 千葉駅の近くの東横インに前泊しました。モノレールが上空を通っているのですね。


 小湊鐵道始発駅の五井駅まではJR内房線で行きました。駅に着くと、小湊鐵道の車両がずらり。これを見ただけでわくわくしました。


 どうってことはありませんが、馬立駅で下車。入院している父が馬好きなものですから、回復を祈って下車しました。




 どこの駅だったか、線路脇の藤の花がとてもきれいでした。僕が写真を撮ったら、周りのおばさんたちも急に関を立って写真を撮っていました。気づかなかったけど、周りのおばさんたちは鉄婆、違った鉄女だったんだ。
 終点の上総中野駅。ここからいすみ鉄道に接続しますが、僕はここで折り返しです。




 上総中野駅の駅舎を出るとこんな形のトイレがありました。


 折り返して、一つ手前の養老渓谷駅で下車しました。ここからは養老渓谷を散策です。温泉に入ったり、食事をしたりしてぶらぶらと歩きます。


 遊歩道を1km以上歩きました。遊歩道はまだまだ続きます。


 ずっと、こんな道が続きます。道ばたに咲く小さな花に心がうばわれました。野に咲く花を眺めながら歩くなんて、いつ以来だろう。


 何か、得体の知れない獣の巣・・・だと思う。


 道の両端には、こんな花、あんな花。やっぱり5月の散策はいいものです。




 かわった形の葉っぱもみつけました。


 僕のきらいなつり橋も。これくらいのつり橋なら平っちゃらです。藤の花がきれいでした。


 国道に出たら、神社がありました。赤い橋を渡り、さらに階段を登ります。僕は帰りの体力温存のため、ふもとの祠でお参りをしました。




養老温泉では、日帰り温泉ののぼりや看板はいくつもありましたが、やっている旅館は少なかったです。3軒目の「嵯峨和旅館」さんでやっと温泉に入ることができました。


 お湯の色は真っ黒。ちょっとびっくりしました。とってもいいお湯でした。
 セットメニューで昼食付き。実は、昼食(定食)を注文すると、もれなく温泉入浴がついてくるのです。地の料理を注文しましたが、何を食べたか忘れました。でも、丼がおいしかったことは覚えています。しかも、かなりお得だったような・・・。




 お腹もいっぱいになり、温泉でリフレッシュし、再び遊歩道を散策です。坂の途中には地層も見えました。これ以上遠くに行ったら戻れなくなりそうだったので、小湊鐵道養老渓谷駅を目指しました。


 やっぱり、散策路の両側に咲く花が気になります。小さくてかわいい花がいっぱいでした。






 駅まで1.2kmの交差点にあるベンチで一休みです。冷たいお茶で喉を潤しますが、流れ出てきます。お土産に買った小湊鐵道の手ぬぐいを頭に巻きました。結構、楽しい。




 駅まであと1km。かわいらしい花の間を歩きます。






 養老渓谷駅に戻ってきました。足が棒状態になっています。それでも、あと1か所か2か所は駅周辺を散策したいと思いました。小湊鐵道沿線は自然豊かでほんとうにいい所です。


 いたぶ(飯給)駅で途中下車しました。ひらがなを見ないと読めません。青い小さな建物が駅舎です。


 駅舎は小さいけれど、トイレは日本一の広さを誇ります。入り口のドアを開けてずっと先の白いところが便器です。さすがに周りはガラスで囲まれていて、カーテンも着いていました。女子用のマークしかありませんでしたが、ちゃっかり用を足してきました。広すぎて落ち着きません。


 飯給駅の近くの田んぼです。水面に映る車両を撮りたかったのですが、まったく反射しませんでした。


 小高い丘の上に白山神社が見えました。ちょっと寄ってみることにしました。


 階段を上ると狛犬が。知らない土地の氏神様というのも、なんだかとても趣があっていいものです。




 いたぶ。読めないですよね。


 この列車に乗って、次は高滝駅です。




 高滝駅から、高滝湖に向かいます。また登り坂で足が棒どころか、歩くのがつらくなってきました。坂を上り詰めて下り坂の先に神社と大きな湖が見えました。神社は高滝神社で、そのままの名前でした。


 高滝湖は高滝ダムの人造湖です。湖に橋がかかり、その脇には赤い鳥居。湖畔は公園になっていて、ここはたぶん市原市民のいこいの場なのです。カモが2羽、のんびりと泳いでいました。




 駅の近くまで戻り、田んぼに映る車両の写真に再度挑戦しました。水のある所に、ちょっとだけ映っています。一応、成功です。


 小湊鐵道の車両に乗るのもこれが最後。高校生の下校時刻と重なりました。車掌さんと生徒たちがとても仲良し。「○○クンは、今日はどうしたの」「あいつ、風邪ひいたみたい。夜遊びして熱が出たんじゃない」そんな感じでおしゃべりしていました。のどかでいいものです。車掌さんは常連客の顔と名前をちゃんと知っています。


 五井駅に戻りました。JR内房線で千葉へ、特急に乗って東京駅に向かいました。




 帰りの新幹線で晩ご飯です。名前につられて買ってしまいました。

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2015.3 えちぜん鉄道三国芦原線途中下車の旅

2015-04-14 23:07:24 | ローカル鉄道の部屋
 「鉄ちゃん」第5弾は福井県えちぜん鉄道三国芦原線。これまでの4回はいつも一人旅だったが、今回は妻といっしょに二人旅。僕たちは普段からよくいっしょにBSのローカル線の旅番組を見ている。そこに僕が去年プチ「鉄ちゃん」デビューしたものだから、とうとう妻も「私もやりたい」と言い出した。こういうことは今までにもよくあった。極めつけはバイクだ。僕がバイクに乗っていると「一人だけおもしろそうなことをしてズルイ。私も免許取る!」で、二人の毎年恒例の北海道ツーリングが始まったのだった。
 こうして、初めてのローカル線途中下車二人旅がスタートした。
前日の3月27日(金)に2人とも有休を取り、クルマで芦原温泉に向かった。一人旅の時は安いビジネスホテルだが、この日は特別だ。ちょっとリッチに芦原温泉政竜閣に泊まってカニ三昧に温泉三昧。実は3月27日は僕の誕生日。そして妻の「鉄子」デビューの前夜祭。おいしい料理と気持ちのいいお湯で満足、満足。


<3月28日>
 芦原温泉で前泊した僕たちは、えちぜん鉄道「あわら湯のまち」駅近くの市営駐車場にクルマを置かせてもらい、途中下車の旅第5弾のスタートだ。妻も「鉄子」デビューにわくわくすると言っている。
 土日だけの一日フリー切符(一人800円)を買い、9時19分発の福井行きの電車に乗った。結構乗客が多くて2人ともびっくり。薄茶色の田んぼが広がるのどかな風景の中をえち鉄は走る。
 終点で始発駅の福井駅の一つ手前の「新福井」で下車した。最初の目的地は「養浩館庭園」だ。だいたいの場所はあらかじめ地図でチェックしておいたが、多少の不安はあった。妻は、
「この道で大丈夫?」
と言うが、
「たぶん・・・。」
と言いながら広い通りを北に向かって歩いた。少し不安が増したところで交番を発見した。道路を渡って交番に入ろうとしたら誰もいない。でも大丈夫。すぐ脇にちょっとした周辺地図があった。そこにはちゃんとすぐ近くに「養浩館庭園」が記されていた。
「そこを入ればすぐじゃん。」
 古風な門をくぐり、庭園見学だけなら210円、JAF会員なら160円ということで320円を払って庭園に入った。 
見事なものだ。池の水が川のせせらぎのように流れている。江戸時代の福井藩主の別邸の庭だったそうで、どの位置から見ても日本的な美が感じられた。
 続いて、えち鉄の始発駅「福井」に向かった。
 福井駅で電車を降りて最初に目に付いたのがホームのベンチに足を組んで座る恐竜。おしゃれな服を着て、電車を待っているポーズ。さすが恐竜の県・福井。
 まずは南に向かって「北の庄城址」へと歩いた。戦国武将柴田勝家の居城跡で、今は柴田神社として勝家が祀られていた。お堀の跡などもあった。
 次に、少し北側の繁華街に出て「百年時計」を見に行った。「百年時計」は、商店街の交差点の歩道にどっかりと据えられていた。高さが5mくらいある大きな時計で、その胴体部分に100年分の目盛りが刻まれていた。かなりカラフルでよく目立つ。2001年の大晦日と元旦の間の21世紀の幕開けとともに始動したそうだ。なんだか、そのコンセプトがおもしろい。と言うことは、ここで始動のカウントダウンをした人は、ちょうど百年後の目盛りが最後の所を指す時には誰もいない・・・ということになる。いるとしたら抱かれていた赤ちゃんくらいなものだ。この「百年時計」もおもしろかったが、気になったのは目の前を走る福井鉄道の路面電車だ。新しいデザインの車両で、今の町並みによくマッチしていた。
 その次に向かったのが、足羽川緑地の桜並木。大きな橋を渡ったが、そこにも福井鉄道の路面電車が。プチ鉄ちゃん、プチ鉄子になったのだから、いつか乗ってみなくてはと思った。
 川沿いの遊歩道の桜の木にはまだ花は咲いてなかった。それでも、どの枝にもたくさんの大きなつぼみが膨らんでいて、北陸にも春はもうすぐそこまで来ていることがうかがわれた。のんびりと散歩するにはすごくいい道だった。
 福井駅に戻り、再び鉄ちゃん・鉄子になった。
 三国港行きの電車に乗り、13駅先の「西春江」駅で途中下車した。ちょうどお昼時で、以前「ローカル線聞き込み途中下車の旅」でやっていたソースかつ丼の店に行ってみようと思ったからだ。確か、県道沿いにあると記憶していたので、ひたすら県道に沿って歩いた。ところが、歩いても歩いてもソースかつ丼の店は見当たらない。ソースかつ丼の店どころか、食事のできる店がない。だんだん足が棒のようになり、
「どこでもいいから、店があったらそこにしよう。」
ということになった。
 やっと見つけたのが「梵亭」。普通の民家っぽい外観の店で、看板がなければ気づかないかもしれない。ところが、入ってみたらなかなかおしゃれでいい感じの店だった。「足、いてえ~」と思いながら時計を見ると、駅から20分ほどしか経っていない。やっぱり若い頃とは違う。
 注文したふわふわ卵のオムライスもコクのあるデミグラスソースとにょろ~んとした卵が絶妙の食感で、すごくおいしかった。大きめの器のせいか見た目はちょっと少ないかなあと思ったが、食べ終わったらおなかいっぱいになっていた。妻が、
「ねえねえ、これで名所登録5つ目。あと5つで目標達成。」
と、BSジャパンの旅番組「ローカル線聞き込み途中下車の旅」をまねて言った。思わず、吹き出しそうになってしまった。
 次の電車の時刻は14時04分。その時刻に合わせ、13時35分に店を出て、再び「西春江」駅を目指した。県道から駅に向かう交差点の角に「八幡神社」があった。なかなか立派な神社で、
「これで、名所登録6つ目。」
 おいおい、これも入れるんかい。
 「西春江」の次は「下兵庫」で下車した。ここには、歩いて2分の所に「淵竜の池」があるとのこと。駅を出ると公民館などの案内板に合わせて「淵竜の池」の案内表示もあり、分かりやすかった。2分ではたどり着けなかったが、すぐに分かった。
「なに、これ、小さな池だなあ。」
 池の周りは自然の土ではなくコンクリートで固めてある。池の真ん中に碑のようなものが建てられていて、なんとなくいわれのある池っぽさは感じられる。この池は、平安時代の神社にあった池で、竜が棲んでいたと伝えられて、恐れられていたとのことだが、そう言われればなんだか背筋に冷たいものを感じるような気がした。霊感が強いわけではないが、やっぱりこの池はただの池ではない。
 駅の戻る途中に大きな鳥居があったので、ちょっと寄ってみることにした。
 田畑の広がる坂井平野だが、そこだけがうっそうとした森になっていて、森の中の境内も広い。きっとここも地元の人にとっては名所なのだろうと思う。
 「下兵庫」の次は、前泊した芦原を通り過ぎ、終着駅の一つ手前の「三国」駅で下車することにした。北前船で栄えた町なので、名所もいくつかありそうだ。
 20分ほど電車に揺られ、「三国」で下りると、そこだけは田畑が広がっていない。歴史が感じられる町並みが見える。
 三国は、九頭竜川河口沿いの昔北前船で栄えた町だ。駅前通りを南に向かって歩くと、すぐに立派な神社があった。入ってみるとすぐ本殿。遠くに鳥居が見えたので、どうやら僕たちは裏から入ってしまったようだ。「氷川神社」という水運の町を守る神様が祀られているようだった。二人でお参りをし、長い境内を歩いて鳥居をくぐった。再び駅前から伸びる広い通りに出て、九頭竜川河口を目指した。
 気になっていたのが「三国湊座」だが、昔の面影が残る古い通りを歩いてもなかなか見当たらなかった。きょろきょろしながら歩いていると、「三国」の文字の入った法被を着たおじさんが、
「ここは見て行った方がいいよ。」
と言って、目の前の「旧岸名家」に案内してくれた。地元のボランティア・ガイドさんで、そのまま旧家に入って説明してくださった。長い土間が通路となっていて、土間と仕切りのない商談の部屋や水場などがあり、当時の大商人の家の様子がとてもよく分かった。
 三国駅周辺で最後に訪れたのが三国名物「酒まんじゅう」の老舗「にしさか」だ。三国には酒まんじゅうの店が何軒かある。ここ「にしさか」は「ローカル線聞き込み途中下車の旅」で紹介されていた店で、まんじゅうに「長」の文字が刻印されていたのが印象に残っていた。酒まんじゅうだけかと思ったら、店頭には数種類のどらやきなどの和菓子も並んでいた。もちろん、迷うことなく酒まんじゅうを2つ買い、店内で食べた。意外なことにパリッとした食感に驚いてしまった。ちょうど「長」の文字の部分だけパリッとしていて、それ以外はほどよい柔らかさ。お酒がまったくダメな僕も、お酒の風味を楽しむことができる逸品で、めったに食べ物系のお土産を買わない僕たちも両親と自分たちのために5個入りパックを一箱買った。
 酒まんじゅうを食べている間に完売となり、僕たちが店を出る時に入ってきたお客さんは気の毒にも「にしさか」の酒まんじゅうを口にすることはできなかった。ぎりぎりセーフだったのだ。
 駅に戻り、えち鉄三国芦原線終着駅の「三国港」に向かって電車に乗った。駅と駅の間が短いのか、あっという間に「三国港」駅に着いた。パワーが残っていれば歩いて行ける距離かもしれない。それでも、ローカル鉄道に乗ることが旅の目的なので、いくら近くても僕たちは電車には乗る。
 「三国港」駅に着いてまず見に行ったのが、レールが終わっている場所だ。これまでの一人旅ではそうは思わなかったが、今回なぜか「終着」の証しを見てみたいと思った。
 ホームを過ぎて数10mの所でレールは無くなっていた。旅の終着駅にたどり着いたことを実感した。
 ここでの周辺探索はただ一つ、「三国温泉ゆあぽーと」。芦原温泉で前泊したとは言え、やっぱり旅に温泉は付きものだと思う。鉄ちゃんデビューの銚子電鉄の時はあまりにも遠すぎて温泉に入っているような時間は無かったが、箱根登山鉄道では強羅で、JR御殿場線では足柄、JR青梅線では奥多摩、というように旅の疲れを癒やすひとときを作ってきた。
 「三国温泉ゆあぽーと」は、九頭竜川の河口にあり温泉から日本海が一望できる絶景のロケーションだった。海と川の間の美しい景色を眺めながらのんびりとお湯に浸かる。たくさん歩いた後だから、疲れがすうっと抜けていく感じがした。
 16時39分、今回最後のえちぜん鉄道の電車に乗った。これで終わりかと思うと、やっぱりさびしくなる。
 17時少し前にクルマを止めておいた「あわら湯のまち」駅に着き、芦原を後にした。
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2015.2 JR青梅線途中下車一人旅 ~奥多摩渓谷(東京)の旅~

2015-02-27 23:16:26 | ローカル鉄道の部屋
 僕の「鉄ちゃん」第4弾はJR青梅線。前日に新幹線で品川へ、山手線で新宿、中央線で国分寺に行き、国分寺のビジネスホテルで前泊した。夕方の中央線の身動きが取れないくらいのラッシュにびっくりしたが、仕事を終えて郊外の家に帰る時間帯なので当然と言えば当然のこと。ここは首都東京なのだから。ホテル近くの中華料理店でラーメンと小チャーハンを食べ、スマホで青梅線沿線の見所をチェックして、早々に床に就いた。
<2月20日>
 2月20日(金)の朝は、なぜか5時50分に目が覚めてしまった。いつもの起床時間だ。体のリズムがそうなってしまっていることがちょっと寂しい。休暇の日までも早起きはしたくなかったので、7時まで寝た。
 8時にホテルを出て、喫茶店でモーニングを食べて、まずは青梅線始発駅の立川駅に向かった。
 さすが東京、郊外の駅でもでかい。しかも、人人人であふれかえっている。みんなは仕事か学校だが、僕は遊び。立川駅の写真を撮り、ついでにバスフェチの僕はずらっと並ぶ路線バスの写真も撮った。
 8:45発の青梅行きの電車に乗って、まずは青梅駅へ。9:16に青梅に着き、次の奥多摩行きが9:32発なので、駅構内をぶらぶらすることにした。
 電車を降りると、「昭和レトロの町・青梅」の看板が目につく。青梅駅構内は、とにかくおもしろい。何がおもしろいって、わざわざ昭和レトロ風に作られているのだ。ホームに掲げられた駅の表示も、うす黒く垂れるように水垢がついていたり、錆で褐色になっていたりして古くさくなっているが、実は水垢も錆も描かれているのだ。実際には、水垢もついていなければ、錆てもいない。それどころか、待合室の外壁も板壁になっているだけでなく、古いポスターが剥がれたような糊の痕の絵まで描かれていて、その懲りようにはたまげてしまうほどだ。通路には、昭和の映画のポスターの絵や、おそ松くんやニャロメの絵。改札の内側は昭和の香りがぷんぷんするような雰囲気が人工的に作られている。ちび太やイヤミで育った昭和世代の僕は、うれしくてたまらなかった。
 9:32発の奥多摩行きに乗って、まず目指したのが御嶽駅だ。青梅まで住宅地を西へ西へと向かってきた電車は、しだいに山の中へと入り、多摩川を眼下に見る山の中腹を這うようにして進む。トンネルあり、急カーブあり、鉄橋ありの、自然の地形に合わせて鉄道が敷かれているようで楽しくなる。
 電車は御嶽駅に着いた。山しかない風景の中に、最新の通勤型200系電車がまったく似合わない。駅舎も、昭和どころか明治・大正・昭和初期の御殿を模したような建物だ。駅の出入り口に置かれている赤い円筒形のポストがよく似合っていた。
電車に乗っていた人のほとんどが御嶽駅の改札を出た。数組の熟年ハイカーのグループだ。真新しいリュックを背負ったハイカーたちは元気な声で話をしながら御嶽山ケーブル下行きのバスに乗っていった。なんだか、僕一人だけ取り残されたような感じだった。
 駅前交差点を渡って急な階段を下りた所が御嶽渓谷だ。渓流に沿って細い散策路が整備されていた。まずは上流に向かって歩く。岩と岩で急流になっている所にラフティングの練習場があった。一人、ひたすら練習に励んでいる人がいた。流れに逆らわずに下ったかと思うと、すぐに波しぶきの中を上っていく。なかなかうまい。しばらくその様子を見た後、今度は下流に向かって歩いてみた。遠くにつり橋が見える。あのつり橋まで歩いてみよう。渓谷を跨ぐつり橋や、しぶきを上げて流れる水。朝の空気がすごくおいしい。つり橋に近づいたところで散策路から河原に降りてみた。大きな岩に腰を下ろして缶コーヒーを飲んでいると、なんだか山歩きっていいものだなあと思えてくる。
 散策路から急な坂道を上り、つり橋のたもとに着いた。半分ほど渡ったところで渓谷の写真を撮ったが、ゆらゆらと揺れる橋からは撮りにくかった。うまく写っているかどうか。
 再び散策路に戻り、御嶽駅に向かった。
 小1時間の散策を終え、10:40発の奥多摩行きの電車に乗り、鳩ノ巣駅で途中下車した。
 駅を出て奥多摩方向に歩くとすぐに「双龍の滝」の文字が見えた。「滝」と聞けば行くしかないと思い、矢印に従って急な階段状の道を下った。すると、幅30㎝ほどの細い滝があった。
「これが双龍の滝?」
 ほかに滝らしいものもなく、双龍という名がついているのに1本しか見えない。岩を垂直に6~7m流れ落ちているので確かに滝なのだが、迫力はない。完全に名前負けしてるなあ。
 再び階段を登って駅西に出た。そのまま鳩ノ巣渓谷に向かって歩いたら、工事のおじさんが、
「遊歩道、工事中だから行けないよ。行くんだったら、滝の方から回っていけば行けるけど。」
と教えてくれた。
「また、さっきの急な階段か・・・。」
 結局、駅前の国道から谷を眺めるだけにした。眼下に小さく渓谷のつり橋が見える。あそこまで降りたら、駅に戻るのが大変だと思った。
 11:21発の奥多摩行きに乗り、終着駅の奥多摩に向かう。ホームに入る最新の200系電車がますます似合わなくなっていた。新しいデザインもさることながら、4両編成というのが似合わない。深い山間の渓谷に沿って走るのだから、イメージとしてはたった1両の短い車両が似合うはずだ。奥多摩駅まで、きついカーブを長い車両が4両、きしむようにして走っていく。
 終点の奥多摩駅に着いた。電車を降りてホームの一番前まで行くと、レールはそこで途切れていた。なぜか、終着駅に着くと、それを見たくなる。
 奥多摩駅の駅舎はとても立派な建物だ。子どもの頃に見た昔の映画館を思い出す。生まれて初めて観た映画がディズニーの「101匹ワンちゃん大行進」だった。幼稚園から先生の引率でみんなで歩いて行った映画館が、こんな形をしていたような気がする。
 駅下の交差点でまず目に付いたのが大きな杉の木だ。近くまで行ってみると、木の横の看板に「三本杉」と書かれていた。しかも、東京で一番高い杉の木だそうだ。確かにすごく高い木だが、これが長野だったら何番目になるだろうなどと、つまらないことを考えてしまった。
 三本杉から民家の間の坂を下っていくと渓流に沿った遊歩道に出る。山肌を縫うように歩くと、下の方に新しいつり橋が見えた。ずいぶん低い所まで来たもので、橋の近くまで来ると、河原に下りることができた。こんなに澄んだ水は見たことがないと思うくらいきれいな水が流れている。山の緑が映って澄み切った緑色だ。川底の岩もはっきり見える。泳いでいる魚たちの姿もはっきり見える。遠く離れた駅近くの赤い橋が澄んだ水に映り、山の緑にひときわ映えて見える。オゾンたっぷりの空気を吸い、渓谷美を楽しむ。わざわざ奥多摩まで来て本当によかったと思う。
 つり橋を渡ると散策路の地図があり、それを見ると右への道はロング・コースっぽい。左はショート・コースのようだ。お昼を過ぎ、おなかもすいていたし、帰りの電車の時間も気にかかる。なんと言っても、普段あまり歩かない生活をしているので、自分の体力も気にかかる。迷わず、左へと進路をとった。ショート・コースとは言え、遠くに見える赤い橋まで曲がりくねったアップダウンを繰り返す道を歩くことになる。僕にとっては、十分ロング・コースだ。
 思ったとおり、遊歩道は登り坂になり、川の蛇行に合わせてくねくねとカーブが続いた。再び下り坂になり、その先に2つ目のつり橋があった。一人分の道幅のつり橋はよく揺れる。揺れる割には怖くはない。つり橋をわたると、また登り坂だ。まだお昼ご飯を食べてないのに、スマホの歩数計を見るとすでに普段の3日分くらい歩いている。ところが、まったく足の疲れは感じない。山道の登り坂も快調に歩くことができる。きっと、美しい自然とおいしい空気のおかげだろう。人が快適に過ごせるのは、エアコンの効いたコンクリートの箱の中ではなく、自然の中で過ごすことだとつくづく思えてくる。
 愛宕山の麓の山道入り口を通り抜けると遠くに見えていた赤い橋のたもとに出た。わずか30分あまりの散策だったが、気持ちのいい汗をかいた。時刻は12時10分。橋から奥多摩温泉もえぎの湯まで約700m、温泉から奥多摩駅までが約800mだ。移動の時間は30分もかからないはずだ。青梅行きの電車が14:07発だから食事と温泉の両方を楽しむ時間はある。
 赤い橋を渡り、駅下の交差点に出て、国道を東に向かって歩いて行いけば「もえぎの湯」だ。渓谷の上の方を歩いているので、眼下に多摩川上流の流れが見える。長いつり橋も見えた。この辺りはつり橋だらけだ。
 「もえぎの湯」に着くと、まずはお昼ご飯だ。お昼ご飯はここだけの料理を楽しみたいと思う。しばらく食券販売機のメニューとにらめっこをした後、「川魚の塩焼き定食」を選んだ。多摩川上流の澄んだ水で育った魚ならおいしいに決まってる。
 番号札を手に待つこと10数分、カウンターに取りに行くとおいしそうな定食が。
「ん?豆ご飯?それとも味ご飯?」
 おいしそうな川魚の塩焼きよりも豆のようなものがいっぱい混ざった不思議なご飯が気になった。
「このご飯、なんですか。」
 すると、店員さんは、
「むかごご飯といって、種イモのまわりにできる小さなイモを混ぜて炊いたご飯ですよ。」
 席に戻って一口食べてみると、これがまたうまい。川魚の塩焼きも骨から身がポロッポロッと外れるように取れて食べやすいしおいしい。
「あれえ、レンコンの煮物にあんこがかけてある。」
 醤油味と甘いあんこの組み合わせはちょっとヘンだが、口に合わないことはない。さしみこんにゃくもおいしいし、ちょっとピリッとした漬け物もおいしかった。
 食器返却の時に、
「むかごご飯は、奥多摩でよく食べられているのですか。」
と尋ねると、
「群馬の方でもよくあるそうだから、ここの特産というわけではないんですよ。」
 なんだか、いい意味での田舎っぽい料理を口にしているうちに、東京にいることさえ忘れかけていた。
 お昼ご飯が終われば、次は温泉だ。
 わあー、つるっつる。なんて気持ちがいいのだろう。温度もややぬるめで僕にはちょうどいいし、気持ちよ過ぎ。露天風呂にも行ってみようと外にでると、少し離れたところにあった。この季節に裸で外を歩くのはちょっと寒かったが、露天風呂に入ったらまたまたいい気持ち。帰りの電車が14:07発だから、1時半くらいまでお湯に浸かっていることにした。
 体全体が温まり、暑いくらいだ。体を拭いても拭いても汗がわき出てきた。いつものように冷たいコーヒー牛乳を飲み、気温の低い外に出た。
 汗がすうっと引いていくのがわかる。
 なだらかな登り坂を10分ほど歩き、奥多摩駅に戻った。まだ15分くらい時間がある。お土産でも買おうと辺りを見回しても、土産物屋さんが見当たらない。うそだ、土産物屋がないわけがない。そう思って駅前周辺を歩いたが、やっぱり見当たらない。しかたがないので駅のとなりの奥多摩町観光課の観光案内所をのぞいてみた。ひっそりしていて入りにくかったが、そうっと、
「やってますか。」
と言って扉を開けた。
「どうぞ、どうぞ。」
と、大歓迎だ。やっぱり、駅周辺にはお土産を売っている店は今はもうないとのことだった。ただ、観光案内所には少しだがお土産らしいものも置いてあった。お菓子は「わさびチーズ・タルト」だけで、あとは長めの柄のしゃもじに「鹿肉カレー」と「わさびご飯の素」だけ。あまり時間もないので、「わさびチーズ・タルト」と「わさびご飯の素」を買った。
「このしゃもじも人気なんですよ。柄の長いのが使いやすいって。」
 なるほど、それではしゃもじも、ということで買うことにした。すると観光課の職員さん、
「あれっ、これいくらだったっけ。どっか、書いてないですか。」
 ・・・(人気なんて、ウソだな。売れてないんだ、きっと。)
 事務室の奥から、
「500円ですよ。」
の声。
 とりあえず、これで奥さんへのお土産はできた。
 14:07発の青梅行きの上り電車に乗り、青梅に向かった。よく歩いて、おいしいものを食べて、気持ちのいい温泉に浸かって・・・当然のように眠気を催した。ふわふわしているうちに青梅駅についた。
 往路で青梅駅に着いた時は早かったので、おもしろそうな所はまだ開いてない時間だった。だから。駅構内の散策だけで奥多摩行きの電車に乗り込んだ。青梅は「昭和レトロの町」と言われている町だ。駅を出て昭和レトロを探すことにした。
 駅の横の狭い道は「昭和小路」で、まさしく昭和の商店街。まだ僕が幼稚園に通っていたころの豊田市街の「銀座通り」の雰囲気とよく似ていた。そこを抜けると喫茶店の屋根に巨大な木のおもちゃのクルマが乗っていた。国道に出たところに「昭和レトロ商品博物館」があった。
 なつかしいなんてものではないね、「昭和レトロ商品博物館」は。入ってすぐに目に飛び込んできたのが街角のたばこ屋。そして、紙芝居屋の自転車と、昭和30年代のスーパーカブ。基本的に、僕の趣味のバイクのスーパーカブと同じだ。僕のカブは98年式で今から17年前の古いカブだが平成に入ってからのもの。それよりさらに40年も前のカブと同じ形というのはやっぱりスーパーカブはすごい。文房具のコーナーもなつかしい。「この筆入れ、オレ持ってた」なんて心でつぶやいたりして眺めた。
 次に行ったのが、すぐ隣の「赤塚不二夫記念館」だ。そう、あのバカボンの赤塚不二夫だ。イヤミにチビ太、ニャロメにウナギイヌ。おそ松クン世代の僕にはたまらない。天才バカボンの原画など一通り見学して、ロビー前の売店に着くと、欲しいものだらけだった。最初に買おうと思ったのがバカ田大学のキーホルダーだったが、地方の私立大学勤務の僕にはシャレにならないのだ。一流大学とは言えないものの学生たちの心の温かさは一流なのだ。だからそんなキーホルダーはいらないのだ。これでいいのだ。
 バカボンの缶バッジとニャロメのカード-ケースなどを買ったところで奥さんのことを思い出した。4つ年下の妻もおそ松くん世代だ。ひみつのアッコちゃんのバッジも買い足した。
 さらにネコのキャラクターがいっぱいの「昭和幻灯館」を見学し、青梅駅に戻った。街角には、昭和を連想させる看板やらオブジェなどがありレトロな雰囲気を醸し出していた。その割には、駅舎だけはごくごく普通の建物だった。
 奥多摩で温泉に入ったら、なんとなく歩くのがおっくうになっていた。中央線~八高線~横浜線を乗り継いで新横浜から新幹線で帰ろうと思っていたが、ちょうど東京行きの中央線直通の快速電車があったので、楽な道を選んでしまった。
 東京駅に着いたのが17:40頃。「品川名物貝づくし」弁当を買い、18:03発の新大阪行きのぞみで家路に就いた。
 自然の中を歩く心地よさ、知らない町を歩くおもしろさ。ローカル鉄道ぶらぶら歩きのプチ旅には、大好きなバイクやクルマでは味わえない楽しさがいっぱいある。今度は、妻といっしょに歩こう。候補は、えちぜん鉄道(福井)、近江鉄道(滋賀)、長良川鉄道(岐阜)、樽見鉄道(岐阜)、明智鉄道(岐阜)あたりだろうか。岐阜だらけだ。
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