伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

技術の伝え方

2007-01-24 00:04:11 | 自然科学・工学系
 個人や組織が技術を伝えていくやり方について検討した本。
 ありがちな教育やマニュアルは、教える側の視点で教える側が言いたいことだけを言っているきらいがあって、それでは伝わらない、伝えられる側の視点が大事だというのは、技術に限らず、あらゆる場面で言えそう。まずやらせてみる(体験させる)、最初に全体を見せるというのも、大切なことですね。特定の部分の話を聞いているだけじゃ、知識としては詳しくなっても、やっぱり身に付きませんもの。
 それから、マニュアルが、こうあるべきことだけを書いていて、結局はこううまくいったらいいなということしか書いていないという指摘は納得もの。どうしてそうすることになったか、その裏にどんな失敗があったか、その指示を守らないとどんな危険なことになるのかをきちんと書いておくことが大事なんですね。
 全体の話とは別に、日立の原発でのタービンの設計ミスの原因論で、コンピュータによる設計(CAE)の発展で昔は試作品を作り実物実験をしていたのがコンピュータ上でできてしまうものだからそれを省くようになり、コンピュータの入力データに欠陥があると欠陥品を開発してしまう危険があるのにコンピュータできちんとシミュレーションしているから大丈夫だという気になってしまうのが落とし穴という趣旨の指摘(40~44頁)があるのは、昨今の技術のあり方との関係で重要な指摘だと思いました。


畑村洋太郎 講談社現代新書 2006年12月20日発行
コメント
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