伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

絵とき溶接基礎のきそ

2007-01-19 09:18:11 | 自然科学・工学系
 溶接の理屈と作業の解説書。
 前半は、溶接の基礎と炭酸ガス半自動アーク溶接、ティグアーク溶接、被覆アーク溶接の作業について、わかりやすく書かれています。上手な人の例とへたな人の例が出ていたり、溶接棒や電流の選択、距離の取り方や進める速度でできが違うとか、技術がいることがわかります。
 後半の各種材料の溶接になると、解説が一気にラフに(専門用語の羅列に)なり、金属材料によって溶接の難しさが違うことはわかりますが、なんか難しいのねって印象で終わってしまいます。
 最後も前半の水準で書いてくれるとよかったのですが。


安田克彦 日刊工業新聞社 2006年11月10日発行
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アメリカの終わり

2007-01-19 09:16:09 | 人文・社会科学系
 ネオコンの本流を自認する著者がブッシュ政権の政策、特にイラク戦争を誤りと指摘し、ネオコンが今や「先制攻撃」「体制転換」「一方的外交」「善意による覇権」といった考え方を密接に結びつけられてしまった現在ではネオコンを本来の意味に戻す努力をするよりネオコンをいう名称は捨てて新たな外交政策を打ち出した方がいい(著者は仮に「現実的ウィルソン主義」と呼ぶ)と論じている本です。
 著者の言いたいことは第1章(14~24頁)でおおかた書かれています。忙しい人は第1章だけ読めばいいかも。
 第2章のネオコンの来歴は、ネオコンがニューヨーク市立大学の元左翼学生の右転向グループに端を発するというエピソードに始まり、後はひたすら関係者の名前の羅列で、よほど興味のある人以外には退屈。もっとも、この部分で、ネオコンはスターリニズムへの失望・反感が根底にあるので大胆な社会改造には懐疑的ということが展開されていて、ネオコンは本来外部から他国に民主主義を建設するということには懐疑的ということを裏付けているのですが。
 第3章で、アラブ人のテロリストはアラブの非民主的体制で育ったのではなくヨーロッパの民主社会で疎外されていると感じて聖戦主義に至ったのであり、アラブに民主主義をもたらすことはテロの解決に結びつかない(92~93頁)と論じているのはなかなか示唆的で、考えさせられます。
 第4章以降は、アメリカ特別主義・例外主義を前提とする「善意による覇権」という考えはアメリカの独りよがりで先進諸国からも受け入れられなくなっており、軍事力での解決は最後の手段としてソフトパワーによる解決を目指すべきだったとしています。
 正統性と実効性の両立が困難であることを強調し、国連への不信感が強いことから、各種の国際機関の複合的な利用や民主的な国だけが参加する機関とかいうことを言っていて、今後の政策についてはわかりにくかったりご都合主義的だったりします。そのあたりの色彩を除くと、今後の方向性については、続けて読んだこともあり、「アメリカ外交の大戦略」と同じような感じに思えました。


原題:America at the Crossroads
フランシス・フクヤマ 訳:会田弘継
講談社 2006年11月28日発行 (原書は2006年2月)
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