中長距離選手の挫折をきっかけに児童虐待と家族関係に悩む高校生の人間関係ドラマを描いた4年前の作品「ランナー」の続編。
「ランナー」は、タイトルから普通の読者が持つ期待を裏切って、陸上競技の試合は最初の挫折した競技会だけでそれ以後一度として出てきませんでしたが、この続編は打って変わって、最後の6ページを除いて最初からずっと主人公加納碧李(あおい)の再出発の記録会の一日です。
もっとも、最初の数十ページは登場人物の会話の形で前作のおさらいが続けられ、その後も今回降ってわいたように碧李の強力なライバルとして、全国トップレベルの選手三堂貢が周囲に知られることなく大きな大会でもない記録会に参加するに至った経緯に紙幅を費やし、試合についての描写でも試合の経緯よりも心理描写の方に重きを置いていますし、この作者にしては珍しく試合の経緯についてもフォローし続けてはいますが、クライマックス部分を例によってすっと飛ばしてゴールラインの先に流れています。
前作と異なり、スポーツ(陸上競技)そのものをテーマとした作品になっていますが、前作で展開した人間関係のごちゃごちゃした部分の遺産で持たせているきらいもあり、やはり一筋縄ではいかない人間関係の悩みと心情を読ませる作品だなという感じです。
はっきりとまだ続編が出るぞという書きぶりですが、いつになるでしょうか。
あさのあつこ 幻冬舎 2011年4月10日発行
前作「ランナー」は2007年10月20日の記事で紹介しています
「ランナー」は、タイトルから普通の読者が持つ期待を裏切って、陸上競技の試合は最初の挫折した競技会だけでそれ以後一度として出てきませんでしたが、この続編は打って変わって、最後の6ページを除いて最初からずっと主人公加納碧李(あおい)の再出発の記録会の一日です。
もっとも、最初の数十ページは登場人物の会話の形で前作のおさらいが続けられ、その後も今回降ってわいたように碧李の強力なライバルとして、全国トップレベルの選手三堂貢が周囲に知られることなく大きな大会でもない記録会に参加するに至った経緯に紙幅を費やし、試合についての描写でも試合の経緯よりも心理描写の方に重きを置いていますし、この作者にしては珍しく試合の経緯についてもフォローし続けてはいますが、クライマックス部分を例によってすっと飛ばしてゴールラインの先に流れています。
前作と異なり、スポーツ(陸上競技)そのものをテーマとした作品になっていますが、前作で展開した人間関係のごちゃごちゃした部分の遺産で持たせているきらいもあり、やはり一筋縄ではいかない人間関係の悩みと心情を読ませる作品だなという感じです。
はっきりとまだ続編が出るぞという書きぶりですが、いつになるでしょうか。
あさのあつこ 幻冬舎 2011年4月10日発行
前作「ランナー」は2007年10月20日の記事で紹介しています