伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

どんまいっ!

2012-11-05 22:54:59 | 小説
 煙草のキャメルのパッケージのらくだに似た顔でバイト先で引っかけたヨネちゃんとHしてニコニコのキャメル、彼女が欲しくてたまらず英語の授業の穴埋めで教師にヒントはSから始まるといわれて「セックス」と口走るゲイリー、その友人のマッハの3人組とヨネちゃんこと米川まりあの紹介でトリプルデートした愛と麻衣子、まりあの大学での友人ミューちゃん、マッハの妹ヒカリ、ゲイリーの息子の亮太らの恋愛や仕事に絡む日常生活上のエピソードを綴った短編連作群像小説。
 基本的に、コミカルでハッピーエンドの軽い読み味で、安心して読める作品です。
 小説すばるで2008年6月から2年半かけての連載で、17歳高校3年生の3人組の話からその3人が44歳のおじさんトリオになるまでをつまみ食い的に書き綴り、それにおじさんトリオ46歳の書き下ろしを加えて単行本にしています。ミューちゃんやヒカリで1話作ってるのは、たぶんネタに困ってでしょうに、それでも2年半もよく気力が続くものだと感心します。
 登場するキャラの多くが紆余曲折というか回り道人生を歩む中で、ゲイリー・麻衣子組だけがまっすぐに進むのが目につくというか、救われるというか。高校生にして「ゲイリー」と聞いて「ゲイリー・クーパー」にちなんでかと聞き、「誰が為に鐘は鳴る」「モロッコ」と口走り、DVDで「ローマの休日」を見る麻衣子の設定はあまりにも古過ぎ・渋過ぎで、作者が自己投影して、それで失敗させたくなかったのかもというのはうがち過ぎ?


椰月美智子 幻冬舎文庫 2012年4月15日発行
コメント
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