超小型無線機・CCDカメラ・GPSの仕込まれたメガネを装着した尾行チームを司令所から指揮して対象者を尾行するシステムで巨大化した探偵事務所に吸収されて働く昔気質の探偵村川昇平35歳独身が、5年前にまったく前兆なく飛び込み自殺した恋人湯浅茜の記憶に苦しみながら、その死の真相を追い求めるミステリー小説。
最新鋭のテクノロジーを駆使する巨大組織に対して旧来のアナログ的な技術と勘で闘いを挑む個人を描くことで、テクノロジーや巨大組織に頼りがちな現代の風潮に疑問を呈しあざ笑うというか、そういったものにどうもなじめない読者に爽快感を与える読み物となっています。
ミステリーとしてはテクノロジー部分や最終場面で一探偵にそこまでの力があるのかというあたり、ストンと落ちないものもありますが、布石は細かい部分まで周到に回収され、2転3転する展開も巧みで、最後まで楽しく読めました。ただ、ラストはもう少し何かひねって欲しい感じがしました。
私と同い年の遅咲きの新人のようですが、この先にも期待したいと思います。
両角長彦 光文社 2012年6月20日発行
最新鋭のテクノロジーを駆使する巨大組織に対して旧来のアナログ的な技術と勘で闘いを挑む個人を描くことで、テクノロジーや巨大組織に頼りがちな現代の風潮に疑問を呈しあざ笑うというか、そういったものにどうもなじめない読者に爽快感を与える読み物となっています。
ミステリーとしてはテクノロジー部分や最終場面で一探偵にそこまでの力があるのかというあたり、ストンと落ちないものもありますが、布石は細かい部分まで周到に回収され、2転3転する展開も巧みで、最後まで楽しく読めました。ただ、ラストはもう少し何かひねって欲しい感じがしました。
私と同い年の遅咲きの新人のようですが、この先にも期待したいと思います。
両角長彦 光文社 2012年6月20日発行