生物の世界での「弱者」の生存戦略について解説した本。
弱肉強食と言われる生物の世界で、食われる側の「弱者」は多数生存し、食物連鎖のピラミッドの頂点に立つ「強者」は多数の食物があって初めて少数だけ生存でき、絶滅危惧種とされるのはむしろ「強者」の生物だということが最初に紹介されています。そういうある種当然なのだけど指摘されてみてなるほどと思うようなエピソードを集めた本です。
農薬を撒くと、ほとんどの害虫が死ぬが1万分の1から10万分の1くらいの割合で農薬に耐性のある突然変異の個体がいて害虫は数が多いのでその農薬に耐性にある個体が生き残る可能性が高くその数少ない個体が子孫を増やして農薬に抵抗性のある個体が増えていくが、他方害虫の天敵(クモなど)は個体数が少ないので農薬で死滅する可能性が高いから農薬を撒くと害虫が増えるという現象が生じうる(51~53ページ)。外来種が固有種を駆逐するように言われているが、例えば西洋タンポポは日本タンポポが生えるような郊外の自然の多いところでは日本タンポポに勝てず、土木工事によって自然が破壊されたところに生えているのであり、日本タンポポの生存場所を奪い西洋タンポポを繁栄させているのは人間である(56~58ページ、98~99ページ)。雑草も他の植物が生える場所では競争で負けてしまい、人間が草むしりをするような他の植物には過酷で生存できない環境でのみ繁茂できる(19~21ページ)。環境変化が激しいところでは、新たな環境ぬ順応する個体をつくるために世代交代を速めた方が有利であるから、生物は短い命に進化する(114~115ページ)。こういった指摘に、ふ~んと思いながら、ちょっとお勉強というか新たな角度からの見方を得られるというところに価値がある一冊です。
稲垣栄洋 新潮選書 2014年6月25日発行
弱肉強食と言われる生物の世界で、食われる側の「弱者」は多数生存し、食物連鎖のピラミッドの頂点に立つ「強者」は多数の食物があって初めて少数だけ生存でき、絶滅危惧種とされるのはむしろ「強者」の生物だということが最初に紹介されています。そういうある種当然なのだけど指摘されてみてなるほどと思うようなエピソードを集めた本です。
農薬を撒くと、ほとんどの害虫が死ぬが1万分の1から10万分の1くらいの割合で農薬に耐性のある突然変異の個体がいて害虫は数が多いのでその農薬に耐性にある個体が生き残る可能性が高くその数少ない個体が子孫を増やして農薬に抵抗性のある個体が増えていくが、他方害虫の天敵(クモなど)は個体数が少ないので農薬で死滅する可能性が高いから農薬を撒くと害虫が増えるという現象が生じうる(51~53ページ)。外来種が固有種を駆逐するように言われているが、例えば西洋タンポポは日本タンポポが生えるような郊外の自然の多いところでは日本タンポポに勝てず、土木工事によって自然が破壊されたところに生えているのであり、日本タンポポの生存場所を奪い西洋タンポポを繁栄させているのは人間である(56~58ページ、98~99ページ)。雑草も他の植物が生える場所では競争で負けてしまい、人間が草むしりをするような他の植物には過酷で生存できない環境でのみ繁茂できる(19~21ページ)。環境変化が激しいところでは、新たな環境ぬ順応する個体をつくるために世代交代を速めた方が有利であるから、生物は短い命に進化する(114~115ページ)。こういった指摘に、ふ~んと思いながら、ちょっとお勉強というか新たな角度からの見方を得られるというところに価値がある一冊です。
稲垣栄洋 新潮選書 2014年6月25日発行