伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

YouTubeで食べていく 「動画投稿」という生き方

2014-09-09 20:51:18 | 実用書・ビジネス書
 YouTubeにデジタルグッズを紹介する動画を投稿し続けているビデオブロガーの著者が、YouTubeに動画をアップして人気者になったりお金を稼いでいるユーチューバ-として成功している人たちを紹介しつつ、YouTubeで成功し、YouTubeで生計を立てる可能性について論じた本。
 YouTubeでの収入はYouTubeパートナープログラムに参加して投稿した動画に広告を設定し、動画中の広告(インストリーム広告)なら最後まで再生されるか30秒以上再生されて報酬が発生するというしくみだそうです(16~21ページ)。「グーグルは1再生あたりの報酬額は公開していません。またユーチューバ-も報酬額を公開してはいけない規約になっています。」ということですが、「だいたいの見当としては、1再生あたり0.1~0.3円というところ」だそうです(20ページ)。制作にどの程度の労力をかけるかということも絡みますが、これで食べていくというのは、かなり苦しそうです。SNSで話題になって動画が多数回再生されても、広告までつきあって見続けてくれることは少ないと思いますし。
 最初から最後まで再生される動画は全体で90秒、それも最初の10秒につかみを入れる、90秒を超える時は90秒までに起承転結の「転」を入れる(32~35ページ)、動画をクリックさせるためにはタイトルとサムネイルが重要(43~45ページ)など、ネット上の動画サイトならではのコツも紹介されています。
 ユーチューバ-の多くはネタ探し・撮影・編集で忙しく時間のゆとりがないので、ビジネスにする事務的なところに手が回らず、広告タイアップなどの仕事を受けることになってもビジネス感覚や相場感に欠けるためとんでもない悪条件で請け負ってしまうことも多く結果としてユーチューバーが搾取されてしまうことにもつながる(196ページ)という指摘もあり、現実にYouTubeで食べていくことは厳しいと思います。著者は、YouTubeは初期投資ゼロでもお小遣い程度であってもお金を稼ぐことができるとして、YouTubeの役割は「稼げる」「儲かる」ことではなくむしろ社会におけるセーフティネットに近いものではないかと感じているとしています(210ページ)。しかし、それなりに注目され再生される動画を制作し続ける労力を考えると、セーフティネットとしてもかなり厳しいんじゃないかなと思いました。


愛場大介 光文社新書 2014年8月20日発行
 
コメント
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