伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

財務捜査官が見た不正の現場

2014-09-08 23:45:31 | 実用書・ビジネス書
 銀行で6年間勤務した後1998年から10年間大阪府警で財務捜査官として大型経済事件の捜査に携わった著者が、その経験と「反社会的勢力」との絶縁及びその対策について述べた本。
 銀行と反社会的勢力の関係を内偵捜査した時に、銀行側は反社会的勢力であるとの認識を否定した上で捜査対象口座についての照会にも回答しないという対応を取り、それについて銀行側が「Kや関係する反社会的勢力からの報復が怖い」と言ったということが紹介されていたり(74ページ)、銀行員時代の著者が藁にもすがる思いで融資を求めている企業に対して稟議が通っているのに審査の状況や融資の可否を資金必要日寸前まで知らせず直前になって「申し出資金の2000万円ではなく4000万円で稟議を通しました。ついてはこちらの頼みも聞いてください。デリバティブを500万円ほど契約してもらいたい」などと言って相手の弱みにつけ込んで要望もしていないデリバティブを売りつけるなどのグレーな営業をしていたエピソードが書かれている(138~140ページ)など銀行の内情関係の記述が読みどころに思えました。
 後半の反社会的勢力対策関係は、著者が財務捜査官退任後反社会敵勢力対策の助言や講演等を業務としていることから、広告的な色彩が感じられ、やや辟易しました。


小林弘樹 NHK出版新書 2014年2月10日発行
コメント
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