労働事件の著名判例を1判決1ページで紹介していく本。
労働法を学ぶ/研究する人々、労働事件を取り扱う法律実務家には、日頃から労働判例を頭に入れておき、時々一気にレビューすることは、仕事がら有益です。しかし、通読するのは、性質上なかなかしんどく、といって仕事上の必要が生じたときに調べるという使い方には1判決1ページ程度の解説では物足りません。そういう意味では中途半端な出版物です。「最新重要判例」と銘打ちながら、掲載判例は201件中「昭和」が67件(33%)、1900年代が124件(62%)というのも、どこが「最新」だと言いたくなりますし(確かに新しい判決も入ってはいるのですが)。
私にとっては、私とは立場を大きく異にする(例えば、国労バッジをつけたまま職務に就いた労働者を通常業務から外して火山灰の除去作業をやらせたという、私には組合嫌いの職制が嫌がらせでやらせたとしか思えないものを「職務管理上やむをえない措置」で適法な業務命令とする国鉄鹿児島自動車営業所事件最高裁判決を嬉々として1番目に持ってくるセンスとか)著者による判例の解説を読むことは、あぁこういう読み方をする人もいるというか、使用者側(反労働者側)はこういう理屈をつけようとするんだということの勉強になります(不当労働行為などでは、労働者側に寄ったと見える解説をしているものもありますが)。そういう意味で、判例の復習という面の他にも、私にとっては刺激になる読み物でした。
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大内伸哉 弘文堂 2016年4月15日発行
労働法を学ぶ/研究する人々、労働事件を取り扱う法律実務家には、日頃から労働判例を頭に入れておき、時々一気にレビューすることは、仕事がら有益です。しかし、通読するのは、性質上なかなかしんどく、といって仕事上の必要が生じたときに調べるという使い方には1判決1ページ程度の解説では物足りません。そういう意味では中途半端な出版物です。「最新重要判例」と銘打ちながら、掲載判例は201件中「昭和」が67件(33%)、1900年代が124件(62%)というのも、どこが「最新」だと言いたくなりますし(確かに新しい判決も入ってはいるのですが)。
私にとっては、私とは立場を大きく異にする(例えば、国労バッジをつけたまま職務に就いた労働者を通常業務から外して火山灰の除去作業をやらせたという、私には組合嫌いの職制が嫌がらせでやらせたとしか思えないものを「職務管理上やむをえない措置」で適法な業務命令とする国鉄鹿児島自動車営業所事件最高裁判決を嬉々として1番目に持ってくるセンスとか)著者による判例の解説を読むことは、あぁこういう読み方をする人もいるというか、使用者側(反労働者側)はこういう理屈をつけようとするんだということの勉強になります(不当労働行為などでは、労働者側に寄ったと見える解説をしているものもありますが)。そういう意味で、判例の復習という面の他にも、私にとっては刺激になる読み物でした。
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大内伸哉 弘文堂 2016年4月15日発行