伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

オカザキ・ジャーナル

2016-06-08 01:34:56 | エッセイ
 1991年~1992年「朝日ジャーナル」に連載され、「朝日ジャーナル」を看取った「週刊オカザキ・ジャーナル」と、1992年~1993年「広告批評」に連載された「植島啓司と岡崎京子のFAX通信 コトバのカタログ」を二十余年を経て単行本化した本。 
 1980年代後半から1990年代前半に一世を風靡し、1996年に交通事故で重傷を負い表舞台から姿を消した漫画家岡崎京子のエッセイ。ちょっとアヴァンギャルドでちょっとエッチっぽい時代のアイコンとして、私が社会人になりたての頃に秘めた憧れめいたときめきを覚えた著者への懐かしさで、手にしました。「週刊オカザキ・ジャーナル」の方は、朝日ジャーナル連載中たぶん読んでいたと思うのですが、忘却の彼方。今読むと、イメージと違って、意識的にノンポリを押し出してケーハクを演じているようで、思ったよりは入れない。「コトバのカタログ」の方は、字数が倍くらいあるのと書簡(FAX?)形式がうまくはまって、今読んでも、かつて抱いた岡崎京子のイメージに浸れました。私には、こちらの方が自然体で書いている印象です。
 最後に付いている「解説」が蛇足で興ざめ。筆者から岡崎京子が現役漫画家していた時を共有した同時代的な愛/憧憬/畏敬/共感がまるで感じられない。おそらくはこの本を手にする読者の多くはあの頃の岡崎京子とあの時代の記憶とノスタルジーを持っているはずですから、それを共有できないよそ者に偉そうな解説などされたくないと思います。こういう解説をつけた/解説者を選択した編集者のセンスに驚き呆れます。


岡崎京子 平凡社 2015年1月30日発行
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