伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

みつばの泉ちゃん

2023-08-01 21:50:18 | 小説
 片岡泉が、両親の不仲のためにあきる野市の祖母柴原富に引き取られていた小学3年生のときを近所のコンビニの娘明石弓乃の目から、船橋の両親の元に戻った中学1年生のときを「創作文クラブ」で一緒だった米山綾瀬の目から、高校2年生のときを中央林間に住む従弟の中学生柴原修太の目から、津田沼のアパレルショップでアルバイトしている25歳のときを店長の杉野大成の目から、その前の時期にショップに来た客と交際していた23歳までを元彼の井田歌男の目から、その後30歳、31歳、32歳のときを自分で語るという短編連作ふうの小説。
 特別な人ではないけれど、ちょっと気のいい、まわりの人の心に残る人を語るというのは、どこか「横道世之介」ふうのテイストではありますが、主人公が死んでまわりの人が思い出を語るのではなく、最後に自分が出てきて語るというところで終盤のイメージが変わります。
 短編連作ふうなので、雑誌連載かと思ったら「書き下ろしです」って。それなら前のエピソードを繰り返し説明しなくてもいいのにと思いますし、最後に本人の語り3連投は何?という気がします。
 タイトルの「みつばの」は、主人公が高校を出た後に住むのが作者の作品に頻出する架空の都市「蜜葉市」というところから。そこも、主人公はあきる野市や船橋市にも住んでいたりするので、そこだけなんで架空の都市?という疑問も生じます。


小野寺文宣 ポプラ社 2023年5月15日発行
コメント
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