大手広告代理店H社でチーフディレクターを務め窓から東京タワーが見える都心のマンションに1人住まいの今井美世子もうすぐ37歳がマッチングアプリで知り合った年下の中華系マレーシア人劉貴福に誘われ、群馬県の県内一の進学校に入学したが勉強についていけない二宮礼央が電車の中で絡まれて再会した小学時代の同級生の半グレ男田辺聖也とその仲間たちに誘われ、父親から受け継いだラブホテル3軒を経営しラブホテルがコロナ禍の持続化給付金の対象外とされたことにキレて役所に怒鳴り込み愚痴を言い続ける戸村茂一が飲み屋のママ恵39歳に誘われ、それぞれに転落していく様子を描いた小説。
コロナ禍の下での人々の焦燥感や振る舞い、対策等を茶化す思いがベースにあるように感じられます。それを書くならコロナ禍の最中に書けばいいのに、今頃になって、安全な場所から今なら読者も反発はするまいと踏んで書くのには、私はなんだかイヤな感じを持ちました。
ラストも、3者を並行して話を続けた以上は3者ともオチをつけるのがふつうだし読者もそれを期待すると思うのですが、こじらせるだけこじらせてオチをつけられなくなって放り出したような印象です。
染井為人 講談社 2023年5月8日発行
コロナ禍の下での人々の焦燥感や振る舞い、対策等を茶化す思いがベースにあるように感じられます。それを書くならコロナ禍の最中に書けばいいのに、今頃になって、安全な場所から今なら読者も反発はするまいと踏んで書くのには、私はなんだかイヤな感じを持ちました。
ラストも、3者を並行して話を続けた以上は3者ともオチをつけるのがふつうだし読者もそれを期待すると思うのですが、こじらせるだけこじらせてオチをつけられなくなって放り出したような印象です。
染井為人 講談社 2023年5月8日発行