担当編集者との間でW不倫を繰り広げ大げんかの末に別れたばかりの女性作家が、数十年前に大作家が自らの不倫が妻に発覚して妻と愛人の板挟みとなる様子を書いた私小説の名作「無垢人」の匿名の愛人の謎を取材して小説化するというストーリーで作家の創作と恋愛、小説における事実と虚像などを論じる小説。
作家と編集者のW不倫の顛末、「無垢人」の関係者への取材、架空の小説「無垢人」の内容(展開)という3つが順次進行していきますが、どの話も作家が主体だったり議論のテーマだったりで、全体としては作家とは、小説を生み出す苦しみはというような内輪話めいた感じがします。作家が他の作家の創作の過程を検討し追求していくというのは、弁護士が他の弁護士の弁護過誤を調査することと似て・・・と考えると重苦しいですね。
そういうことに興味は持てますが、同時にそれをまた小説のネタにしてしまうのは、ネタ詰まりなのかなぁと感じてしまいます。

桐野夏生 集英社 2009年5月30日発行
「小説すばる」2006年11月号~2008年5月号連載
作家と編集者のW不倫の顛末、「無垢人」の関係者への取材、架空の小説「無垢人」の内容(展開)という3つが順次進行していきますが、どの話も作家が主体だったり議論のテーマだったりで、全体としては作家とは、小説を生み出す苦しみはというような内輪話めいた感じがします。作家が他の作家の創作の過程を検討し追求していくというのは、弁護士が他の弁護士の弁護過誤を調査することと似て・・・と考えると重苦しいですね。
そういうことに興味は持てますが、同時にそれをまた小説のネタにしてしまうのは、ネタ詰まりなのかなぁと感じてしまいます。

桐野夏生 集英社 2009年5月30日発行
「小説すばる」2006年11月号~2008年5月号連載