ゴッホの絵画の色彩と絵肌、内面の表現の時期を追っての変化を解説した本。
経済的に豊かでないゴッホが絵の具やモデルに不自由しながら絵画の技法と制作を模索し、後には病気の発作に悩まされながら制作を続ける様子は、画家の生き様としても胸を打ちます。
デッサンから入ったゴッホの素描の確かさは、後年の作品で持つゴッホへの見方を少し変えてくれます。油彩画にしても、初期の作品は渋く地味に見えるのに色使いが巧みな感じがします。今回初めて見た「嵐のスヘーフェニンゲン海岸」(13ページ)とか、全然ゴッホに見えないけど、いい。
この本では、ゴッホの絵の色彩について、4色で灰色をつくり、その灰色を12色環上の色(原色)に加えることで濁りのない中間色を作っている、使用する顔料の数の少なさが透明感につながっていると分析しています(96ページ)。素人としては、ふーんとしか言えませんが、渋いけどどこか明るさを感じさせる色彩感はそういうことなんでしょうねと納得します。
手紙の引用が多く、手紙に番号がつけられているのだけれどその番号の説明はまったくありません。ゴッホ研究者の間では決まりごとなのかもしれませんが、素人向けにはどこかでこの番号が何を意味するというような説明があってしかるべきだと思います。
小林英樹 中央公論新社 2010年8月10日発行
経済的に豊かでないゴッホが絵の具やモデルに不自由しながら絵画の技法と制作を模索し、後には病気の発作に悩まされながら制作を続ける様子は、画家の生き様としても胸を打ちます。
デッサンから入ったゴッホの素描の確かさは、後年の作品で持つゴッホへの見方を少し変えてくれます。油彩画にしても、初期の作品は渋く地味に見えるのに色使いが巧みな感じがします。今回初めて見た「嵐のスヘーフェニンゲン海岸」(13ページ)とか、全然ゴッホに見えないけど、いい。
この本では、ゴッホの絵の色彩について、4色で灰色をつくり、その灰色を12色環上の色(原色)に加えることで濁りのない中間色を作っている、使用する顔料の数の少なさが透明感につながっていると分析しています(96ページ)。素人としては、ふーんとしか言えませんが、渋いけどどこか明るさを感じさせる色彩感はそういうことなんでしょうねと納得します。
手紙の引用が多く、手紙に番号がつけられているのだけれどその番号の説明はまったくありません。ゴッホ研究者の間では決まりごとなのかもしれませんが、素人向けにはどこかでこの番号が何を意味するというような説明があってしかるべきだと思います。
小林英樹 中央公論新社 2010年8月10日発行