Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

東京国立博物館「誕生!中国文明」と記念講演会

2010年07月10日 16時42分30秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 本日は東京国立博物館「誕生!中国文明」に再訪し、あわせて記念講演会「文字の発生と歩み」(書家・新井光風氏)を聴く。
 甲骨文・金文を初めてじかに見た。河南省中部の、二里頭遺跡(夏)と西周以降の遺物が中心。河南省最北部を拠点とした殷王朝(商)の遺物は少なかったが、勉強になった。カタログ2300円。
 饕餮(とうてつ)文が主流の戦国時代までの青銅器の文様と、秦・漢以降では文様の面で大きな断絶を感じるのは私だけであろうか。それだけ秦の偉業は大きいものだったのだろうか。
 一部青銅器では金文のある内面を見せてくれないのは残念な展示であった。
 講演会は、甲骨文以前の前4000年の文字らしき刻文や符合の紹介、甲骨文字に四足動物は足を左・頭を上にした象形が基本(牛・羊の正面や亀の真上などの例外はあり)との言及、初めて聞く西周初頭の甲骨文字の紹介、楷書→行書→草書ではなく発生順は草書→行書→楷書であること、甲骨・金文・隷書までは縦長の発想で隷書から横長の指向との指摘、バランス・筆致の勢いなど書家らしい視点での講演、この講演も勉強になった。
 白川静もまた、今回の講師も指摘しているが、神聖文字(神意をうかがう)としての甲骨文字は完成された文字である。形の上でも字数でも。ことに毛筆の筆記などの写真を見るとその説は十分にうなづける。また十分に使い慣れた形態とも思う。ということはそれ以前に文字は十分に前段の発達した形態があったはずである。説文解字という呪縛からの研究上の意識の解放のためにもその発見・解明はどうしても必要なことと思われる。

 来週3連休に行われる連続講座もあたった。楽しみである。