Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

香月泰男のシベリア・シリーズ(3)

2010年07月16日 20時42分13秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 朝陽(1965)

 作者は「素足で走らされる朝の耐寒訓練は、初冬の日課であった。芦浦の感覚もなくなる頃、東天の闇をついて陽が昇る。それは疲労、暑さを忘れさせる程の厳粛な美しさだった。」

香月泰男のシベリア・シリーズの2割は、終戦日以前の軍隊体験を告発するものを占めている。私は香月泰男のシベリア・シリーズの重みは個々にあると確信する。時代の犠牲者、スターリニズムの被害者として(それはその通りであり、これは紛れもない事実だ)だけではなく、国家犯罪としての「戦争」そのものを告発する普遍的な重みをこのシリーズが持つ所以である。
 戦後生まれの私どもがこの絵から学ばなければならないものの重みがここにある。