Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

「この道」(古井由吉) その5

2022年04月21日 23時07分11秒 | 読書

   

 古井由吉の「この道」から「この道」と「花の咲く頃には」を読み終えた。残りは途中まで読んだ「雨の果てから」と「行方知れず」の2編。

「木の芽のふくらみであったか、あるいは小枝にすがる雨の滴であったか、とにかくそのひと粒ごとに、追憶がやどる、というような言葉に、誰の詩の内であったか、出会ったことがある。若い頃のことだったので、ひとしきり引き込まれたが、そこからぬけ出してくると、追憶というようなことは、自分には縁のあるものだろうかと疑った。苦くて甘いものではあるらしいが、恐怖や屈辱の記憶も都市を経ればそんな味をふくむものだろうかと思った。そう首をかしげたきり、年を取ってきた気もする。そして老年に入り、記憶も取りとめもないようになった頃に、ある日、追憶とは危機ではないかとつぶやいて、何を言っているのだかと自分で眉をひそめた。」(花の咲くころには)

 この追憶というものの把握が私には不思議な印象である。私にとって追憶というのが、屈辱の過去が不意に頭の中に湧き上がってくる瞬間、くすぶり続け消えかった熾火のようなものである。苦くも甘くもない。恐怖でもない。ただしそれが湧き上がる瞬間というのは、生きるバランスを失している危機のときと言えるかもしれない。
 過去は今の危機を反映している。フラッシュバックのように過去の危機を映し出して、今の危機を知らせる本能だと思えた。
 そんな会話・反芻をさせてくれる小説だと思った。
 


強風・雷・大雨注意報

2022年04月21日 20時53分14秒 | 天気と自然災害

 16時半近くになって、横浜には強風・雷注意報が出た。
 20時現在、横浜市域は最大5ミリの雨の区域にすっぽりと覆われている。
 21時半過ぎには大雨注意報も加わっている。

 本日はこれより昼間の読書の続き。

 明日は15時から23日の総会の議案書の印刷・製本作業を組合の会館で行うこととなっている。
 明日は朝から日が射すような予報でほっとした。


3冊の本を抱えて

2022年04月21日 18時10分20秒 | 読書

 整形外科のリハビリの帰りに、バスで神奈川大学のキャンパスへ。生協で岩波書店の「世界5月号」を購入した。同時におにぎりとお茶も買い、キャンパス内に設置された野外のテーブルで昼食。
 若い大学生に混じって白髪で丸刈りのおじいさん一人というのは目立ったかもしれない。しかし安いという誘惑には年金生活の私は勝てるわけがない。490円という生協の弁当には長蛇の列で、そこに並ぶ元気はなかった。

 そののちバスで横浜駅まで出て、コーヒータイムと読書タイム。次回は学食でコーヒータイムという選択をしてみるのもいいかもしれない。そのためにはもう少し遅い時間にキャンパスに行かないと混雑が解消しない。私の学生のころとは違って、昼食休憩が終わると皆授業に出て、生協の食堂も、学食もあっという間にガラガラになる。急に静かになり大学側の営業と思われる本部棟の食堂は、明るくて展望もよく、読書タイムにはうってつけである。

 本日は横浜駅近くのいつもの喫茶店で、古井由吉の「この道」と「人類の起源」(篠田謙一、中公新書)を交互に読んだ。昨日の根を詰めた作業の影響が残っているのか、目がしょぼついたので、1時間くらいで読書は断念。