眠気に負けずに、とりあえず6編を読み終わった。
・[表紙]ジェーン・シーモア 杉本博司
「ジェーン・シーモアの死後、失意に暮れる王(ヘンリー八世)の次の妻として宰相トマス・クロムウェルは政略結婚を画することになる。王の床は性から政へと流れ行くのだ。」
・残されたノートに寄せて 井波陵一
・「ひまわり」を観よう 原田宗典
・〈対談〉戦争文学で反戦を伝えるには 逢坂冬馬・奈倉有理
「(逢坂)ウクライナ侵攻が始まってから、ものすごく一面的な見方をされることもあって――「戦うのか、死ぬのか」という二択のなかで敵を殺すために少女たちが立ち上がる冒頭だけを抜き出して、それを現在のウクライナに重ね、祖国を守るウクライナの人々を賛美するという途方もない誤読がありました。
(奈倉)戦友や我が子の死が無駄であってはいけないという思いが、苛立ちや悲しみや怒りに結びついてしまう。戦争の暴力性は他者の言葉を理解する能力を致命的に鈍らせてしまうのではないか‥。‥なぜいまロシアが戦争をしているかといえば、とにかく「戦争は悪い」という声を徹底的に潰してきたからです。学校教育でも「独ソ戦の勝利」を華々しく祝うことばかりが重視され、戦争の悲惨さや‥ほとんど学ばれていません。「自分たちは基本的に被害者であり他国を侵攻するなどするわけがない善良な国である」という教育をおこない、反戦運動を馬鹿にするような世論を育てることは、戦争をしようとする国家が必ずと言っていいほど通る道です。ですから「平和が大事」と言える世の中は決して当たり前ではなく、揶揄する人を警戒し、細心の注意を払って守るべきものです。
「(逢坂)「偉大な勝利」に幻惑され「戦争は良くない」という理念が共有されない問題は米国にもあり、日露戦争後の日本もそうでした。「戦争はよくない」という理念を共有できる空間は希少で、守るべきものです。」
・森鴎外の転換点 澤田瞳子
・小澤征爾の世界と「ふれる」 大西 穣