「ゴッホとゴーギャン 近代絵画の軌跡」(木村泰司、ちくま新書)を読み終わった。伝記的な記述も多い後期印象派の人物を中心とした解説書ともいうべき内容であった。
伝記的な記述については、かなりの部分は私にとっては既知であったが、エピソードとして知っていてもつながっていない部分をつなげてくれたという点ではありがたい記述が多かった。
また後期印象派、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンの位置づけについてもあらためて整理できた。
「後期印象派が探求した造形性は20世紀初頭の画家たちへと継承され、フォーヴィスムやキュビスムとして発展しただけでなく、より純粋に造形性を重視する近代絵画もしくはモダニズム(近代主義)の時代へと美術の流れを導いた。物語性(主題性)が最重要視されてきた西洋絵画の方向性が、後期印象派の造形上の探求によって大きく変換し、個人の画家たちの独自の造形性の探求が重視される20世紀美術が展開されるようになった‥。」(終章「近代絵画の時代へ)
「象徴主義や表現主義といった「主義(イズム)が国境や国籍を超えた運動となって展開していった‥。「芸術家」としての個人的な主義主張として20世紀美術を発展させていく‥。」(終章「近代絵画の時代へ)