Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

読了「図書6月号」

2022年06月02日 23時26分51秒 | 読書

 後半の6編を読んだ。一応読了の扱い。

・モハマッド・ハッタの夢       弘末雅士
「当事国にすれば、人類の普遍的原理に基づき苦労して形成した国民国家を揺さぶる存在に、しかるべく対処し、関係者を指導したということになろう。今日のロシアのウクライナ侵攻の理念も同様である。自国中心的な発想であるが、こうした衝突を避けるのは容易ではない。まず関係諸国の多角的な協議が必要となろう。それとともに、国民的同一性に固執しない、領域や住民に複数の帰属を容認する国家枠組や国際秩序が、そろそろ議論されてもいいのではないだろうか。」

・人と物について           桐谷美香

・その世               谷川俊太郎
「〈詩は音楽に恋する〉というのが私が折に触れて口にする決まり文句の一つです。」

 その世
この世とあの世のあわいに
その世はある
騒々しいこの世と違って
その世は静かだが

あの世の沈黙に
与していない
風音や波音
雨音や密かな睦言

そして音楽が
この星の大気に恵まれて
耳を受胎し
その世を統べている

とどまることができない
その世の束の間に
人はこの世を忘れ
知らないあの世を懐かしむ

この世の記憶が
木霊のようにかすかに残るそこで
ヒトは見ない触らない ただ
聴くだけ

・ずっと死を読むのが好きだった    金原瑞人

・輪郭線               岡村幸宣
「「記憶の風化」といわれる2020年代に、決して風化されない歴史の矛盾を引き受けて生きる痛み。不均衡な社会に守られている側の自分が、本当の意味でその痛みを理解し共感することはできないし、したつもりになってしまう危険を忘れてはいけない。」

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。