ベトナム旅行に行ったことがある。
私たち夫婦以外にツァーの申込者がなく、添乗員のつかないツァーだったため、夫婦二人旅だった。
ホーチミン市(旧サイゴン)のホテルに泊まり、ガイド、運転手、我々夫婦の4人で、宮殿跡、クチのベトナム戦争跡地、メコン川などを観光した。
クチは、狭いトンネルが無数に掘られ、手製の幼稚な武器があり、ベトナム戦争の実態が少し理解できた。
メコン川の河口は黄土色をしており、対岸が見えないほど広く、大陸的な風景だった。
中州に渡り、そこの観光果樹園で果物を食べた。
トロピカルな味のする果物ばかりだった。
小学生くらいの女の子が歌を歌い、チップをあげた。
幼い子といえど、観光客相手に稼いでいるのだろう。
サイゴンの市場に行ったが、中に入ったとたん、すえたような臭いに思わずウェッとなった。
肉、魚、野菜、果物、加工食品など実にたくさんの食材があり、それらのにおいが混じりあい、腐ったように臭いが立ち込めているのであった。
ここに来る日本人は、気持ち悪くなる人が多いそうで、いかに日本が臭いの少ない国であるか再認識した。
ベトナム料理を食べたが、付け合せの野菜にコリアンダー、バジル、タデなどの香草類をたっぷりと使っており、それが、舌を刺激する強烈な味と香りを放っているのだった。
料理そのものの味より、これらの味と香りがいつまでも舌に残った。
日本に、ベトナム料理、タイ料理など、外国料理の店があるが、ほとんどは日本人向けに食べやすくしたものだろう。
本当の外国料理を理解するには、その国へ行き、市場を回り、人々が普通に食べているものを食するしかないだろう。
メコン川の中州で、南国の果物を食べる。