ヨーロッパ5カ国(イタリア、ドイツ、スイス、フランス、イギリス)を巡るツァーに参加したことがある。
昼食と夕食は、だいたいその国のお国料理であり、肉料理がメインだった。
食べる前、添乗員が料理の名前と素材の説明をしてくれた。
パリではエスカルゴを食べた。
オリーブオイルがからめてあり、日本で食べる貝のようで、くせもなく食べやすかった。
スイスではチーズフォンデュを食べた。
細かく切ったチーズを白ワインと共に鍋に入れて溶かし、これをパン、揚げた肉などにからめて食べる。
アルプス地方の家庭料理である。
フリータイムに、バザールで食べ物、果物、酒などを買い、妻とホテルで食べたこともあるが、ツァーのお仕着せの食事よりそのほうが楽しかった。
ナポリではサンタルチアなどのナポリ民謡を、パリではシャンソンを聴きながら食事したこともある。
向こうはチップ文化の国なので、歌い終わったらチップをあげるのである。
チップは、ホテル、レストラン、トイレ(観光地で管理人のいるトイレ)などで渡すのだが、常に小銭を用意しなければならないのと、どのタイミングでいくら渡せばいいか気を使い、わずらわしいことこの上ない。
このときほど、チップの習慣のない日本をありがたいと思ったことはない。
また、向こうでは食事でお冷は出ないので、お冷、お茶などがいくらでも無料で飲める日本は幸せだと思った。
旅も後半になると、現地の食事にだんだん飽きてきて、日本食が恋しくなった。
スイスの土産物屋で、おにぎりを売っていたので買って食べた。
すごく高かったが、今まで食べたどのおにぎりよりおいしく感じられた。
実は、こんなこともあろうかと、パック入りおかゆ、梅干などの日本食を持参していた。
同行の70代の男性が、食欲がなく、どうしても現地の食事が食べられないというので、それを全部差し上げた。
翌朝、「おかげで元気になりました」とお礼を言われた。
ヨーロッパの名物料理も、おにぎり、おかゆ、梅干にはかなわないのであった。
ナポリ市街地とベスビオ火山をバックに。
ポンペイ遺跡のレストランで、ナポリ民謡を聴きながら食事をした。