鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

天国

2014-05-30 | エッセイ

天国とはどんなところなのだろう。

昔からの教えや絵によると、気候は寒くもなく暑くもなく一年中温暖で、労働を強いられることもなく、食べ物にあふれ、きれいな花が咲き乱れて、妙なる音楽が流れている。

そんなイメージだろうか。

キリスト教でも仏教でも、よい行いをしたものは天国(仏教では浄土)に行けると説く。

昔から人間は過酷な労働に明け暮れ、飢饉のときは飢え、暑さ寒さに耐えてきたから、このような世界が理想とされたのであろう。

 

ところで、こう書いてきて、この世にも似た環境があることに気が付いた。

老人ホームである。

老人ホームは、労働することもなく、三度の食事が与えられる。

冬は暖房、夏は冷房がきいていて、一年中温暖である。

花壇に花が咲き、テレビやラジオで音楽が流れることもあるだろう。

 

このように、天国と老人ホームは似ている。

違うのは、老人ホームの人はいずれ亡くなるが、天国の住民は死なないことである(何せ、もう死んでいるわけだから)。

天国は、何の刺激もなく、恐ろしく退屈なところだと思われるが、どんなに退屈してもそれがずっと続くのだ。

そういう意味では、老人ホームより苦痛かもしれない。

 

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