メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少女・世界推理名作選集 29 スチュアデスの活躍 ヘレン・ウェルズ/著 金の星社

2023-11-30 17:03:30 | 
1966年初版 1984年 第14刷 大蔵敏子/訳 中山正美/カバー・イラスト・挿画

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


今もCAは憧れの職業だけど、この時代はまだ女性が働くことや
飛行機、ヘリコプターが珍しいと思われてた時代

飛行機の上から知人のクルマを発見するなんて場面もあって
今よりのんびりした空気も感じられる


【内容抜粋メモ】

登場人物
ビッキー ビクトリア・バー 大学教授の娘 スチュアデス
ギニイ 妹 12歳

トム・ジョーダン キャプテン
ダスティ パイロット

ブロー一家
ポール ニューオルリンズのブロー館の主人
ジュリー・エウイング ポールの妹 未亡人
マリー ポールの姪 幼い頃、両親を亡くして、叔父が養父
ビル・グラハム 建築家 マリーの婚約者
サラ コック
マダム・ド・フレ 迷信家

マグノリア・マノア別邸
ブーツ 夜警
ヤコブソン 工事の監督


クレオル:スペイン人と結婚したフランス人開拓者の子孫
カージャン:フランス人植民者の子孫 丸太をくりぬいたボート“ピローグ”を乗りこなす



●ニューオルリンズ
スチュアデスのビッキーは搭乗客として飛行機に乗っている
キャプテンのトム・ジョーダンから新しい副操縦士ダスティを紹介され
宿泊先のビュ・カレまで送ってもらう










パティオ(内庭)で主人のポール、姪のマリーと会う
ポールはマリーに厳しく、18歳になっても
付き添いを連れていないと外にも出られないと聞いて驚く







叔母のジュリー、マリーの婚約者ビルにも紹介される


●マグノリア・マノア別邸
ポールが借金のかてにカーリスルに売った別邸が
ナイトクラブに改造されると聞いて、急に激怒する

ポール:あの部屋の壁には手を触れさせないよ





カーリスルは沼に幽霊が出るという噂を利用して儲けようと思ったが
夫人と滞在した時に現れずガッカリした

迷信家のマダム・ド・フレも幽霊を信じている


●夜のふしぎな出来事
町を案内してもらい、カージャンのセイントを見かける
夜10時が門限のマリーを叱り、ビルとの付き合いを一切しないよう止めるポール
ビル:マリーは金曜の18歳の誕生日を迎えたら、保護者から自由になれるはずだ







マリーの父アドリアンはクレオルでない母と結婚し、相続人から外された
大おじエチエンヌの遺言状には均等に分与すると書いてあったが
すべてポールに譲る第二の遺言状が有効になっているため、別邸もポールのもの

ビッキーは物音で目が覚める
午前0時にポールがこそこそ外出していたのに気づく
いつもは怠け者で朝も遅いのにと愚痴るサラとの話を盗み聞きしていた様子


●青いクルマ
ビッキーは自分の乗る飛行機を点検し、飛行予定表、気象報告を見る
乗客名簿には珍しくカージャンのカップル、セイントと妻のドーセットが乗り
メキシコまで行く予定

ビッキーはダスティの双眼鏡を覗くと、ブロー家の農園が見えて
迷うことで有名な沼地にビルの青いクルマが停まっていることに気づく
ダスティに話すと、ディキシー・スワンプ見物ならヘリコプターが最適だと話す









グアテマラから戻ると、ブロー館からセイントが出て行くのを見かける
玄関にはポールがいて、2人は会っていたのではないか?と疑う

マリーが泣いているワケを聞くと、ティータイムに会う約束のビルが来なかった
ビルのいるホテルに電話すると、金曜の夜に出て行ったまま帰っていない

農園の電話は故障していてかからない
この電話もドアの影から聞き耳を立てているポール









ポールの部屋には土のかたまりが落ちていた
いつもはチリ1つにもガマンできないのにフシギがる


●銀色のチュール
グアテマラへの2度目の飛行でも青いクルマが見え
土曜の夜に見たのと同じ火がついたり消えたりするのを見る

マリーのバースデーパーティーを仮装舞踏会にすれば
ビルがお忍びで来れるだろうと計画すると
ジュリーは2人に衣装を作るために、ポールがカギをかけた部屋に入る







中にはたくさんの骨とう品があり、箱から銀色のチュールを出して
ビッキーにピッタリだと思うが、尺が足りず
箱の上に置いたのに底にあるため
サラに問うと、キチンと包んで一番上に置いたという








ジュリーは遺言状にまつわる話をする
ポールは繁盛していた農園を荒れ放題にした

第二の遺言状の原文も召使いの部屋から出たぼやで焼けたと言った
本当はマリーに残るはずだったのをもみ消すためではないかと推理するビッキー


●マダム・ド・フレの話
フレはポールが解雇した召使いテオドルを雇ったため
ブロー館の内情を知っていると話す







エチエンヌはポールに農園を助けてほしいと頼んだが断わられて、2人は大ゲンカした
エチエンヌはポールやテオドルたちに羊皮紙にサインさせた
遺産をフォード夫人に残す内容だったに違いない
ああいう館には秘密の隠し場所があるもの

別邸の壁に隠されているのを知っていて、改造するのを阻止しようとしたと推理
ポールはマリーの養育費を出していると言いながら、実際はジュリーが払っている








●ディキシー・スワンプの幽霊
ビッキーはダスティとマグノリア・マノア別邸を調べに行くと
監督ヤコブソンは、ポールがたびたび来ていると話す

ビルはニューヨークにいて、戻るまで手をつけないようにという手紙をもらった
そのタイプの特徴は以前見たことがあるビッキー

書庫の板を押すと少し動くことに気づく
監督のイスには銀色のチュールの切れ端を見つける







夜警のブーツはディキシー・スワンプの幽霊を見たと話すが
銀色のチュールを見せると、それと同じだと証言
ポールが誰かを雇って幽霊の格好をさせたのではないか?








ニューヨークにいるスチュアデスの同僚に聞くと
その夜、グラハムという名前の乗客はいなかった

ポールはビルを沼地に誘って放り出した時に靴に土がついた
ビルのホテルの便せんを盗んでタイプして工事を延ばしたのではないか?
あの火もSOSかもしれない







●仮装舞踏会
ポールは道化師の格好でパーティーを抜け出して、別邸に行くつもりだろうと推測し
ビッキーとダスティは代わる代わる阻止する
真夜中になると全員仮面をとるため、ポールは抜け出すタイミングを失う







●告白
ビッキーがダスティとヘリコプターで飛ぶのにマリーも誘う
ポールは反対するが、ジュリーがOKを出す

ヘリからビルの姿が見えて、マリーと再会






ビルは別邸を訪れた日に誰かに殴られて、沼地で迷い
高熱を出して、セイント夫妻に看病されていた

セイントは、殴ったのはポールで、幽霊の格好をしたのは自分だと告白
そのお金で飛行機の旅行をしたと告白







別邸に行くと、隠し部屋にポールがいて、遺言状も見つかる
やはりマリーが受け継ぐはずだった

マリー:
マグノリア・マノアやお金も要らないけれども
おじさまがビルにしたことは許せない

ポールに縛られたブーツ、それを助けたヤコブソンも来る
ポールは警察に捕まり、マリーとビルは無事に結婚し
ビッキーとダスティが付添人をつとめた







帰宅して、ギニイに、自分がスチュアデスだから事件が解決したが
どんなにスチュアデスがステキな仕事でも家が最高だと思う









解説

ヘレン・ウェルズ
「スチュアデス ビッキイ・バー シリーズ」
本書はクレオルの住むビュ・カレと、カージャンの住むディキシー・スワンプが舞台
推理小説だけでなく、家庭小説、少女小説としてもすぐれている







コメント

少女・世界推理名作選集 7 鏡の中の顔 ベッシー・アレン/著 金の星社

2023-11-30 16:25:40 | 
1962年初版 1983年 第20刷 村岡みどり/訳 依光隆/カバー・イラスト、ブックデザイン

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください



ナンシーやケイのほかにも、似たような少女探偵ものはたくさんあるんだな

今度は探偵好きな双子姉妹
2人の叔母はとても年上だと思ったら、28歳/驚

まだ女性が働くことが珍しがられていた時代


【内容抜粋メモ】

登場人物
コニー・ブレーヤー メドーブルーク町の高校を卒業したばかりの探偵好きな少女
キット 双子の妹

トビー 弟 10歳

キャンピオン洋装店
ベット 叔母 デザイナー エリザベス・イーストン 28歳
ラリー 装飾部 チッパー・ホワイトとともに働く
ジョージ 警備員
グレース 倉庫係
カート、ゴートン 売場監督
エステル 帽子のバイヤー


●なくなった帽子
フィラデルフィアにある有名な洋装店キャンピオンで働くベットおばさんが訪ねてきて
パーティーでファッションショーをするため、コニーの友人を呼んで衣装を確認する









とても高価なビーバーの帽子がないことに気づいて驚き
店に電話するが、そこにもない

コニーと双子の妹キットは高校卒業後、カレッジに入学が決まっているが
トビーおばさんのように働きたいと思っているコニーに対して
“職業婦人”とからかう家族

コニーは緊張もせず、モデルを務め、次に店で開催される
カレッジスタイルのショーにも出てほしいと頼まれて、夜中にクルマに乗る







先週も店に着けていったスカーフがなくなり
2日後、全然違う場所から出てきたことがある


●鏡の中の顔
警備員ジョージに頼み、ノートにサインして日曜日の店に入れてもらい
改めて事務所内を探すが帽子は見つからない







その間、コニーは帽子売り場を見ていると
鏡に大きく見開いた男の目が映り驚く
誰か確認する間もなく、後頭部を殴られて失神







叔母とジョージが介抱して、倉庫を確認しても誰もいないため
コニーは夢を見たのだと言われる

新しい売場監督カートが1階にいるほかは、不審者もいない
地下の装飾部にいるラリー・スチュワートも紹介される







●モデル化粧室で
10日間、いっしょにモデルをする女性たちと知り合う
ここはまさに女性の世界だと気づく







帽子のバイヤーにビーバーの帽子がなくなったことを報告
肌着売り場からはローブがなくなった

いろんな服に着替えながら、客の合間を歩き、話したりしていると
高いヒール靴がガマンできないほど痛くなる

モデルが華やかでラクな仕事と思っていたが
スーザン:世界中で一番ツライ仕事だわ


●倉庫係の女の子
ドレスを積み重ねた奥で一人で泣いている少女がいて心配で寄り添う
名前はグレース・ブレーヤー
グレース:私がここにいたのを誰にも言わないでください







閉店のベルが鳴ると、にぎやかな店は一気に静かに変わる
スーザンはショーに使ったバッグが気に入り
デートに借りていけたらいいのにと冗談でいう


●待て!泥棒
ラリーはコニーを映画に誘い、ベットおばさんの家まで送ると家探しした後で
誰か逃げる気配がしてラリーが追いかけたが逃げられる







ベットおばさんが帰宅して、調べると、何もなくなっていない
コニー:探し物は見つからなかったんだわ

ビーバーの帽子や店の品物の紛失事件と関係があるのではないかと思うコニー
灰皿にタバコの吸い残しを見つける

ラリー:そんなに短くなるまで吸うのは男だ


●真珠のネックレス
宝石売場で騒ぎがあり、売り子のポーターが泣いている
最高級の真珠のネックレスがなくなった







ラリー、ベットおばさんが衣装に合わせて写真を撮る時に使った
普段はケースに入れて、カギのかかった引き出しにあるため取り出せない

ポーターはケースをしまったのは覚えているが、中身はカラだった
現場には、ラリーの同僚チッパー、モデルのスーザン、グレースもいた







キャンピオン社長は臨時会議を開き、前例はないが私立探偵を雇うことにした


●青い糸くず
配達をしているグレースを見かけて、家族について聞くと
母と妹の3人暮らしで、妹はリューマチで長患いしている

家でベビー用の編み物をしていて、キャンピオンで高値で売られているが
売値が高くても、原価は安い仕組みを知る

コニーはいつしかモデルの中で一番、人気者になり
彼女が着た服が売れるようになる







キャンピオン社長に呼び出されると、ベットおばさんもいて
真珠のネックレスが叔母のバッグからいきなり出てきたと話す

広告の相談をしていて、バッグに入れたノートが必要になり
グレースにバッグを持ってくるように頼んだ

コニー:モデルの中にはちょっと借りて、後で返すつもりで持ち出す人もいるのでは?

今度は、帽子の箱の底からハンドバッグが出てきて驚くベットおばさんとエステル

ジョージの夜警日誌のサインを調べて、ベットおばさん、
チッパー、カート、エステルらが呼び出される

コニーは装飾部で使う真珠のネックレスに青い毛糸くずを見つけて
誰のしわざか大体の見当をつける









以前、殴られた時に見ていた帽子を改めて見て
小鳥の目が違っていることに気づく

従業員の住所録から2人の住所をノートにひかえて
まずはグレースの家を訪ねる


●妹エリー
グレースは残業で遅れるため、友だちだと言って、母親に家に入れてもらう







最初は警戒していたグレースの妹エリーだが
編み物を褒め、店の様子を楽しく話すと
そんな所なら働いてみたいと意欲を見せる







グレースが帰宅し、コニーは外で問い詰めると
きれいなモノを見るのが大好きな妹のために、店のモノを借りていたと告白







グレース:
私、盗んだりしません いつも返してます
ビーバーの帽子もそんなに高価だと思わず、借りた後、装飾部の棚に返した
別の帽子も箱から出して借りたため、底にバッグがあったのは知らない

真珠のネックレスも借りたが、ベットおばさんのバッグに入れたのはグレースではないと分かる

再びキャンピオン社長に呼ばれて、日曜にベットおばさんと店に入り
後頭部を何者かに殴られた話をすると、馬鹿げた話だとゲラゲラ笑うカート


●私立探偵マートン
コニーはグレースを説得し、仕事が終わった後
装飾部にある帽子を取りに行って、売場に戻し、全部打ち明ける計画をする

2人が帽子を見つけると、太った中年の婦人が入って来る
彼女がキャンピオン社長に雇われた私立探偵だと分かる







その後、カートが来て、帽子をよこせと脅す






なんとかその場を逃げて、マートンらに事情を話すと
社長やベットおばさんは許してくれる

もう1つの住所、カートの家を訪ねるといない
左目の下にホクロがあると聞いて、後頭部を殴ったのはカートだと思い当たる







一同が帽子売り場に隠れると、倉庫からカートが出てきて
毛皮の帽子からカメオを外してポケットに入れた時に警官が捕える








●事件のしめくくり
ピエール・シボーという悪党がヨーロッパ貴族の宝石を盗み
監獄に入っていたが、カートと2人でアメリカで売りさばこうとして
帽子に派手な装飾をつけるのが流行しているのを利用して
盗品をつけてアメリカに輸出して、税関を通した

カートはキャンピオンの売場監督になり、安物の模造品とすりかえるつもりだった
グレースから真珠をもらい、ベットおばさんのバッグに入れたのもカート

事件が終わり、ラリーは広告の仕事を見つけたと話すと喜ぶコニー




解説 白木茂

「推理小説の歴史」
初めて書いたのはエドガー・アラン・ポー『モルグ街の殺人』デュパン名探偵

25年後、1866年、フランスのエミール・ガボリオ『ルルージュ事件』でルコック名探偵が登場

イギリスでコナン・ドイルが生み出したシャーロック・ホームズが世界中に知れ渡る

フリーマン『赤い指紋』 ソーンダイク博士
ガストン・ルルー『黄色い部屋のなぞ』
モーリス・ルブラン アルセーヌ・ルパン
チェスタートン 神父ブラウン

オルツイ『すみの老人』
ラインハート『らせん階段』
ベントリー『トレントさいごの事件』
クロフツ『樽』

クリスティー『スタイルズの怪事件』
ミルン『赤い家のひみつ』
フィルポッツ『赤毛のレドメイン家』
メースン『矢の家』
バン・ダイン『グリーン家殺人事件』
エラリー・クイーン『ローマ帽子のなぞ』

アメリカ ハードボイルド派のハメット、チャンドラー、ガードナー
ミッキー・スピレイン

欧米の少年少女の推理小説も盛ん


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