2-3で敗戦。
試合後のインタビューで、監督は「上位から勝点3を取るにこしたことはないが、どこから取っても同じ勝点3ではある。まだ試合数が少ないので、どのチームからでも勝点3を取るのが大事。 」と語ってはいますが。
それでも、勝ちたかった。
勝たねばならなかった。
中2日というコンディション的不利を感じさせないほどにアグレッシブかつテクニカルなサッカーをしてきた熊本。
いつも通りのサッカーが出来ず、苦しい展開が多かったこと。決めるべきところで決めきれず、守るべきところで守り切れなかったこと。
実力差、と言ってしまうことはたやすいですが。
それでも、なんとかしなくてはならなかった。
秋田、鳥取に続き、今回は熊本。また、上位撃破は成し遂げられませんでした。
まだシーズンはこれから!という見方もありますが。
正直言って、12試合で4敗は、多すぎです。
優勝チームは、シーズン4敗でも少ないとは言えない。
ただ善戦できればそれで良い、という目標であれば、それでもいいでしょう。
けれども。
カターレの目標は、優勝であるはず。
終わったことを悔いても仕方ないですが。
では、どうするか?
この敗戦をシーズン最後の敗戦にするーーー無茶なもんか。それくらい成し遂げねばならないのが、優勝を目指すということなのだから。
優勝を、あきらめたくない。だから、苦言も呈すのです。
予想外の中止となった八戸戦から中3日。どうにもモヤモヤとした気分でスタジアムに到着。
やはり、今シーズン最多であったはずの八戸戦に比べると、平日ナイトゲームということもあり、いささか観客数の寂しさは否めず。
そんななか、それまで晴れていたのに、選手バス到着の時間帯になって雨。
そして、またも遠くに雷鳴。スタンド下通路に退避。
おいおい、またかよ・・・。
それでも、今回はすぐに雨も上がり、一安心・・・というか、これが本来のかたちであるはずですが。
スタメンは、多少の変更はありながらもほぼ想定内のメンバーが名を連ねるなかにあって。
目を惹いたのがサブメンバー。
先日期限付き移籍加入が発表されたばかりの、川﨑と滝の名が。ホーム戦でのお披露目に期待が高まりました。
無事(?)にピッチ内ウオーミングアップを終え、試合開始へ。選手入場ののち、本来であれば八戸戦で行うはずであった、ユウスケのJ通算500試合出場記念セレモニーが執り行われました。
そして、試合開始。
中2日でコンディション的に厳しいのでは?という予想を裏切るかのように、アグレッシブにガンガン来る熊本。それにやや後手になっていた感のあるカターレ。
決定的なピンチこそなかった一方で、どうにも自分たちのペースに持ち込めず、やきもきさせられる展開が続きました。
それでも、まずは先制点。リードを奪って相手を前がかりにすることで疲労も増幅させる、という展開に持ち込めば。
そう、思っていたのですが。
25分、FW高橋 利樹に決められてしまい、失点。
それも、いつものように・・・と言ってはなんですが、そんな失点の仕方。いつものように、自分たちのまずい守備の隙を突かれてのもの。
そして、さらに。
33分、再び高橋。前線からのプレスにひるんだカターレ守備陣の隙を見逃さずにボールを奪取、思い切りのよいシュートがゴール隅に決まり、この日2点目。
1点目のゴールによって、いける!という手応えを得て、その自信がもたらしたシュート、そしてゴールであったように思います。
本来であれば、カターレが全く逆の展開にせねばならなかったところでしたが・・・。
勝たねばならない試合で、重い、重い2失点。
そんななか迎えた38分、「それ」は起きました。
カターレの選手が、相手の甘くなったゴールキックを一瞬で掻っ攫い、そのままシュート。決まって得点。
なにが起こったのか、わかりませんでした。
スタジアムに居た全員が、それこそ目の前にいた熊本GKの内山 圭を含めた全員が、虚を突かれました。
それでも。得点が決まったという事態を飲み込めた瞬間、察しました。
こんなことをしでかすのは、こんなことが出来るのは、ヤツしかいない!
スタジアムDJである久世さんがコールするよりも早く確信していたところ、予想通りの選手名が。
「ただ今の得点は、カターレ富山 背番号10 花井 聖!」
あるいは2点のビハインドを背負って、チームが暗く沈んでしまうような場面で。そんなもん知らん、とばかりに、こともなげにやってのけてしまう豪胆さ。
ときに天才と賞される彼の、“らしい”ゴール。花井 聖による、花井 聖にしかできないゴールによって、1点差に詰め寄ったのでした。
もちろん、試合は終了のホイッスルまで何が起こるかはわからない。リードされているからといって、負けが確定したわけではない。
そんななかで、前半を終えて0-2で折り返すのと1-2で折り返すのとでは、雲泥の差。
言うまでもなく、逆転勝利あるのみ。これまで勝利した試合は3得点以上挙げている。ならば、今回もまた3得点、あるいはそれ以上で勝つのみ!
期待していた武が無得点のまま交代となったのは無念でしたが、それは代わった平松に期待するとして。
その平松が後半開始からの交代であったように、熊本もまた2枚替え。
中2日の熊本と言えど、全員が全員フル出場だったわけではなく。当然、フレッシュな選手もいて、後半戦の活性化に寄与してくるはず。
だからこそ、早めに追いつき、追い越さねばならなかったところ。
51分、CKのチャンス。
2試合連続でCKから得点を決めているユウスケが、当たり前のように厳しくマークされていた中で。
決めたのは、戸根!見事なヘッドで同点に!
昨シーズン、大卒から新加入した戸根。しかし、大けがを負ってしまい、まるまる棒に振ってしまうことに。
彼にとって、今シーズンが実質的なルーキーイヤー。出場を重ねて手応えを掴んできたなかにあって、生まれた記念すべきJ初ゴール!感慨もひとしおだったでしょう。
51分という、まだまだ時間もあるうちに、良い時間帯に同点に追いつくことに成功。俄然、逆転勝利への期待が高まりました。
同点となって以降も、熊本の厳しいプレースタイルは継続。それでも、勝利を信じて敢然と立ち向かわねばなりませんでした。
74分には、池高に代わって期待の新戦力・滝 裕太がカターレデビューとなりました。
それぞれ、浦和と清水の次代を担う期待感あふれる若手プレーヤーが、チームメイトとして同じチームで勝利を目指す。この日はメンバー外となった宮城を含め、なんとも熱いシチュエーション。
その滝ですが、まだプレー時間が少ないながらも、さっそく魅せてくれました。
ボールタッチ、ボールコントロールの質が、素人目に見てさえも、そこいらの選手と格が違うと見て取れる。ホンモノ感とでも言えばいいのでしょうか。
こりゃ、この先さらにチームにフィットしていけば、おのずと出場時間も、活躍場面も増えていくだろうなーーー確信めいて、そう思いました。
さぁ、まずはこの試合。
相変わらず厳しい展開が続くけれど、それでもなんとか勝ち切ろう!
・・・そう、思っていたのですが。
ひとつのプレーで、台無しになりました。
81分、酒井 崇一に決められてしまい、再びリードされることに。
決められてしまったことそのものには、とやかく言いません。そういう状況をつくってしまった自分たちに非があることを棚上げするつもりはありません。
ただ・・・。
それを裁いた審判が。
オフサイド疑惑がかかる、微妙なプレーでした。近年世界的に広まっているところのVAR案件とでも言いましょうか。無いものねだりをしてもなんですが。
それでも。
なんで、試合を止めたんだよ!と。
副審となんの協議をしたのかは知りません。けれど、それを何分も止めてまでやらねばならなかったのか?と。アディショナルタイムが6分にまでなるくらいに止めねばならなかったのか?と。
猛抗議するカターレ選手の訴えを聞き入れて判定を覆すわけでなし。
いや、微妙な判定であったとして。すぐさまに「ゴールはゴール!あんまり異議がひどいとカードを出すぞ!」と、毅然としたジャッジであったならば。
納得はしにくかったとしても、理解はしたでしょう。
あっさり判定が覆るほどのあからさまな誤審であったならともかく、審判の裁量により下されたジャッジであれば、それに従いましょうとも。
なのに。
なんで、そこで完全に試合の流れを止めてしまうんだ、と。
結局、判定が覆ることはなく。ジャッジ通り、ゴールが認められ。
そんな、試合を止めてまでなにをしなければならなかったのかと。
失点は確かにショック。しかし、だからこそ1秒でも早く試合に戻り、同点、逆転を目指さねばならなかったところで。
いたずらに、時間が浪費されただけ。
失点そのものは悔しいけれど、認めるよ。抗議が却下されたことも。
けれど、なんで時間をかけて、試合を止めねばならなかったんだよ、と。
その後、必死の頑張りを見せるカターレ選手たちでしたが、ゴールには結びつかず。
そんななかで、熊本GKの内山が、あからさま過ぎる遅延行為でイエローカード。
「あたりまえだ馬鹿野郎!ふざけんな!」
そう叫んで、物凄いブーイングを浴びせてやるところでしたが・・・普段であれば。
コロナ禍の中、応援スタイルが制限され、それも出来ず。
最後はGKの岡までも攻撃参加して必死にゴールを狙うも、奏功せず。
そして、タイムアップ。
無念の敗戦となりました。
熊本のほうが強かった、うわてだった。コンディションの不利を覆すだけの強さがあった。
けれども。
それを素直に認められるほど、達観などできません。
強い相手だから負けても仕方ないね、次は頑張ればそれでいいよーーーそんなふうに割り切ることが出来たら、ある意味楽なのかもしれませんが。
割り切ることなど、出来やしませんよ。
悔しくて仕方ないですよ。
なぜなら。
優勝を諦めていないから。諦めたくないからに決まっている。
見当違いの妄言で言っているだけの優勝なら、一笑に付すところかもしれませんが。
そうじゃない。
出来るはずだから。出来ると信じるから。
だから、苦しい。
また、上位撃破ならず、屈してしまった苦い敗戦。
この辛さ、苦しさを癒す手段があるとすれば。
それは、勝利にほかならないのであって。
次なる戦いは、待ってくれません。
成し遂げられなかった、連勝。
それを、次々節には必ずや。
戦いは、続きます。