セットプレーのワンチャンスをものにして勝利したものの、実質的には負け試合であった前節。その反省を踏まえて、攻撃サッカーの神髄を見せつつ勝たねばならなかった今節でしたが。
今節もまた、実質的負け試合。防戦に追われてなかなかチャンスを作り出せず、その少ないチャンスも決めきれない。得点がオウンゴールのみでは、前節の反省が活かされたとは、とてもとても言えやしません。
それでも、勝った。
これまでの勝てなかった、敗れてしまった試合のパターンにハマってしまったならば、失点、さらに敗戦不可避というなかで。
相手だけではなく、自分たち自身との戦いでもあったなかで。
屈することなく、無失点。10人で耐えきった前節に続き、今節もまた最後の最後まで集中力を切らすことなく守り切りました。
苦しみながらも成し遂げた、今季初連勝。「勝ちながら強くなる」そんな理想を結果に繋げていくためには、ここで勝ち点3をとりこぼさなかった意義は、大きいです。
中止となった八戸戦以来の、土曜開催ホームゲームとなった今節。新型コロナウイルス感染拡大に伴う制限が続くなかにあって、今シーズン最多となる2004人を集めた試合となりました。
試合開始前には、スタメンに名を連ねた椎名・戸高がJ通算100試合出場達成、そのセレモニーが行われました。
両名ともに喜ばしい記録であるなかにあって、やはり感慨深いのは椎名でしょうか。
いまやカターレの最長在籍選手でもある彼ですが。もし大怪我による長期離脱の影響がなければ、とっくに達成していた記録なのでは?とか。
それでも。それを言うならば、その大怪我によってとっくに引退していてもおかしくなかったとも言えるわけで。
不屈の闘志で立ち上がり、精進を続けてきたからこその記録。ただただ、リスペクトあるのみです。
前節は林堂と川﨑のCBであったところ、今節は前前節と同じ今瀬・戸根のコンビに。ユウスケがメンバー外となり、末木が左SB。前線は平松が起用されました。
それよりも目を惹いたのが、サブのメンバー。
このところ離脱していた稲葉が復帰。そして、開幕直後に試合途中で負傷交代して以来、長きにわたって離脱していた松原が、久しぶりにベンチ入りしたのでした。
ガンバ大阪U23は、ここまでともに7ゴールを挙げている唐山 翔自、川﨑 修平がいずれも不在。
トップチームが翌日ホームで試合をするなかで、そこに合流する可能性のある選手が遠征に帯同しないことは、充分にあり得ることではありますが。
それどころか、サブメンバーもGKプラス3人という最小限のメンバー。例年と違って5人まで交代できるルールのなかにあっては、U23チームという特性上、違和感とまでは言わないものの、気になりました。
ただ、それはホームアドバンテージを含めて、徹底的にやり込めねばならないということでもあって。
昨シーズン同カード同様の3得点、あるいはそれ以上での勝利が期待されました。
先制点は、意外なかたちに。
14分、オフサイドラインギリギリでボールを受けた戸高が攻め上がると、スピードに乗ったまま中央へとクロス。
すると、合わせようとした平松に渡る直前で、DFのカットがオウンゴールに。連勝に向け、しっかりとモノにせねばならないと思っていた先制点ですが、予想外のかたちで入ることになりました。
意外ではあったものの、それでも。それまでの良い流れがあったればこそ決まったとも言えたわけで。
そして、時間帯的にも良いタイミングでの得点。一気に主導権を握って畳みかけていかねば!そんなゴール。
・・・だったのですが。そのあとが、どうにも続かず。
いかに中心選手が不在とはいえ、いずれも名門クラブの一員であることに変わりないガンバ大阪U23のメンバー。
切り替えの早さ、確かな技術に裏打ちされたテクニックなどは、若いから、経験が浅いから、と割り切ることが出来るようなレベルではありませんでした。
たしかに、ボールを持たれても、パスを繋がれても、致命的なピンチを招く場面にまでは至らず。
しかし、主導権を握って自分たちのペースに持ち込むこともまた、出来ず。
あるいは、怖れというか。ヘタなプレーをしてしまうと、逆にその高い技術によって畳みかけられてしまうという。
こういったチームとの対戦では、いかに流れで抑えていても、突発的に個の力で打開されてしまうことがままあるーーーそういった要素を、常に頭に入れつつの戦いに。
ハーフタイムを挟んだ後半にも、そういった傾向は変わらず。
51分には、あわやという場面でゴールバーに救われ、その後の連続攻撃もなんとかクリアという冷や汗ものの場面も。
そんななかで、稲葉が途中出場。持ち味のチェイス、寄せで守備を引き締めることに。
ただ、なかなか攻勢に出られず。
武、滝、大谷と攻撃選手のカードを切るも、なかなかチャンスらしいチャンスすらなし。
GK岡も落ち着いたプレーを見せ、安定した守備を見せるものの・・・それでも、なにかの拍子にやられてしまうのでは?という不安は、ずっとぬぐえないままでした。
ガンバ大阪U23は、結局1人しか交代を使いませんでしたが、逆に言えば、交代せずにはいられないほどにカターレが追い込めなかったとも言えるわけで。
ある意味急造チームながら、試合終盤まで運動量が落ちず。むしろ、カターレのほうがやりにくかったくらいで。
ただ、それも急造チームだからということか。
カターレの側のウイークポイントを徹底的に突く、というような、ある意味いやらしい攻めというものが、もうちょっと足りなかった、という印象です。
もしこれが成熟された強いチームを相手にしていたならば・・・やはり、「いつものように」やられていた可能性も、少なくはありません。
後半は、シュート0本であったとか。試合を通じても、僅か4本で、12本であったガンバ大阪U23に、いかに圧倒されてしまったかということ。
前節は、数的不利という言い訳もできたかもしれません。けれど、その反省を踏まえての巻き返しを誓っての今節であったはずなのに。
もちろん、同じチームとの対戦ではないし、やりにくさはあったでしょうが。
それでも・・・反省を活かせずどころか、良くなかった前節よりも、さらに悪くなっていないか?ホームなのに。
正直言って、不満の残る内容です。こんなことではいけないに決まっている。
しかし、それでも。
それでも、勝った。
内容的には、決して褒められたものではない・・・どころか、猛省必須ですが。
それでも、勝った。
2試合連続で零封。苦しみながらも、ゴールを割らせませんでした。追加点はならずも、しっかりとリードを守り切っての勝利。
内容的に素晴らしく、相手を圧倒した試合。けれど、勝てなかった。
ひどい内容、とても褒められたものではない試合。けれど、勝った。
どちらが良い?と訊かれたら。
迷うことなく後者だと答えます。そう、即答で。
それほどまでに、勝利、勝ち点3というものは、得難いもの。それを、嫌というほど思い知っているから。
内容云々は、勝ってから言えと。
得られなかった勝ち点を後から取り戻す手段が存在しない以上は。なにがなんでも得なければならないのが、勝利であって。
負けて得るものもある?そんなのは詭弁。得るものよりも失うもののほうが大きすぎます。
勝ちながら強くなる。それを、いかに実践していくか。
その意味で、今季初連勝。
不本意なかたちではあったかもしれない。ならば、なおのこと。
勝利を続けることで、いずれ勝つことが当たり前になるくらいに。
自信と結果のバランスは難しいものではありますが、だからこそ。
ここから。この連勝から。
優勝を、昇格を諦めない。そのために、勝つ。得難い勝ち点3を積み上げながら。