1-0で勝利!
今シーズンここまで、勝てなかった、取りこぼしてしまった試合においては。
優位に進めていた、あるいはそれ以上、ゲームを支配していながら、結果として勝利を逃してしまったーーーそんな試合も少なくありませんでした。
そういう意味では。
今節は、真逆。むしろ、正直言って負け試合でした。
チャンスを作るも、どうにも決めきれず。むしろ、良い攻撃のかたち、得点のにおいというものに関しては、完全に讃岐のほうが上回っていました。
さらに、51分という早い段階で退場者を出してしまい、数的不利に。ただでさえ押され気味であった展開の中、いよいよ窮地に立たされることに。
しかし。
そこで、屈しなかった。
GKの岡をはじめとした集中した守備によって、相手に得点を許さず。劣勢にも挫けませんでした。
そんな中、ワンチャンスをしっかりとモノにするかたちで先制。その虎の子の1点を守りきり、見事に勝利に繋げたのでした。
試合のスケジュールに変更こそなかったものの、それでも。
九州地方を縦断するかたちとなった台風10号の影響により、風や雨といった気象条件との戦いともなった今節。
前節より中3日のアウェイ戦。大野と大谷という前線の組み合わせに関しては、ローテーションというか、そういう編成もアリか、というところでしたが。
スタメンでいちばん目を惹いたのが、先ごろ期限付き移籍で加入した背番号3・川﨑 裕大が初出場・初スタメンとなったことでしょうか。今瀬が控えに回り、林堂とCBコンビを組むことに。
試合序盤、大谷と花井の連続シュートなどで相手ゴールを脅かす場面をつくりだすものの、得点には至らず。
讃岐の3-1-4-2のフォーメーションに対して、カターレの4-2-3-1。
いかにそのギャップを突きながら自分たちに優位に試合を進めるか、という課題に対して、有効に実践していたのは讃岐のほうでした。
あまりひとつのパターンに固執することなく、サイドから、あるいは中央からと柔軟な攻撃。
重松 健太郎、林 友哉の両FWが精力的にカターレ陣内へと攻め入り。それをフォローする形でのMF高木 和正の存在感も光っていました。
気を抜いてしまっては、やられるーーーそんな、緊張感。
前節の熊本戦の苦い敗戦のことがあったばかり。自分たちのミスから失点という悪い流れにだけは、決してしてはなりませんでした。
だんだんと受けに回る展開が多くなり、なかなか有効な攻撃に繋げない。
自分たちで主導権を握って試合を進めるという、良いときのカターレのかたちが、どうにも作れないまま。攻撃も散発的で、勢いで押し切るというかたちには、なかなか持ち込むことが出来ず。そのうちに、讃岐の攻撃を何とかしのぐ、という繰り返し。
流れは、良くありませんでした。
それでも、選手交代を有効に使いつつ、後半勝負ーーーそんなプランだったはずですが。
51分、川﨑がこの日2枚目のイエローカード。レッドカードが出され、退場となってしまったのでした。
明らかに劣勢であったなかで、追い打ちをかけるかのように数的不利状態に。しかも、残り40分くらいあるなかで。
後半開始時に大谷に代えて池高、までは想定内だったでしょうが。
想定外の事態に見舞われたかたちですが、それでもなんとかせねばならない。
直後の54分、一挙3枚代え。さらには65分に花井に代えて碓井投入と、試合時間を多く残す中で、交代カードを早々に使い切ることとなりました。
この時点で、讃岐はまだ1人も交代なし。終盤にかけて、フレッシュな選手で一気呵成に攻め込んでくることも想定されましたが。
もちろん、それは織り込み済みだったことでしょう。そのうえで、あえて。
数的不利であるからこそ、気を引き締めて臨まねばならない。
不退転の覚悟をもって挑め、というメッセージでもあったかと。
自陣でのプレーが多くなるなかにあっても、集中力を切らさなかったカターレ。
とりわけ、GK岡の気迫あふれるプレーぶりには、何度も助けられました。
枠内シュートを左手一本ではじき出したり。CKのピンチにあっても、冷静なキャッチングでもってピンチをしのいだり。堅実かつ確実なプレーに、勇気づけられました。
その意気に応えるためにも、不利は承知で、なんとか得点を挙げねばなりませんでした。
そんななか、71分。幾度も耐え凌ぎながら、ようやく、と言っていいでしょう。FKのチャンス。
椎名がスルーし、途中出場の滝が低く速いクロス。並んだ選手たちの前を通過し、そのままゴール前を横切るかと思われた、そのとき!
大外から走り込んでいたのは、ユウスケ!
ほとんど角度のないところから、抑えつつコントロールされたシュートが見事にゴールに吸い込まれ。
欲しかった先制ゴールを挙げることに成功したのでした。
それにしても。
2度あることは、3度ある。鹿児島戦、今治戦に続き、アウェイ戦3戦連続ゴールを決めたユウスケ。
あとちょっとでもタイミングが早いか遅いかしていたら、決まらなかったゴール。
あとちょっとでも力加減が強いか弱いかしていたら、決まらなかったゴール。
つまり、あの場面でベストの選択を、完璧に遂行してみせたゴールだということ。
なんともはや・・・百戦錬磨、いや500戦錬磨。
さすがだ、と驚嘆するよりほかありません。
千載一遇の好機をものにして、先制に成功したカターレ。
もちろん、それで黙っている讃岐でなく。さらなる攻勢にさらされることに。
それでも。
交代枠は使い切っている。つまりは、出場している選手たちでなんとかするしかない。
覚悟が決まっていた、腹が据わっていたということでしょう。
集中力を切らさず、必死のプレーを続けるカターレ。
アディショナルタイム6分・・・って、長いよ!
なんで試合を完全に止めてまで審議(?)の時間に充てていたような前節・熊本戦と同じなんだよ。止まっていた時間だって、たかが知れているだろうが!
なんて言ってみたところで、どうなるわけでなく。
やるべきことを、やるだけ。1秒たりとも気を抜くことなく、無失点に抑えきるのみ!
そして、タイムアップ。
虎の子の1点を守りきり、見事に勝利。連敗を阻止し、アウェイで貴重な勝ち点3を得ることが出来たのでした。
図らずも、ちょうど1年前の対戦と同様に、今回もまた数的不利にさらされる厳しい戦いとなりました。
けれども。
前回同様に、困難に屈しなかった。逆境を跳ねのけ、見事に勝利を掴んでみせた。
内容的には、決して褒められた試合ではありません。0-1で敗れていても、まったくおかしくはなかった。
しかし、それでも。
それでも、勝ち切った。
昨年、終盤戦に躍進を果たせたのは、困難に打ち勝った讃岐戦の勝利があったればこそ。
だったら。
再び困難に打ち勝った今節を、躍進再現の起点とせねば。
勝利への意思を、底力を示してもぎ取った勝ち点3。
今後の躍進に繋げる自信に、糧にしていかなくては。