『東北の太平洋側に出現した大量のエチゼンクラゲによる漁業被害が深刻化している。水揚げ量の落ち込みに加え、駆除の手間と時間に追われて漁業者は疲労困憊(こんぱい)。被害は過去最悪となる規模で、今シーズンの漁を打ち切る漁師も出てきた。被害の長期化も予想され、関係者は神経をとがらせている。 底引き網のカレイ漁をするいわき市の鈴木稔さん(57)は10月ごろから被害に気付いた。
網に入ったクラゲの浮力で網が浮き、場所を変えても効果がなかった。鈴木さんは「漁を切り上げるしかない」と肩を落とす。10~11月の売り上げは半減で、300万円以上の損害が出た。 大量発生は、三陸海岸から宮城県金華山沖や福島県沖などの秋サケ漁の時期にぶつかった。クラゲは重みで漁網を破り、毒で魚の鮮度を落とす。一つの網に1万匹以上入ることもあるという。 八戸港の10月~11月中旬の水揚げ量は前年同期比36%減の503トン、金額は60%減の約1億4000万円。大船渡市漁協では昨年11月、1日で約8000匹揚がったサケが、今年は約3000匹にとどまる。 網にかかったクラゲを取り除く手間も漁業者泣かせだ。岩手県の田野畑村漁協は、2カ統の定置網にかかるクラゲを除くため1日3、4回、網を揚げる。担当者は「人力で取り除くしかなく、漁にならない」と嘆く。 日本海側でも被害の報告が相次ぐ。青森県深浦町の漁業西崎昭一さん(46)は例年、年明けの3月ごろまでサケ漁をするが、今季はクラゲが多く、10月末であきらめた。 漁2カ統の定置網にかかるクラゲを除くため1日3、4回、網を揚げる。担当者は「人力で取り除くしかなく、漁にならない」と嘆く。 をやめると数千万円の売り上げが見込めなくなるが、「重みで網が壊れると修理代に1000万円以上かかる」。
山形県は10月末までに網が破れるなどした被害件数をまとめたところ、計約2000件に上った。「過去5年間で最悪のペース」(水産試験場)という。 同県は「冬型の気圧配置が強まり、季節風が強くなると、また流されてくる」と警戒。八戸市水産事務所は「一つの自治体で何とかできる話ではない」と国や県に対策を求めた。
<冷水入り南下/水産大学校(山口県下関市)の上野俊士郎教授(浮遊生物学)の話> エチゼンクラゲは海流とともに移動する。日本海から津軽海峡を通って太平洋に出た群れが静岡県沖辺りまで南下した例は聞いたことがない。暖流の黒潮が離岸し、沿岸に北からの冷水が入り込んだと推察している。太平洋側へさらにクラゲが移動し、漁業被害は年明け以降も続くと危惧(きぐ)される。
<前例ない早さ/クラゲの展示で知られる加茂水族館(鶴岡市)の村上龍男館長の話> 8月末にはエチゼンクラゲが津軽海峡に達しており、例がないほど早い。以前は10年に1回ほどの珍しい「お客さん」だった。大量発生の原因はよく分からないが、発生源である中国沿岸の環境が変わったのだろうと推測している。』最終更新:11月18日6時13分11月18日6時13分配信 河北新報
10月25日12時7分配信 毎日新聞
エチゼンクラゲ 日本海で大発生…3年ぶり 影響を懸念
『エチゼンクラゲが日本海で3年ぶりに大発生している。兵庫県香美町の約1キロ沖合では24日、オレンジ色などをした多数のエチゼンクラゲが海面近くを漂っているのが見つかった。11月6日に日本海の風物詩、マツバガニ漁が始まるため、関係者は影響を懸念している。 エチゼンクラゲは、大きいものは傘の直径1メートル以上、重さ150キロに達する。傘は乳白色だが、傘の下部は赤系などの色をしている。独立行政法人水産総合研究センターなどの資料によると、05~06年に大量出現。今年は6月に長崎県・対馬沖で群れを確認した。その後、日本海を北上し続けている。 兵庫県但馬水産事務所の中岸明彦・水産課長は「近年、エチゼンクラゲの群れを避けて出漁するなど対策も進んでいるが、漁への影響が心配だ」と話した。』
「エチゼンクラゲが日本海で3年ぶりに大発生している。兵庫県香美町の約1キロ沖合では24日、オレンジ色などをした多数のエチゼンクラゲが海面近くを漂っているのが見つかった。」と言われていたのが10月24日でもうかれこれ一ヶ月になるのです。何らエチゼンクラゲへの対策を取らなかった農林水産省も問題では有りませんか。ほつたらかしにされたのでは、漁業を生業とする人達の生活が成り立ちません。各都道府県と農林水産省の支援の下エチゼンクラゲ駆除対策を早急に立てるべきでは有りませんか。今シーズンの漁も出来なくなったら海に生きる人達の生活収入が断たれます。農林水産省は、専門家の協力により効果的なエチゼンクラゲの駆除方法を考え、実行すべきでは有りませんか。秋サケ漁の時期に網に鮭が入らずエチゼンクラゲが入っていたのでは何の為の漁か分かりません。この分ですとこれからまだまだ漁業被害が拡大すると思います。小さい漁船から定置網に掛かるエチゼンクラゲを取り上げるのも猟師さんの人力では限界が有ります。破れた定置網の修理にも多額の修理代が掛かり漁師さんの負担も大変です。もう既にエチゼンクラゲが日本海から津軽海峡を通って太平洋に出た群れが静岡県沖辺りまで南下しています。農林水産省は、大型船舶をチャーターして全国的なエチゼンクラゲの早急な駆除が必要では有りませんか。魚の水揚げ量が減り、師走の魚の卸売り価格上昇や日本の漁業資源の減少に繋がらない様に現地調査しこれ以上漁業被害が出ないように実効性ある対策を立てるべきではないでしょうか。漁業補償をすれば済む問題では無く、魚を昔から食料資源にしている日本に取っては大事な食料問題と思います。なぜエチゼンクラゲが大量発生したのか。地球環境破壊による海洋汚染と思われます。エチゼンクラゲの大量発生も地球環境汚染の副産物でしょうね。政府も日本周辺の海洋汚染の実態を早急に海洋調査をすべきではないでしょうか。毎年日本近海でエチゼンクラゲの漁業被害が出たらたまりません。