■「レザボア・ドッグス/Reservoir Dogs」(1992年・アメリカ)
●1993年インディペント・スピリット・アワード 助演男優賞
●1992年トロント国際映画祭 国際批評家賞
監督=クエンティン・タランティーノ
出演=ハーベイ・カイテル ティム・ロス スティーブ・ブシェーミ
言わずと知れたタランティーノのデビュー作にして代表作。オ-プニングの”マドンナ談義”からグイグイ観客を引き込んで離さない。「ジョークはディティールが大事なんだ」という劇中の台詞も出てくるが、この映画は全編がまさにそのディティールの寄せ集め。犯罪映画のくせに襲撃シーンもない、追っかけもない。集合場所の倉庫内という限られた空間で、ほとんどストーリーテリングしていく。ハーベイ・カイテルの二丁拳銃(ルーツはジョン・ウー?)を除いて、カッコつけた銃撃戦もない。従来の犯罪映画が重要視してきた場面はことごとく排除されている。にもかかわらずこの映画は実に魅力的だ。
それは台詞によるところが大きい。とにかく男達はよくしゃべる!。スコセッシの犯罪映画ならジョー・ペシがしゃべり続けていて、ロバート・デ・ニーロは寡黙。でも「レザボア・ドッグス」はみんながみんなよくしゃべる。普通なら説明くさくなりそうなところを、口調や話題だけでキャラクターを表現しているのがすごい。他にもこの映画にはタランティーノのアイディアが満載だ。直接残酷な場面を見せずにカメラが上を向いたり、(編集を楽にするために?)長回しがあったり。
タランティーノ映画は映像のメガミックスだと思うのね。タランティーノは映像を自在に操るDJなのだ。自分がレコメンドする映画たちを、愛情を込めて再構成する。例えば登場人物がMr.ホワイト、Mr.ピンクと色で呼び合うが、これはロバート・ショウ主演の「サブウェイ・パニック」(月曜ロードショーで観たなぁ)。台詞の中にはパム・グリアの名も。そしてそこにはイカした音楽が重なる。Little Green Bag をバックにサングラスの男達がスローで歩くタイトル。映像と音楽が見事に調和する場面だ。ここだけでも何度でも観たい。ただバイオレンス嫌いの僕は、ここまで血をみるとちょっとね・・・。マイケル・マドセンがやたら怖かった。
(2004年筆)