- 80's Movie Hits! - 目次はこちら
■Love Kills/Freddie Mercury
From「メトロポリス/Metropolice」(1926年・独 1984年)
監督=フリッツ・ラング
主演=ブリギッテ・ヘルム アルフレッド・アベル グスタフ・フレーリッヒ
SF映画の古典とされるサイレントの傑作「メトロポリス」。膨大な製作費と3万6千人ものエキストラを使った大作にして、多くのフォロアーに影響を与えたカリスマ的魅力のこのフィルムは、今観ても造形・演出の斬新さは見応えがある。「ブレードランナー」のタイレル社にも似た地下工場の強烈なイメージ、C-3POの原型とされるロボット=マリアの造形など、ビジュアル面で語られることが多い映画だが、30年代ドイツの不穏な空気や階級社会、労働問題なども描かれている。完成時のオリジナルは210分とも言われているのだが、後述するモロダー再編集版(84年)は83分、他にも様々なヴァージョンが存在する。
ピアノ伴奏が付いているオーソドックスなヴァージョンや、難波弘之氏が劇伴を付けたヴァージョン(今入手できないだろうか?)のビデオがリリースされている。2002年にはフランスのロックバンド、アール・ゾイドが生で演奏する上映会が開催されたりもした(このときのヴァージョンは2001年にドイツで修復・編集された「最終完全版」だったとか)。
僕ら80年代青春組は幸運にもこの伝説の映画を劇場で観ることができた。それが84年のジョルジオ・モロダー再編集版だ。自宅でこのビデオを鑑賞中、ロックを流していたとき、これが意外にマッチする!とひらめいたスーパープロデューサー、ヒゲ親父!。そして自作の80年代エレクトロポップ/ロックをBGMに、画像に色彩処理を施しリバイバル公開するに及んだ。その楽曲でやはり特筆すべきは、フレディ・マーキュリーの実質的ソロ第1作となった Love Kills だろう。クィーン活動休止中の83年、ミュンヘンを訪れていたフレディにモロダーがサントラ制作の協力を依頼し、このコラボレーションが実現した。モロダーと言えば、タンス型ムーグシンセを使用した16分音符のベースラインが特徴の”ミュンヘン・ディスコ”の開祖。シーケンスピコピコにピアノがバーン!と鳴るサウンドと、力強いフレディの歌声!。クィーンとはまるで異なるサウンドと重なるこの曲は、僕には強いインパクトがあった。PVは「メトロポリス」の映像ばかりで歌う場面はなかったと記憶している。
サントラには、他にパット・ベネター(Heart Gets Fire)やボニー・タイラー(Here She Comes)らが参加した。だが古き良きサイレントに電子音楽というミスマッチが、やはり許せなかった人々も多かったのは事実。そのせいか(?)85年のゴールデン・ラズベリー賞では、ワースト音楽賞を受賞しているのだった。
※Freddie Mercury の歌が流れる主な映画(ソロ名義)
1984年・「メトロポリス」 = Love Kills
1984年・「りんご白書」 = Foolin' Around
1992年・「ナイト・アンド・ザ・シティ」 = The Great Pretender
1993年・「ローデット・ウェポン」 = Love Kills
※Giorgio Moroder 関連の曲が流れる主な映画
1978年・「ミッドナイト・エクスプレス」
1980年・「アメリカン・ジゴロ」 = Call Me (Blondi)
1980年・「フォクシー・レディ」 = Fly Too High (Janis Ian) Foxes (Donna Summer) On The Radio (Donna Summer) 他
1982年・「キャット・ピープル」 = Putting Out The Fire : The Theme From Cat People (David Bowie)
1983年・「D.C.キャブ」 = The Dream (Irene Cara) Single Heart (DeBarge) 他
1983年・「フラッシュダンス」 = Flashdance ~ What A Feeling (Irene Cara) Lady Lady Lady (Joe Bean Esposito) 他
1983年・「スカーフェイス」 = Scarface (Push It to the Limit) (Paul Engemann) Rush Rush (Debbie Harry) 他
1984年・「メトロポリス」 =Love Kills (Freddie Mercury) Here She Comes (Bonnie Tyler) 他
1984年・「ネバーエンディング・ストーリー」 = The Never Ending Story (Limahl)
1984年・「エレクトリック・ドリームス」 = Together In The Electric Dreams (Georgio Moroder & Philip Oakey)
1986年・「トップガン」 = Danger Zone (Kenny Loggins) Take My Breath Away (Berlin) 他
1986年・「私立ガードマン 全員無責任」 = She's My Man (Sigue Sigue Sputnik)
1986年・「マネーピット」 = Rush Rush (Debbie Harry)
1986年・「クイックシルバー」 = Quicksilver Lightning (Roger Daltrey)
1987年・「オーバー・ザ・トップ」
1988年・「フェアー・ゲーム」
1988年・「ランボー3 怒りのアフガン」 = ♪He Ain't Heavy ...He's My Brother (Bill Medley)
1989年・「のるかそるか」