Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ダーティハリー5 - 80's Movie Hits ! -

2013-06-17 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■Welcome To The Jungle/Guns N' Roses
From「ダーティハリー5/The Dead Pool」(1988年・アメリカ)

監督=バディ・ヴァン・ホーン
主演=クリント・イーストウッド エヴァン・C・キム リーアム・ニースン パトリシア・クラークソン 

 「ダーティ・ハリー」といえば70年代から続くクリント・イーストウッド主演ポリス・アクションの名シリーズ。しかぁし、回を重ねる毎に作品的にもパワーダウン。80年代に製作された「4」は、やたらバイオレンスアクションくさいものだった。「5」では映画の撮影現場で事件が起こるってのが、ちと楽しい。またハリーとコンビを組むのが中国系というところも現代的で面白いじゃないか。

 MTVの撮影現場で殺人事件が発生。合わせて殺人予告の賭け事"Dead Pool"の存在が判明し、ハリーの名もそこに。"Dead Pool"に関係したとして疑惑をもたれる映画監督役は、ジェダイ・マスターのクワイ・ガン・ジンことリーアム・ニースン。おどろどろしいデザインのジャンパーを着て、髪を結んで、ハリーに悪態をつく姿は後に多くなった善人役からはほど遠い。今観るには価値があるかも。Dead Poolのメモには”何とかキャメロン”という文字も見える。これってもしやオスカー監督の?。ただやはりお年を召したハリー・キャラハンは昔のようなマグナム左右衛門ではなく、人間ドラマがお話の中心なんだなぁ。それはやはり残念。

 「ダーティ・ハリー」シリーズにはチャートを賑わすようなヒット曲が使われることは今までなかったが、この Welcome To The Jungle は例外中の例外。曲は始まってすぐMTV撮影場面で使われる。曲をバックに口パクやってるロック歌手役が今をときめくジム・キャリー!(クレジットはジェームズ・キャリーとなっている)。彼が最初の犠牲者となるのだ。またスラッシュやアクセルらガンズのメンバーも葬式の場面で顔を出す。映画撮影シーンでスラッシュのシルクハットを観た気がするのだが、どうでしょ?。思えばガンズって、シンセばかりが鳴り響き、ギターは脇でカッティングして、ベースはチョッパー流行りの80年代を、最後の最後に打ち壊してくれたバンドだったよな。あの破壊力は今聴いても色あせることはない。

Guns N' Roses - Welcome To The Jungle


※Guns N' Roses の歌が流れる主な映画
1988年・「ダーティーハリー5」 = Welcome To The Jungle
1990年・「デイズ・オブ・サンダー」 = Kockin' On Heaven's Door
1991年・「ターミネーター2」 = You Could Be Mine
1994年・「インタビュー・ウィズ・バンパイア」 = Sympathy For The Devil
1997年・「ポイント・ブランク」 = Live And Let Die
1998年・「待ちきれなくて・・・」 = Paradise City
1999年・「エンド・オブ・デイズ」
1999年・「ビッグ・ダディ」 = Sweet Child O'Mine





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ルーカスの初恋メモリー

2013-06-16 | 映画(ら行)

■「ルーカスの初恋メモリー/Lucas」(1986年・アメリカ)

監督=デビッド・セルツァー
主演=コリー・ハイム ケリー・グリーン チャーリー・シーン ウィノナ・ライダー

 14才なんだけど飛び級で高校に進学した少年ルーカスが、2つ年上の転校生美少女に恋をする。ところが彼女は、チャーリー・シーン扮するフットボール部のキャプテンに恋心・・・という三角関係青春映画。憧れ、初恋、いじめ・・・と全体的には思春期独特の甘酸っぱくほろ苦い懐かしさが漂って楽しいのだけれど、フットボール部、チアガールが学校の花形というアメリカン・ハイスクールの風潮に、思いっきり文化部系である僕はどうも乗り切れなかった。どうみても無理なフットボールの試合に彼はこだわり続ける必要などないではないか!ブラバンでいいとこみせればいいじゃん!と元ブラバンとしては思うのだが。まぁそこは一途な少年の心情を汲むとして。他人と違うことを恥じる必要などない。自分は自分、としっかりすることがよいのだぁ!っと、やっぱり根は前向きなアメリカ映画である。

 主人公をひたすら見守るブラバンのコにウィノナ・ライダー!。幼っさなーい!でもかわいい!。とロリータの血が騒いだ方々もおるのでは(笑)。ケリー・グリーンは「グーニーズ」でもそうだけど、健康的で素朴なアメリカ娘として適役ですよね。主人公ルーカスが初めて彼女をみる場面、BGMが 美しく青きドナウ ってところが魂の高揚感をベタベタに表現していてグッドでした!。エイティーズお約束の挿入歌にはダイアー・ストレイツの Walk Of Life。クレジットにはトンプソン・ツインズの King For A Day もあったが、地上波の深夜枠で観たので切られていたのかな?気づかなかった(でも内容からすればベストな選曲)。そうそう、フットボールの試合で応援するブラバンが演奏しているのが、シーナ・イーストンの Strut ってのが何とも違和感。

(2002年筆)





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オブリビオン

2013-06-15 | 映画(あ行)

■「オブリビオン/Oblivion」(2013年・アメリカ)

監督=ジョセフ・コシンスキー
主演=トム・クルーズ オルガ・キュリレンコ モーガン・フリーマン

「エイリアン」シリーズとトム・クルーズ主演作は「嫌い!」と公言しているくせに・・・どちらもついつい劇場で観るんだよね、これが。「オブリビオン」の予告編を観たときは、またトムがええかっこしいするだけの映画かぁ・・といつものように思った。それは間違いではなかったが、すぐにトムがどうでもよくなるくらいに面白くなってきた。それはこの映画の世界観と造形の面白さ。「オブリビオン」は、「猿の惑星 創世記(ジェネシス)」のスタッフと「トロン:レガシー」の監督の手による映画だ。エイリアンの襲撃から60年経った地球という「オブリビオン」の設定は、70年代によくあった絶望的未来を描いたSF映画の世界観と重なる。僕が映画に興味をもち始めた時期に観たSF映画は、どれも人類の破滅だの機械との戦いだのそんなエピソードが散りばめられたものだった。「アンドロメダ・・・ 」や「ウエストワールド」などマイケル・クライトン関係作、絶望的な世界観の代表格「猿の惑星」シリーズ、食糧問題を扱った衝撃作「ソイレントグリーン」、太陽の向こう側にある未知の惑星をめぐる衝撃作「決死圏SOS宇宙船」などなど、「スターウォーズ」以前のSF映画に描かれるのは輝かしい人類の未来ではなく、未知なるものへの恐れをSFの題材に形を変えたダークな味わいがあった。

そして主人公が知ることになる事実。それは政治が隠してきたものだったり、信じてきたものが崩れ去るものだったり。「オブリビオン」が提示するどんでん返しはまさにそこだ。・・・この映画はストーリーを語るとほぼネタバレしてしまうことになるので、今回は曖昧な表現に逃げておくことにする。

「オブリビオン」がもつ70年代SF映画的な舞台を思わせることだけが、魅力的なのではない。それは造形の面白さだ。地球を監視する任務を負って、主人公ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)とチームを組むヴィクトリア(アンドレア・ライズブロー)が暮らすスカイタワーと呼ばれる居住空間。ちょっと無機質な感じがする内部の様子は、それこそ昔のSF映画で観たようなどこか懐かしい印象を受ける。2人乗りのパトロール機バブルシップが発着するポートや、透明な素材で囲まれた室内やプール。そして360度コクピットが回転するバブルシップも魅力的。コシンスキー監督は大学で建築や機械工学デザインを学び、現在もコロンビア大学で助教授の籍をもつ。なので、ド派手なSFXで観客を驚かすよりも舞台となる空間で説得力をもたせることに力が注がれているのは間違いない。そのため、僕らは一気にその世界観を受け入れることができる。これが金をかけて映画を撮るということだ。「オブリビオン」を観たら、四畳半の艦橋と倉庫に二段ベッド置いたような実写版「ヤマト」なんか二度と観る気にならないだろう。対照的だが、主人公が人間性を取り戻す湖畔の家がまたいい。古びたレコードプレイヤーで聴くプロコルハルムの「青い影」には完全にヤラれた。廃墟となった地球の様子やエンパイアステートビルの造形も凝っているし、往年の作品達へのオマージュととれる場面もちらほら。

ストーリーに触れずにこの映画の面白さを伝えるのは難しい。最後に付け加えるならば、タイトルが実に潔い。「Oblivion」=「忘却」。それは任務に就く前に記憶を消されてしまった主人公二人の「忘却」であり、二人が信じ込まされた事実が現実を覆い隠してしまっていることの「忘却」。そして物語はその「忘却」の中でも失いきれない気持ちや思いがあることを一筋の光として描いていく。70年代以前のSF映画は、時に政治的な恐怖感をストレートに表現せずに、侵略SFの体裁を借りて表現してきた(例えばSFホラー映画「光る眼」は冷戦下での社会主義国の脅威を暗示したものである)。プロデューサーや監督にそうした目論見があるならば、この物語は僕らに"現実に目を向けろ"というメッセージを放っているのかもしれない。まぁ、そこは深読みかもしれないが。

ともかく、あなたが輝かしい未来を描いた、トム・クルーズが大活躍するSF映画が観たいならば、この映画はお気に召さないことだろう。だけど、ここにはSF映画への愛と、苦難があっても未来を信じる気持ちがある。それがこの映画の核心。あとは自分の目で確かめるのだ。




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まぼろし

2013-06-14 | 映画(ま行)

■「まぼろし/Sous Le Sable」(2001年・フランス)

監督=フランソワ・オゾン
出演=シャーロット・ランプリング ブリュノ・クレメール

 美しく年をとる・・・ってよく聞く言葉ではあるけれど、シャーロット・ランプリングはその見本のような人なのでは?。彼女の出演作は「さらば愛しき女よ」を「月曜ロードショー」で観て以来、いろいろ観たけれど50代になった現在でも衰えぬその美しさ、その年代の女性の美しさを改めて再認識させられる。映画の中でも出勤前にジムに行っているとか出てくるけれど、美貌を保つのに努力しているのかなぁ。でもこの人のことだからクールに「何も」と言われちゃいそうだ。

 夫との静かなバカンスの最中、海岸で夫が行方不明になってしまう。夫の死を受け入れられない主人公は、夫のまぼろしを見て、語りかけるようになる。残された者の心情を、静かな語り口でフランソワ・オゾンは描写していく。そこに台詞は要らない。ベッドに横たわった彼女を二人の男性の手が愛撫する幻想シーンは、実に美しい。ひと昔前ならクロード・ソーテ監督あたりがロミー・シュナイダーで撮りそうなお話?だけど、それをまだ30代の監督がこなすなんて・・・やるなぁ。自分が同年代だけに羨ましかったり、尊敬したり。主人公を執拗に見つめ続けるカメラの視点は、意地悪と思えるほど厳しい。けれど、他の監督なら”あきらめの悪い妻の物語”にしそうなところを、現実と向き合おうとする主人公を背中からそっと支えているような優しさがこの映画にはある。しかもそれは「8人の女たち」とは全く違ったタッチ。オゾン監督作の旧作観てみたくなりました。

 冒頭、別荘で夫と静かな時間を過ごすときの彼女の笑顔が、僕にはまず印象的だった。こんな穏やかで幸福そうな表情は、他の出演作では見たことがない。男友達に言い寄られてフフッと笑う自然な表情も。妖しいミステリアスな役柄が多い人だけに、僕にはそう思えたのだ。それが物語の後半、一転して厳しい表情に変わる。最後までランプリングから目が離せない。

(2003年筆)



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下妻物語

2013-06-13 | 映画(さ行)

■「下妻物語」(2004年・日本)

●2005年毎日映画コンクール 女優主演賞・新人賞・美術賞

監督=中島哲也
主演=深田恭子 土屋アンナ 宮迫博之 篠原涼子

 正直ノーマークでした、この映画。「神様、もうすこしだけ」を真剣に見ていた僕ですが、深キョン映画を観に行くなんて初めて。周りの人々(しかも映画通の人々)の「おもしろい」という声がなかったら、僕はこの映画には会えなかったと思う。口コミの力だね。冒頭のアニメ「あたいのバイクが火をふくよー!」から始まって、空中を浮遊する深キョン・・・そのパワフルな出だしでもうツカミはオッケー。力ずくで映画の世界に引きずり込まれた感じです。

 近頃の日本映画、映像表現の面では斬新な工夫をやってきたと思う。この映画でも使われている、手持ちのビデオカメラの画像を挿入すること、アニメを挿入すること・・・今さら目新しいことではないんだよね。でもこの映画でしか見られない独特の浮遊感と疾走感。これには観ていて幸せを感じるしかない。そう、妙に幸福な空気感があるのだ。この映画の癖のある登場人物たちのように、自分の好きなことのみに夢中になれる。それは銀幕のこちら側では、すごく難しい生き方だ。そんな現実感のなさが、この映画の魅力だと言えるだろう。深キョンやイチゴはある種ワガママ娘だけど、あそこまで貫いてみたいもんだ。現実離れした雰囲気と現実離れした人々に浮き世を忘れる・・・それができる映画なんだ。それ故に面白い。中島監督は、これが劇場映画デビュー。トヨエツと山崎努が卓球をするサッポロビールのCFを手がけた人だそうで、なるほど深キョンの空中浮遊はお手のものだった訳だ。

 ディティールの面白さもなかなかで、”ベイビーのお洋服がすべて”の深キョンに対して、周囲の人々は口々にジャスコ!。すごくジャスコに行きたくなりませんでしたか?。おばあちゃんちにあったスクーターを見て、イチゴが「すっげぇ!DJ1-Rじゃん!」と叫ぶのにウケてしまったあなたは80年代組。でもそれがVIVA-YOU仕様ってのがいいね。深キョンだけじゃなくって、映画初出演のモデル土屋アンナ嬢の大活躍も見どころ。分娩室の篠原涼子はすごく色っぽかったし、「女は人前で泣くんじゃないよ。」という小池栄子もまたカッコいい。宮迫博之の楽しそうな演技がまたよかったね。そうそう、tommyの主題歌も!。

(2004年筆)

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「ロッキー3」 「ロッキー4 炎の友情」 - 80's Movie Hits ! -

2013-06-12 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■Burning Heart/Survivor
■The Eyes Of The Tiger/Survivor
from「ロッキー4 炎の友情/Rocky lV」(1985年・アメリカ)
from「ロッキー3/Rocky lll」(1982年・アメリカ)

監督=シルベスター・スタローン
主演=シルベスター・スタローン タリア・シャイア 

 「ロッキー3」に引き続き主題歌を担当したのはサバイバー。77年に、アイズ・オブ・マーチ、チェイスというブラスロックのバンドのメンバーを中心にシカゴで結成されたバンドだ。スタローンに気に入られて前作の主題歌に起用され、The Eyes Of The Tiger は大ヒット。グラミー賞(最優秀ロック・デュオ/グループ)を獲得するに至った。映画「ロッキー4」はいきなりこの The Eyes Of The Tiger で始まる。主題歌としてヒットしたのは Burning Heart で、ボーカリストは2代目のジミ・ジェイソンに交替しているが、僕はこの少し前のアルバム「Vital Signs」が愛聴盤だったので、こっちが好きかな。4分打ちのビートがズン、ズンと重く、思わず拳を握りたくなるような(?)曲だ。「4」のサントラには、他にケニー・ロギンス&グラディス・ナイト(Double Or Nothing)、ロバート・テッパー(No Easy Way Out)などが参加している。

 「3」も「4」もスタローン自身が監督を務めた映画だが、本当は「3」で終了するはずだった。ところが”ロッキー・バルボア”の知名度が驚異的だった(全米で75%、25歳以下では95%だとか)ので、製作会社がスタローンを口説き落とした。興収面でも大ヒットとなったが、一方でラズベリー賞4部門受賞(最低監督・最低主演男優・最低助演女優・最低音楽)という快挙?も残した。

 さて本編は、国旗柄のグローブがぶつかり合う冒頭から”東西緊張”を色濃く反映させた内容で、いかにもレーガン政権下らしい映画。ソビエトがプロボクシングに参戦し、米ソ親善試合が企画された。元チャンプ、アポロ・クリードが対戦相手に名乗りを挙げたが、相手のドラコは徹底した管理下で作り上げられたサイボーグのようなボクサー。ジェイムズ・ブラウンの Living In America (グラミー受賞)で華々しく登場したものの、アポロはドラコのパンチに沈められ死亡してしまう。友を失ったロッキーはモスクワでのリベンジマッチに挑むこととなる。ドラコと違った過酷な環境でトレーニングをするロッキーのバックに前出の Burning Heart が高らかに流れる。クライマックスのファイトはシリーズ屈指のド迫力で、しかも最初米国人に冷淡だったモスクワっ子が終いにはロッキーコールをする!という展開。ラストのスピーチで「俺たちは変われるんだ!」と叫んだロッキーの姿に、”米国人意識高揚”が露骨に見えてくる。

survivor-burning heart (rocky 4)


Survivor - Eye Of The Tiger


※Survivorの歌が流れる主な映画
1982年・「ロッキー3」 = The Eyes Of The Tiger
1984年・「ベスト・キッド」 = The Moment Of Truth
1985年・「ロッキー4 炎の友情」 = Burning Heart

ロッキー4ロッキー4
サントラ ヴィンス・ディコーラ サバイバー ジョン・キャファティー ケニー・ロギンス ジェームス・ブラウン ロバート・テッパー ゴー・ウエスト タッチ グラディス・ナイト

曲名リスト
1. バーニング・ハート(サバイバー)
2. ハーツ・オン・ファイヤー(炎の友情)(ジョン・キャファティー)
3. ダブル・オア・ナッシング(ケニー・ロギンス&グラディス・ナイト)
4. アイ・オブ・ザ・タイガー(サバイバー)
5. 戦い(ヴィンス・ディコーラ)
6. リヴィング・イン・アメリカ(ジェームス・ブラウン)
7. ノー・イージー・ウェイ・アウト(ロバート・テッパー)
8. ワン・ウェイ・ストリート(ゴー・ウエスト)
9. スウィーテスト・ヴィクトリー(タッチ)
10. トレイニング・モンタージュ(ヴィンス・ディコーラ)

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自転車泥棒

2013-06-11 | 映画(さ行)

■「自転車泥棒/Ladri Di Biciclette」(1948年・イタリア)

●1949年アカデミー賞 外国語映画賞
●1949年NY批評家協会賞 外国語映画賞
●1949年ゴールデングローブ賞 外国語映画賞

監督=ビットリオ・デ・シーカ
主演=ランベルト・マジョラーニ エンツォ・スタヨーラ リァネッラ・カレッリ 

今も不況だ不況だというけれど、戦後の不況がいかに苦しいものだったか。ネオ・リアリスモの映画は厳しい社会と向かい合う人々を映像に収め続けた。この「自転車泥棒」も、主役親子は素人を起用し、オールロケーションで撮影する、現実を見つめた映画である。ひとつの職業を得ることがいかに困難な時代だったのか。簡単に会社を辞めたり定職に就かない若者のことを考えると、今が不況とはいってもいかに恵まれていることか。それを思わずにはいられない。

たった一台の自転車を取り返すことができなかったアントニオは、サッカー場の外に止めてある多くの自転車を見て「一台くらい・・・」という気持ちになっていった。だが彼はそちらではなく、街角に一台だけ止めてある手近な自転車を盗もうとしてしまう。人間の弱さ。それを台詞なしに見事に表現している。ラストの何も言えずに夕暮れの町を歩く親子の姿に、やりきれなさを感じてしまう。それは人の弱さ故でもあり、時代に対してであり、貧困を救いきれない政府であったりするのだが。息子から見る父親は情けなく、惨めだ。なかなか自転車が見つからずにイラだつ父に叩かれても息子は父親を慕う。つかまって小突き回される父親にすがって泣く少年の姿は涙を誘う。

(2003年筆)



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四月怪談

2013-06-10 | 映画(さ行)
■「四月怪談」(1988年・日本)

監督=小中和哉
主演=中嶋朋子 柳葉敏郎 角田英介

 ある人の薦めで昨年観て、えらく感動した映画に「ワンダフルライフ」がある。天国に召される前の死者たちをめぐる秀作であった。この「四月怪談」に出てくる柳葉敏郎扮する幽霊は、まだ肉体に戻って生き返るチャンスがあるの死者たちに肉体に戻るように説得をしている。彼自身も大切な人に何かをしてあげる経験なしに死んでしまったので、死後80年に渡ってそうした説得をしている・・・という設定だ。成仏させることが仕事の「ワンダフルライフ」の職員たちとは全く逆なのだが、その事を通じて自分も救われるという点では同じ。見終わってこちらも不思議な幸福感に浸ることができる。近頃、僕はこの映画の監督小中和哉氏に興味がある。それは「ウルトラマンガイア」の劇場版や2003年に放送されたアニメ「鉄腕アトム」で(恥ずかしながら)気に入ったからだ。

 世間的にはファンタジーの名手という評価のようだが、僕が勝手に抱いている小中作品のイメージは、”テクノロジーと人間”を一貫したテーマとしていること。「四月怪談」はそれとは全く異なる世界。なれどこの映画にもそうした要素がある。ヒロインに好意を抱く超常現象好きの男子高校生だ。幽霊探知機を製作する程の変わり者で、彼の霊感(?)がクライマックスで重要な役割を果たすことになる。霊とのコンタクトにテクノロジーを用いようとした彼が、死者の気持ちを思いやるという人間的行為でヒロインを救う(結果的にだけど)姿はとても印象的だ。小中監督は特撮映画に憧れて映画界入りしたそうだ。部屋にラドンを飾るこの高校生はもしかしたら監督の分身かもしれない。その彼とその後いい仲になりました・・・ってな結末にしていないところが、人によっては物足りなさを感じさせるかもしれない。それよりも水たまりを踏みつけるヒロインの何とも言えない表情が余韻を残してくれる。

(2004年筆)



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マイノリティ・リポート

2013-06-09 | 映画(ま行)

■「マイノリティ・リポート/Minority Report」(2002年・アメリカ)

監督=スティーブン・スピルバーグ
主演=トム・クルーズ コリン・ファレル マックス・フォン・シドー

 かつて「ジュラシック・パーク」観たときに、”これって「ジョーズ」の頃の演出を思わせるよなぁ”と嬉しく思った。今回の「マイノリティ・リポート」は、過去のスピルバーグ映画では「インディ・ジョーンズ」に近いと思った。サスペンスの中にユーモアを巧みに織り込む演出が随所にみられる。昔から思うことだけど、スピルバーグはこれが本当にうまい。例えばスラム街のアパートで追跡メカ”スパイダー”が出てくる場面。ハラハラするところなんだけど、しっかり笑いも誘っていたりして、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」冒頭の上海の場面を思い出させる。一方で90年代の人間ドラマ路線もしっかり”親子愛”や”家族の再生”というストーリーで引き継がれている。よく言えば”スピルバーグ演出の集大成”(大袈裟だけど・笑)なんだけど、悪く言えば”みんなが期待するスピルバーグ”がきちんとみられる”予定調和”でしかないんだよねぇ。ロバート・レッドフォードに三枚目や悪役をやらせないハリウッドスタイルそのまんま。そういう意味ではヒットするでしょうね。絶対面白いし。

 時代考証がうまい。50年後の未来だから極端に今と生活様式が異ならないはず。そこはリアリティを感じられるようにきちんと考えられている。ここは見事。配役ではマックス・フォン・シドーが誰よりも素晴らしかった。こういう凄みのある役柄は久々。「コンドル」を思わせるし。そして謎の女性にジェシカ・ハーパーですよぉ!。トム・クルーズはマスクこそかぶらないけど、眼球を替えて他人になりすますんだから、映画ファンなら「ファントム・オブ・パラダイス」を頭の中で勝手に関連づけしてるかも。

 P・K・ディック原作の映画化といえば「ブレードランナー」や「トータル・リコール」があるけれど、本作も含めて共通しているのは、自分自身を見つめる視線だ。レプリたちが自分の存在意義を考えたり、シュワちゃんが自分を取り戻そうとしたり。どちらも原作とはかけ離れた話になっているようだけども。そしてこの「マイノリティ・レポート」も然り。自分の未来は自分の意志で変えられる、自分をしっかり持つことだ、といったポジティブなハリウッド映画らしいお話なのだ。「A.I.」より面白いと世間では言われているみたい。それは認める。だってトムと仕事したくて仕方なかったスピルバーグが、エンターテイメント色全開にした娯楽作だから面白いのは当然。そもそも「A.I.」はキューブリック企画の引継だし、キューブリックのクールさとスピルバーグのウォームさが混じり合った中途半端なぬるま湯映画なんだから、比べてはいけないと思うんですけどねぇ、個人的には(「A.I.」擁護派)。

(2002年筆)




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グランド・マスター

2013-06-08 | 映画(か行)

■「グランド・マスター/一代宗師(The Grandmaster)」(2013年・香港)

監督=ウォン・カーウァイ
主演=トニー・レオン チャン・ツィイー チャン・チェン

 僕ら世代は、小学生でブルース・リーの存在を知り、中高校生の間にジャッキー・チェンに夢中になった。ジャッキー端役だろうが、出演していればどんな凡作でも僕らは観たし、野球中継が中止になったらテレビ各局はジャッキーの未公開作を放送してた。そして高校生の頃、リー・リンチェイ(後のジェット・リー)が映画「少林寺」でデビュー、本物の武闘家のアクションに驚嘆した。「少林寺三十六房」をきっかけに知ったショウブラザースのカンフー映画や武侠映画たち。「侠女」や「グリーン・デスティニー」は武侠映画についての知識を深めてくれた。このジャンルを観ることにかけては幸運な時代だったと言えるだろう。ブルース・リーの拳法の原型とされるのが詠春拳。その師であるイップ・マンを主人公にしたのがこの映画「グランド・マスター」だ。しかも香港のお家芸たるカンフー映画を、ウォン・カーウァイ監督が撮る。劇場へ向かう僕の心にあったのは驚きと期待。

 映画冒頭、雨の夜のアクションシーン。まず撮り方が違う。何が起こっているのか遠景からハッキリ示すハリウッド映画のわかりやすさとは違う。足が飛び散らす水しぶき、崩れ落ちる男達をディティールでアップで、しかも細かいカットで綴っていく。スローモーションだからますますそれはスタイリッシュに見える。これは全編のアクションシーンを通じて貫かれる。ユアン・ウーピンの手によるワイヤーアクションも冴えを見せる。雪降る駅のホームでチャン・ツィイーとマックス・チャンが戦う場面。通過する列車のすぐ側で拳を交える二人と、その力強さを物語る細かいショットが加わって、銀幕のこちらも緊張感が高まる。狭い伎楼の中で、チャン・ツィイーとトニー・レオンが戦う場面では、空中で時が止まり、戦う男女の視線がもつれ合う様子が美しく描かれる。雪の中でチャン・ツィイーが練習する場面では、円形の足運びが特徴の八卦掌(はっけしょう)の美しさが際だつ。カーウァイ作品はカメラがいつも見事だけど、今回のフィリップ・ル・スールも素晴らしい。

 しかしこの映画が観客に伝えたいのは、カンフーの美しさだけではない。日中戦争から現代まで激動の香港の歴史を背景にした人間ドラマだ。戦争の脅威に立ち向かう為にも、中国武術界も南北の統一が必要と叫ばれていたこと。各流派の後継をめぐる確執。初めて知ることが多く、興味深い。そしてイップ・マンが戦争によって大切なものを失い、再び拳法の師として活躍するまでの道のり。誇りをもって懸命に生きる人々の姿が胸をうつ。また、この映画で描かれる、北の流派と南の流派がひとつになれない悲しさとすれ違いは、数々の戦争によって引き裂かれた香港と中国の関係と無縁ではあるまい。映画の終盤に出てくるチャン・ツィイーの告白場面は、ウォン・カーウァイ監督作独特の切なさがピークとなるいい場面。

 映像美と激動のドラマに酔うもよし。カンフーの歴史に知識があるならばそこを楽しむもよし。ハリウッド流のド派手なアクション映画を期待してこの映画を観てはいけない。題材こそカンフーだが、あくまでもアートな表現の人間ドラマ。映画のラスト、イップ・マンの弟子となる少年はきっと後のブルース・リー。今でもイップ・マンのスピリットは継承されている。

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