台所で和宮様が「ナニコレ!!気持ち悪いイモムシが出てきたぞよ」と叫んだ。さっそく現場に参上すると確かに黒いものがうごめいている。しかし、そのそばにはわが家のゴキブリとり名人の鬼軍曹も待機していた。
このイモムシは、なんの幼虫なのかがわからなかった。小学館の画期的な『イモムシとケムシ』図鑑で調べたが決定打にはならなかった。メイガ科の蛾「コメノシマメイガ」の幼虫に似ている。ネットで調べたら甲虫の「コメノゴミムシダマシ」の幼虫にも似ている。そっくりの両者が共通するところは、穀類の粉を食害する昆虫ということだった。ひょっとすると、落ちた粉のそばに卵を産み付けられたのかもしれない。
そのうちに、アシダカ軍曹がそばで動いていたイモムシを瞬時に捕獲。捕まえに行くというよりすぐそばに来るのを待っていたのだ。イモムシは体を左右に動かして脱出しようとしていたが、だんだんとその動きも弱くなっていった。
そのそばにはもう1匹の若い仲間がいた。手を出さないところはじつに紳士的だ。それらの動きがしばらくじっとしていたので放置していたらいつの間にかいなくなった。イモムシは食べられてしまったのだろうか。残骸はどこにも見当たらない。
そしてまた、その隣の部屋では違うアシダカグモがバッタを狙っていた。しかし、こちらはジャンピングの特技でバッタ君が逃げてしまった。わが家の用心棒は完璧ではなかったが、少なくともゴキブリは今のところ一度も出ていない。それほどに、用心棒の数が多くなったのを感じる。なにしろ、人間がいても逃げなくなった。つまり、スタッフとしての自覚が高いのはいいが、ずうずうしくなってきた警備保障スタッフということになってしまった。