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先日、周防正行監督の「カツベン」を観る。無声映画時代への「活動弁士」の活躍・人間模様をコメディタッチで描いた映画だ。映画の創生期には日本独自という無声映画を盛り上げたカツベンの存在が不可欠だった。
それはきっと、江戸からの落語の流れや明治の川上音二郎など壮士節の背景があったのだろうか、語り言葉・話芸の文化が脈々と流れていた。新しい職業に生活とロマンをかけて舞台に立つカツベンの生き方にそっと寄り添った周防監督のまなざしが暖かい。
(各画像はmovieWalker、公式hpから)
レトロなドタバタはチャップリンの無声映画や寅さんを想わせるサービスが随所に散らばっている。上映の芝居小屋とその界隈のセットは、美術スタッフの並々ならぬ努力が感じられる。それは周防監督の映画へのいとおしい愛がふんだんにオーケストラのように奏でられていた。
主演の成田凌の抜擢も成功して、先週発表された「毎日映画コンクール」では「主演男優賞」も受賞している。確かに、駆け出しでカツベンを始めだしてから実力を発揮していく成長ぶりをたくましく演じていた。作品としてはもう一歩感動がほしかったところだが、映画を愛する群像たちへのリスペクトが十分溢れていたことは確かだ。