水源地に通じる林道が昨年の台風の影響で亀裂を生じていた。ちょうど一年前の夏、大量の砂袋を作りブルーシートを張り巡らして亀裂が拡大しないよう地元が応急処置をしていたものだ。行政の協力により一昨日、生コンが支給され地元が補修することになった。
林道の一部には土砂や枝が散乱しており、生コン車が滑ってしまうので最初にこれらをジョレンで片付けていく。そういうことにすぐ気づく地元民の感覚が素晴らしい。軽トラでやっと通れる林道で、バイクだと転倒してしまうという。
この林道は水源地への重要なルートとなっているので、7・8年前だったかやはり生コンの提供を受けて手製のコンクリート道にしたものだ。それでも、一部に土砂崩れにあったり、オラの車が谷に落ちそうになったり、危険な場所でもある。
大型のミキサー車は途中まで来てくれて、その生コンを地元で用意したユンボで受け取り、現場までピストン輸送する。地元にプロがいるので、機器や資材それに人員の確保が身近かであるのも心強い。とはいえ、高齢者が多くなりこうした共同作業が年々頭数が少なくなってきているのも現実だ。
さいわい、杉木立に囲まれた林道なので日本列島を襲っている熱波の洗礼は軽減される。今はやりのファン付き空調服を着ている人もいる。全員がジョレンを持参しているのも驚きだが、コンクリートを丁寧に塗る「コテ」を持ってきて実際使っていたのも素晴らしい。生コンは基本的に亀裂した穴に打ち込み、棒で突きながら周囲を固めていく。
そこそこ参集した頭数もそろったようで、数時間強で完了する。午後は大雨が来そうなのでお昼ごろブルーシートをかけなおすという。このような共同作業は都会ではとてもできない。オラも大都会から闖入してきたので、こうした作業の中に住民自治の原点を発見する感動があった。平川克美氏が指摘するように、「あまりにも長い間、会社というものが社会の中心に座り続け」てきたため、こうした「結」のような共同作業が失われていった現代史がある。人間同士の絆が破壊される歴史がズカズカ侵攻している。