私は「民權西路站」の北西にある陸橋から職場や学校に向かう人達を眺めていた。空気はかなり悪い。埃っぽさが気になった。原付運転者に覆面をしているのが多いのは防塵対策なのである。
陸橋の階段を下り「民權西路」を西に進む。公衆電話に「南無観世音菩薩」のステッカーが貼られているのが可笑しかった。ビルの看板に書かれた漢字は旧字体である。
敗戦を境に日本では仮名遣いと漢字が変わってしまった。略字体に慣れきった人間が画数の多い文字を読んでいると目が疲れる。
旧漢字ですべての物を言い表す台湾人は賢い。弁当屋、獣医くらいは私にもわかった。鞋は靴を意味している。昔の日本人は草で作った鞋(即ちわらじ)を履いて歩いていた。