葉室麟の歴史文学賞受賞作の「乾山晩愁」を読んだ。
浮世絵師にまつわる小説は、読んだ記憶があるが、それ以前の
絵師たちの物語は、なかなか、珍しい気がする。
おそらく、浮世絵から、庶民のための絵となり、それ以前は、
襖絵だったり、肖像画だったり、山水画だったり、仏画だったりと、地味なもので、
物語にし難いからかも知れない。
表題作は、緒方乾山だが、他の4つの短編の主人公は、それぞれ、狩野永徳、
長谷川等伯、狩野雪信、英一蝶の物語だ。
絵師の物語と思いきや、織田信長、秀吉、徳川などの権力者も
出てくれば、赤穂浪士も、出てきたりと、非常にバラエティーに富んだ
短編集だ。
葉室麟の作品としては、ユニークだが、面白かった。
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