直木賞受賞作で、おすすめミステリー10というのをネットで
見つけた。
私が読んだ中には、佐々木譲の「廃墟に乞う」や、宮部みゆきの
「理由」、藤原伊織の「テロリストのパラソル」など、面白い
ものが入っていた。
そこで、その中の他の作品も読んでみようと思った。最初は、
NO.1にランクされている「流」だ。
もう一つは、台湾のことが書かれているとのことで、興味を引いた。
読んでみて、著者の東山氏も、実は台湾人であることがわかった。
そうでなければ、このような作品を書くのは難しいだろう。
この作品は、ミステリーというジャンルに入れられるか疑問だ。
しかし、ミステリーの要素もあるのは間違いない。
戦後、台湾に渡った祖父が、殺され、その最初の発見者である孫の
青年が、殺人犯を探すのだが、単純な追跡劇ではない。
無軌道な青年の人生、恋愛などが描かれている青春小説とも言える。
ハッピーエンドでなく、悲惨な終わり方でもなく、謎が解決した
スッキリ感もない、不可思議な終わり方が印象に残る。
過去、読んだことのない読後感である。これが、人間であり、
人生なのかも知れないという諦め感のような空気を感じた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます